日産 新型セレナ Sハイブリッド(スマートシンプルハイブリッド) 新型車解説
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:日産自動車株式会社
日産の人気ミニバン「セレナ」がハイブリッドに!
ミニバンが好調に売れるようになってから約15年が経過。
「日本はミニバン大国」などと言われるが、最近はその人気にも陰りが見えはじめている。ミニバンは、もはや目新しさで選ぶ対象ではなく、多人数乗車や荷物の積載などミニバンの機能を活用できるユーザーしか買わなくなったからだ。ユーザーの一部はコンパクトカーや軽自動車にダウンサイジングしている。車種ごとの売れ行きも二極分化してきた。
そんな生き残りを賭けたミニバンの世界で、販売ナンバーワン(2011年/2011年度)を誇るのが「日産 セレナ」だ。
ホンダ フリード、ホンダ ステップワゴン、トヨタ ヴォクシー、トヨタ ノアなどの並み居る強豪を抑え、販売数で大差を付けている。
ヴォクシーとノアの姉妹車は合算すれば1位だが、車種別ではセレナがトップ。ただし、競争の激しい世界だから気は抜けない。特にミニバンにおける燃費性能の向上は、今後の販売に影響を与える重要な課題だ。
そして2012年8月1日に、日産はミニバン初のハイブリッドカー「セレナ Sハイブリッド」を発表する。Sハイブリッドの「S」は、「スマートシンプル」の略。その外観は画像をご覧頂ければお分かりの通り、従来のセレナとほぼ変わらない。
では「セレナ Sハイブリッド」がどのような実力を秘めているのか、発売に先駆けて先行情報をお伝えしよう。
シンプルなハイブリッドシステムを搭載する「セレナ Sハイブリッド」
「セレナ Sハイブリッド」は、従来のハイブリッドシステムに比べてそのメカニズムは実にシンプル。
セレナには「エコモーター」と呼ばれる、アイドリングストップのエンジン再始動と通常発電&回生発電機能を兼ね備えたモーターが採用されている。
このエコモーターを、従来型の最高出力1kW/発電力150Aのものから1.8kW/200Aのモーターとすることで、回生時の発電量を増大。
さらに、従来のメインバッテリー以外にサブバッテリーを追加することで蓄電能力を高め、ハイブリッドシステムを成立させた。(サブバッテリーはメインバッテリーと同じく12Vタイプを搭載)
「セレナ Sハイブリッド」に搭載されている「スマートシンプルハイブリッド」の働きは、基本的にほかのハイブリッドと同じだ。減速時には、減速エネルギーを利用してエコモーターが発電を行い、バッテリーに充電する。車両が停止したらアイドリングストップ。発進時などは、バッテリーに充電された電気を使ってエンジンの駆動力を支援する。
他メーカーのハイブリッドが搭載するモーターの最大出力は、フィットハイブリッドが「10kW」、アクアが「45kW」、プリウスが「60kW」。セレナ Sハイブリッドは「1.8kW」と、その出力はきわめて小さい。エンジンを支援する力は然程大きくはないと考えるべきだろう。
ハイブリッドと言われると、どうしても燃費を期待してしまうが・・・
そのため、燃費も通常のセレナと比べて劇的に向上している訳ではない。
セレナ Sハイブリッドでは転がり抵抗を低減させるタイヤ(15インチ:ミシュラン・プライマシー/16インチ:ブリヂストン・エコピア)も採用した上で、JC08モード燃費は「15.2km/L」。従来型セレナのアイドリングストップ付が「14.2km/L」(車両重量が1,660kg以下の場合は「14.6km/L」)だから、おおむね1km/L、比率にすれば約7%の燃費向上となる。
セレナ Sハイブリッドはまさに「プチ・ハイブリッド」と呼べるものだが、エコモーターと低コストのバッテリーを使ってメカニズムをシンプルにしたことで、価格がほとんど上乗せされない。
現時点(2012年7月18日)ではセレナ Sハイブリッドの詳細価格は明らかにされていないものの、従来型のセレナととほぼ同じ価格にとどまるだろうと言われている(あるいは、セレナ マイナーチェンジの装備見直しに伴い数万円のアップ程度)。
ちなみに、ホンダ フィットハイブリッドも構成部品の数を抑えて159万円という低価格を実現しているが、それでもノーマルフィット(1,300ccモデル)とフィットハイブリッドとの価格差は18~20万円にもなる。
そして、もうひとつ。JC08モード燃費はわずか1km/Lの向上ながら、平成27年度燃費基準プラス20%を達成。購入時の自動車取得税と同重量税が免税(100%のカット)になり、購入の翌年度に支払う自動車税、初回車検時に納める自動車重量税もそれぞれ50%軽減される。
平成27年度燃費基準は、車両重量と燃費数値の関係で決まり、エンジンの排気量に対してボディの重いクルマが有利だ。
そのためにミニバンのセレナは従来型でも平成27年度燃費基準プラス10%を達成していた。Sハイブリッドはさらに燃費が向上するから、プラス20%となっている。セレナ Sハイブリッドが免税ということを考慮すると、同車を購入するのメリットはさらに大きくなる。燃費の節約は減税を目的に行うものではないが、エコカー減税は2015年の春まで続く。
Sハイブリッドの設定は、当分の間「セレナ」を選択する大きな価値になるだろう。
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