プジョー 607 試乗レポート
- 筆者: 石川 真禧照
- カメラマン:森山俊一
11年ぶりに、プジョーのフラッグシップモデルが一新。今年の目標販売台数は500台だ。
ここ数年、プジョーの人気が急上昇している。次々と日本市場に送りこんでくるクルマのスタイリングや完成度がハイレベルになってきていることや、車両本体価格が比較的、バリューフォーマネーであることが、人気アップの理由だ。
プジョーの車名は、1929年から真ん中にゼロの入った3ケタの数字を使用している。これは登録されているので他のメーカーは使用できない。現在は1、2、3、4、6、8の各シリーズがある。8はミニバンだ。
605の後継モデルになる607は、同社の最上級4ドアセダン(606は製品化されていない)。ツリ目のヘッドライトと、グリル中央のライオンマークがプジョーを主張している。ボディサイズは全長4875mm、全幅1830mm、ホイールベース2800mmと大きく、BMW5シリーズやアウディA6よりも大きいサイズになる。エンジンはV6の3Lだ。
伝統の足回りは605よりも柔らかめに設定されているが、スポーティ走行も十分可能だ。
日本に導入された607はV型6気筒DOHCの3Lエンジンを搭載する最上級モデル。アルミダイキャスト製のエンジンブロック、可変タイミングカムシャフトなどを採用し、152kw/6000rpm、285N・m/3750rpmの性能を得ている。
ミッションはティプトロニックタイプの4速AT。ドライバーの運転状態をコンピューターが察知し、32パターンの走行モードから最適なモードを自動選択してくれる。ATのシフトショックは少なく、学習機能した動きも特に気になるところはない。
V6エンジンはスタートこそややもったりとしているが、2500回転あたりからトルクが盛り上がり、アクセルレスポンスがよくなる。パワーアシストのハンドルは、プジョー6シリーズの伝統で、低速ではかなり軽め。個人的には好みの操舵性だ。ハンドリングは、中、高速で横方向の踏ん張りがちょっと頼りなかった。経験上、これはタイヤの空気圧を若干高めれば解決するはずだ。減衰力を調整できるショックアブゾーバーは「スポーツ」に切り替えるとレーンチェンジなどでのロールが抑えられ、スポーティな走行ができた。
快適性に力を注いだ室内長1920mmのキャビンが自慢。装備の充実ぶりも見逃せない。
ボディサイズはBMWの5シリーズやアウディA6よりもやや大きいが、室内の広さは特に広々としている、ということはない。それはフロント、リアシートともにサイズが大きく、見た目の広さよりも実際に座る人のことを考えた作りだからだ。当然、ホールド性はよい。しかもフロントシートだけでなく、リアシートにもシートヒーターが内蔵されている。これは寒い季節には有難い。
室内の装備はかなり充実している。まず、ナビゲーションは標準装備。これは500万円以下の輸入上級車としては珍しい。このほかに、バックソナー、キセノンヘッドランプ、JBL製イコライザーアンプ+12スピーカー+6連奏チェンジャーなども標準装備されているので、想像以上に豪華だ。
トランクは奥行き、横幅ともにBMWやアウディよりも大きい。リアシートは背もたれが6/4分割で可倒し、トランクと一体になるのが実用的だ。
バリエーションは2タイプ。コンフォートは右ハンドル仕様、スポーツは左/右ハンドル仕様だ。
607は今回試乗した「コンフォート」の他に、「スポーツ」がある。エンジンは同じ。サスペンションも、ミッションも同じチューニングになる。違いはメーターパネル、ダシュボード、シートの材質、そしてタイヤ&ホイールのサイズ。コンフォートは、本革&ウッドパネルの内装に 225/55R16インチのタイヤ&ホイールで、スポーツはブラックのファブリック&カーボンファイバー調の内装に225/50R17インチのタイヤ&ホイールが組み合わせられる。
スポーツにも試乗してみたが、乗り心地がやや硬めかな、というレベルの違いしか体感できなかった。そうなると、両グレードの決め手は本革かファブリックか、というところ。車両本体価格はコンフォートが498万円で、スポーツは478万円。個人的には前者が好みだ。
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