[イラストレーター遠藤イヅルの”マルエン”レポート Vol.4]幻の名車「オーテック ザガート ステルビオ」を見にゆく!
- 筆者: 遠藤 イヅル
- カメラマン:遠藤イヅル イラスト:遠藤イヅル
日本から生まれたイタリア・カロッツェリアの名車
こんにちは! イラストレーターの遠藤イヅルです。大好評をいただいております「イラストレーター遠藤イヅルの”マルエン”レポート」。話題のニューモデルからマニアックな旧車に至るまで、街中で行われる様々なイベントの模様をイラストでご紹介しています。久しぶりとなりました今回はイベントレポートではなく、オーテックジャパン様のご厚意により、特別に僕の思い入れの深い一台、「オーテック ザガート ステルビオ」をじっくり見させていただく機会をいただきましたので、そのレポートをお送りいたします!
[協力:オーテックジャパン様 文中、社名など一部敬称略]
憧れたザガートデザインがいま目の前に・・・
オーテック・ジャパン様のご厚意によって実現した今回のレポート。とても感慨深いものがあります。
・・・それは1989年、僕がまだ高校生だったときに登場したステルビオの存在に心を奪われたあの日。すでにクルマ好きで、とくにザガートデザインをまとうクルマたちに憧れがあったのです。そのザガートが、日本車のデザインを行ったなんて!
その「憧憬」から20年余、ついにじっくり対面する機会が現れたのです。
そのクルマ、オーテック ザガート ステルビオは、1989年、F31型「日産 レパード」をベースにザガートがボディを架装し、200台+αのみが作られたスペシャル・クーペでした。新車価格は当時で1870万円!
オーテックジャパン社ブランド確立のために生まれた1台
特装車や少量生産車の製造、販売を行うことを目的として、名車「スカイライン」の生みの親である桜井眞一郎氏を社長とし、1986年に日産の100%出資で設立された「オーテックジャパン」。そのブランドイメージの確立のため、イタリアの名門カロッツェリア「ザガート」と少量製造の高級車を製造するプロジェクトが発足。そして「オーテック ザガート ステルビオ」は誕生することに。
ヨコハマ系刑事ドラマでもお馴染み港302ことF31型「レパード」(後期型)のシャーシ、エンジン、トランスミッションや各種部材をイタリアに空輸し、ザガートの職人たちがその上にアルミとカーボンファイバー(ボンネット、前後バンパー)製のボディを載せて製造されました。
オーテックジャパンが今も大切にする”魂”はステルビオから
オーテックジャパンは現在、日産車をベースにしたカスタムカーである「ライダー」「アクシス」などや、「ライフケアビークル(福祉車両)」、教習車やエルグランドのVIP仕様などを製造されています。
たしかにオーテックジャパンの少量生産高級車はこのステルビオで終わってしまいましたし、現在製造されているクルマたちとの間に直接の系譜はありません。ですが、ぼくが「きわめて高い志」で作られた「ステルビオ」というクルマから感じたことは、「ものづくりへの姿勢とその高い志」が現在もなお継承されているんだな、という感動でした。
人々を惹き付ける魅力あるクルマたちを、優れた技術力で創っていく。その原点、スピリッツともいえる「ステルビオ」をこうして美しい状態で保存されている同社。生み出されていくクルマたちが魅力的なのはなぜか、わかったような気がしました。
[レポート/Photo/イラスト:遠藤イヅル]
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