【試乗】マクラーレン 650S 海外試乗レポート/大谷達也(2/2)

  • 筆者: 大谷 達也
  • カメラマン:マクラーレン・オートモーティブ
【試乗】マクラーレン 650S 海外試乗レポート/大谷達也
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ダウンフォースの向上により安定したグリップ

マクラーレン 650Sクーペ
マクラーレン 650Sクーペマクラーレン 650Sクーペ

その他、サスペンション系ではダンパーが改良されて減衰力の可変範囲がより広がったほか、スプリングレートをフロントで22%、リアで37%も強化。そのうえで、ダンパー・ストラットのアッパーマウントを改良してキャビンに伝わる振動やノイズ、ハーシュネスを減少させたという。

いっぽう、P1によく似たデザインとなったエクステリアは見た目が変わっただけでなく、150mph(約240km/h)時に発生するダウンフォースが24%も向上している。

この効果は絶大で、高速走行時にセンターコンソール上のエアロスイッチを押してリアウィングを立てると、車体がぐっと沈み込むとともに、ドライバーがハンドルから手を離してもクルマ自身がみずからまっすぐ走っていこうとするほど直進性が向上する。そして高速コーナリングではダウンフォースの向上により安定したグリップを生み出すことは、敢えていうまでもないだろう。

限界域でのコントロール性が高まった

マクラーレン 650S/ドライバー:自動車評論家 大谷達也マクラーレン 650S/ドライバー:自動車評論家 大谷達也

……とまあ、いろいろと書き連ねてきたが、率直にいえばどれも小改良というか、あくまでもブラッシュアップの範疇を出ていない。実際、乗ってみても個々の印象はさほど大きく変わらないのだが、それらの改良が積み重なって1台のクルマとなったとき、650Sは MP4-12Cを大きく上回るパフォーマンス、ドライバビリティ、そして安心感を与えてくれるのである。

たとえば、エンジンはただ最高出力が増しただけでなく、レスポンスがより向上しており、スロットルを踏み込めば即座に加速体制に移る。しかもアクセル操作に対するリニアリティがより高まったので、スピードのコントロールがより正確に、より素早く行えるようになった。

乗り心地が改善された足回りは、タイヤがしなやかに路面に追従するようになったおかげで、ハードコーナリング中にギャップと遭遇しても横っ飛びすることなく、安定したグリップを生み出すようになった。これも間違いなく安心感の向上に貢献している。

これらが結び付いてどんなハンドリングを示すようになったかといえば、限界域でのコントロール性が高まり、たとえリアのグリップが失われてもカウンターステアをあてて体勢を立て直すのが極めて容易になった。

マクラーレン 650S/ドライバー:自動車評論家 大谷達也マクラーレン 650S/ドライバー:自動車評論家 大谷達也

もちろん、これは誰にでもできることではなく、しっかりとしたスキルを持っていることが前提となるけれど、レーシングドライバーには遠く及ばない私程度の腕前でも、スペインの山並みを1時間ほど走っているだけで安全かつ確実にドリフトできるようになったから、腕に覚えのあるドライバーであればそのほとんどがこうしたドライビングを楽しめるようになるだろう。ただし、こうした運転には一定のリスクが伴うものなので、その辺はあくまでも自己責任の範囲で試していただきたい。

そういえばギアボックスの作動もよりスムーズになり、街中をゆっくりしたスピードで走っていてもギクシャクしにくくなった。これも MP4-12Cからの改良点として挙げられる。

あとは、 MP4-12Cから大きく生まれ変わったエクステリア・デザインをどう捉えるかによって650Sの評価は変わってくるかもしれない。ちなみに、私は650Sの洗練されたマナーが大いに気に入ったものの、エクステリアだけは MP4-12Cのほうが好みなので、マクラーレンのエンジニアに「650Sのメカニズムを MP4-12Cのボディに移植することはできないか?」と訊ねてみたが、「それだとダウンフォースが改善されない」との答えが返ってきた。であれば、仕方ない。私も MP4-12Cは諦めて650Sを選ぶことにしよう。もっとも、クーペで3160万円、 MP4-12C同様クーペとほとんど変わらないパフォーマンスを有するスパイダーの価格は3400万円だから、庶民の私には到底、手が出ない。

それでも、「いつかはマクラーレンを手に入れたい」という夢だけは抱き続けたいと思う。

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大谷 達也
筆者大谷 達也

1961年、神奈川県生まれ。エンジニア職を経験後、1990年二玄社に就職し、CG編集部に配属となる。以来、20年間にわたり同誌の新車情報、モータースポーツに関する記事を企画・編集・執筆。2010年3月フリーランスとなる。現在もCGの編集・執筆業務に携わる傍ら、ENGINE、GENROQ、東京中日スポーツ新聞、レーシングオンなどにも寄稿。日本モータースポーツ記者会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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