ルノーとベタープレイス、イスラエルとデンマークでバッテリー交換式EV「フルエンス ZE」販売へ
ルノーとベタープレイスは、イスラエルとデンマークでルノーが開発する初のバッテリー交換式電気自動車(EV)「フルエンス ZE(Fluence ZE)」(5人乗りセダン)の販売に関して提携を行う契約を交わした。
この契約は、2年近くにわたる世界初の大衆向けバッテリー交換式ゼロ・エミッション車の開発努力の結果となる。契約によると、ベタープレイスは2011年前半にイスラエルで「フルエンス ZE」の輸入および販売を行い、デンマークではルノー販売網から同車を購入する顧客にベタープレイスの有料サービスを提供する。このサービスでは、ベタープレイスのEVサービス・プラットフォームが管理する充電スポットとバッテリー交換ステーションのEVインフラ・ネットワークの利用などを提供。ルノーとベタープレイスは、2016年までに両国で最低10万台の販売を目指すとしている。
「フルエンス ZE」は、ルノーが現在開催中のフランクフルト・モーター・ショーで発表した4つのコンセプトのひとつに基づくもの。「フルエンス ZE」のコンセプトは、近々発売される「フルエンス」の電気版のプレビューで、未来のゼロ・エミッションドライブへの解決策である。「フルエンス ZE」のコンセプトは、環境に配慮しながら魅力的なスタイリング、快適さ、室内空間を実現できることを証明する真のファミリーカーである。車体は、全長4,820mm、幅1,672mmで、積載能力は活動的な家族の要求を満たすサイズ(327立方デカメートル)である。「フルエンス ZE」は、100パーセント電気で走る純電気自動車で、航続距離は160kmとなる。
バッテリーは、通常充電(4時間から8時間)または「クイックドロップ」(5分以内)によって完全に充電することができる。「クイックドロップ」とは、車のバッテリーを交換するテクノロジーで、ICE(内燃機関自動車)を満タンにするよりも短時間で行える。ルノーとベタープレイスは、数分で、消耗したバッテリーをすばやくはずしてフル充電されたものに交換できる「クイックドロップ」という革新的技術を共同で開発。また、三つ目のオプションである急速充電は、20分間でバッテリー残量を80パーセントまで再充電することができる。
ベタープレイスのEVサービス・プラットフォームは、EVへの充電だけでなく現地の公共施設との統合も管理し、ドライバーがイスラエルとデンマーク中を自由に安心して走り回れるようにし、送電網への影響を管理する。ベタープレイスのEVサービス・プラットフォームの構成品のひとつが、「フルエンス ZE」に内蔵される「AutOS」というコンピュータ・プラットフォームである。
同車は、イスラエル市場では初となる4年間/12万キロの保証。最初の引渡しは2011年前半となる予定で、それ以後はベタープレイスの販売店とルノーのディーラーで購入することができる。顧客は、包括的メンテナンス契約に基づいてルノーのアフターサービス・ネットワークを利用可能となる。
デンマークで、ルノーとベタープレイスは密接な提携関係が展開される。車はルノーの販売網を通じて販売され、ベタープレイスの有料サービスを受けることができる。
ルノーのカルロス・ゴーン社長兼CEOは、「この契約締結によって、ルノーのEV戦略は一歩前進します。「フルエンス ZE」は、2011年に世界20カ国以上で発売されるルノー初のEVとなります。従来の車に比べて非常に維持費の安い、魅力的で広々とした電気ファミリーカーとなるでしょう。2008年1月にベタープレイスと提携して以来、ルノーとベタープレイスのチームは本日の発表を実現するために地道に努力を重ね、他社を2年間リードすることになったのです」と述べた。
ベタープレイスのシャイ・アガシCEOは「ICE車よりも便利かつ手ごろで、主流となるEVを市場にもたらすために協力し合ってきたルノーとベタープレイスにとって、今日という日は画期的な日です。ベタープレイスと共に自動車産業の新しいマーケットを明確にするビジョンと実行能力を持つカルロス・ゴーン氏とルノーのチーム全体に賞賛を送ります。このような協力とゼロ・エミッション車の革新が、自動車産業を好転させ、CO2が地球に及ぼす有害な影響をなくす解決策であると信じています」と述べた。