メルセデス・ベンツ G63AMG 試乗レポート/桂伸一(1/2)
- 筆者: 桂 伸一
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
変わらないことへの信頼がある。
ゲレンデヴァーゲンことGクラスが2001年以来11年ぶりのフェイスリフトを受けた。
メルセデス・ベンツSUVファミリーの基礎といえる存在は1972年に開発がスタートし市場導入は79年から。元は厳しい条件下のオフロード用に開発された軍事用車輌だった事は有名な話である。
長い開発期間と狙いが正しかったことは、デビューから“33年”の今日まで基本的なコンセプトに変わりがないことからお分かり頂けるだろう。さらにオンロード特性を高めラグジュアリー化を促進したことで、これまでに20万台が販売された。
09年に4300台だった販売台数は、11年には6600台に跳ね上がりその上昇率はさらに続いている。
この無骨だがいかにも強固な鉄の塊、走る要塞に護られている安心感は、頑丈な鉄の扉(ドア)がストライカーに“ガチャリ”と噛み合い閉じられた瞬間から始まる。それは世界のセレブリティやVIP、ハリウッドスターの護身用として、欧米ではその走破性の高さからオフロード愛好家からも熱烈な指示を受ける。
インテリアは近代的に、外観は普遍的に
フェイスリフトとはいえ、もちろん全体的に手が加わっている。ポイントはデザイン、エンジン、安全性。
ただしボディに関してはユーザーから「ドントタッチ!!」。普遍こそ魅力なだけにボディ外板には手を加えるなという要望が殺到するという。
変わったのはフロントグリルが2本バーになり、ヘッドライト下にLEDデイタイムライト、サイドミラーにターンシグナルが埋め込まれた点だ。
インテリアは、インパネ回りが2001年の全面刷新からアップデートされた。コマンドオンライン、センターディスプレイの配置、センタークラスターにはフロント/センター/リアの各デファレンシャルをロックするためのスイッチが独立して並ぶなど、Gクラスらしい機能が光る。
エンジンは、G63の他G350ブルーテックとG500が用意される。
安全性は、最新の電子デバイスをGクラス用に搭載。ディストロニックプラス、ブラインドスポットアシスト、ESPトレーラースタビリティアシスト、パークトロニックなど、クルマ側に知能がある制御の数々だ。
左右に振り分けられたサイドマフラーから排出されるV8の腹に響く雄叫びは、アメリカンV8を彷彿とさせる。日本仕様は歩道側への排気がNGのため片側に2本が集約されると思われる。
現行のG55AMGは、V8 SOHC 5438cc+スーパーチャージャー+5速AT。一方G63AMGはV8 DOHC 5461cc+ツインターボチャージャー+7速AT、正式にはAMGスピードシフトプラス7Gトロニック。V8サウンドはG55のほうが荒々しくG63はより洗練された印象である。
エンジンパフォーマンスはG55が507ps/71.4kgm。対してG63は544ps/77.3 kgmで、数値上新型が上だが“加速感”はどちらがどうというより、どちらも凄まじい事に変わりはない。
ポイントは環境性能。いわゆるアイドリングストップのエコスタート/ストップ機能を装備して燃費は13%向上したという。
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