なぜ最近の新車にはスペアタイヤが載っていないの?

なぜ最近の新車にはスペアタイヤが載っていないの?
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なぜ最近の新車にはスペアタイヤが載っていないの?

スペアタイヤを載せていない車が増えてきていますが、本当にこれでかまわないのですか?

運輸省は、スペアタイヤを載せていない車の安全基準を問題視していないのでしょうか。 ディーラーは、タイヤのサイドが切れることは最近ほとんどないので問題ないと回答しました。清水さんの意見を聞かせてください。

其の疑問、「MJブロンディ」がお答えいたします!

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なぜスペアタイヤ搭載は義務ではなくなったのでしょう?

その背景には、タイヤ交換を自力でできる人が減少し、ほとんどのスペアタイヤが一度も使われないまま廃棄され、しかも重量増加によって燃費を悪くしている・・・という実態があります。

私にとって最初のスペアタイヤレスのクルマは、17年前、中古で買ったフェラーリ348でした。スペアタイヤの代わりにパンク修理剤を積んでおくように、ということでしたが、当時はまだスペアタイヤがないクルマというのは極めて珍しく、またジャッキアップすら難しいのでジャッキ自体積んでない(!)。ちょっとだけ「片道燃料の特攻気分」でした。

スペアタイヤレスの場合の問題点は、パンク修理剤に賞味期限があることです。2~3年に一度、新品に買い換えなければいけない。

しかし、まったく使っていないパンク修理剤を新しくするという消費行動には心理的な抵抗があり、正直あまり励行できていません。

スペアタイヤを積んでいないクルマの安全性についてですが、これは安全性というより、パンクした後どうなるか?という問題ですね。

危険なのはパンクしたまま走り続け、高速走行中にバーストすることです。それはスペアタイヤの有無とはあまり関係ありません。路肩でタイヤ交換中にクルマにはねられる事故もあるので、ならばいっそスペアタイヤなし、すべてJAF任せが一番安全、という見方もできます。

パンクは、クギ踏み等で傷が浅い場合、早期に気付けばスタンド等で補修することができます。

気付くのが遅れてペッチャンコのまま走り続けてサイドウォールを傷めてしまうと、もうそのタイヤは使えなくなるし、最悪の場合は事故につながります。

つまり、ドライバーとしては、パンクに早期に気付いて傷が浅いうちにスタンド等に駆け込む、それが無理ならJAF等を呼ぶことが、安全上最も重要なことです。

JAFでも現場でパンクの応急修理をやってくれます。ディーラーの「サイドが切れることはほとんどない」という答えは、つまり「現在は応急修理が効くパンクがほとんど」ということです。

ちょっとハンドルが取られるな、などと感じたら、できるだけ早くタイヤの状況を確認するようにしましょう。くれぐれも、パンクしたまま走り続けないでください。

スペアタイヤは、もしもの時に、自力でその場から離脱することをたやすくする道具にすぎません。

もちろんスペアタイヤを積んでいても、タイヤ交換が自力でできなければ無意味ですし、スペア用の小型のテンパータイヤは、飛ばすのも長距離使うのも危険です。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

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