三菱 デリカD:5 試乗レポート

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新型デリカD:5は“男”を意識させる硬派なスポーツモデル

実に13年ぶりにフルチェンジした三菱のワンボックスカーはデリカD:5(デイファイブ)という名称で登場した。5代目になる新型はすべてが新しく、時代をリードするクルマに進化した。

デリカは1968年に初代デリカコーチがデビューし、9年間つくられた。2代目は1979年のデリカスターワゴン(初代)、86年に2代目スターワゴンがデビューした。どちらも角ばったボディと、フェンダーとタイヤの間が広い4WDモデルが男性的な力強さ、武骨さで人気だった。4代目はデリカスペースギア。これは丸形のボディだったが、やはりフェンダーとタイヤの間の広さが特徴だった。

そして5代目のデリカD:5だが、他のワンボックスカーと比較すると、かなり“男”を意識している気がする。三菱自身も今年のパリ・ダカールラリーのサービスカーにこのD:5のラリーバージョンを走らせるなど、硬派なスポーツモデルを目指している。

オフロード走破性を犠牲にしない力強いデザイン構造

ボディサイズは全長約4.7m、全幅は約1.8m、全高は約1.87mという大きさ。特徴は旧型よりも全高が100mm低く、最低地上高を20mmも高くしているにもかかわらず、室内高は100mmも高くなっていることだ。

いかにも三菱らしい真面目なクルマづくりは、オフロード走破性もまったく犠牲にしていないことにも表れている。前輪からフロントバンパーまでの角度(アプローチアングル)や後輪からリアバンパー下までの角度(デパーチャアングル)などをきちんと確保している。オフロードに強い、という言葉は本当なのだ。

インテリアは各ピラーがそのままボディの構造材も兼ねている。それが天井の張り出しでもわかる。こうした力強さも特徴といえる。グローブボックスも大きく、使いやすい。

装備では左右リアサイドドアの電動スライドやリアゲートの電動開閉、サードシートまで各シート上のトリプルパノラマルーフも楽しい。

コーナーでの踏ん張りは他のワンボックスとは一線を画す

エンジンは直列4気筒2.4Lでフロントノーズ下に搭載し、ミッションは6速CVT。駆動方式は全モデルにフルタイム4WDを採用した。この4WDシステムはアウトランダーで実績のある方式。そのルーツをたどればランサーエボリューションにも通じるスポーティ4WDだ。

FF/4WDはシフトレバーそばのダイヤルで選択できる。さらに6速CVTは、ハンドルうしろのパドルシフトでマニュアルシフトもできるのだ。ここまでスポーツ色を打ち出したワンボックスカーというのも特徴といえる。

2.4Lエンジンは2000回転からアクセルレスポンスもよく、軽快。パドルシフトを使えばそのスポーツ性はさらに向上する。0→100km/h加速は10秒台なので、2Lのスポーティセダンと同レベルの実力。ハンドリングもコーナーでのロールは最初にユラッと傾くがそれからのふんばりがよく、他のワンボックスとは一線を画している。

ワンボックスカーに重要な居住空間は当然確保

走りのスポーティさも大切だが、ワンボックスカーにとって、やはり居住空間は重要。

デリカD:5のフロントシートはやや高めのポジションだが、ヘッドスペースも十分。Aピラーは太めだが、根元の三角窓が死角を減らしている。2列目、3列目もシートは十分なサイズ。とくに3列目は2列目を後方にスライドさせてもレッグスペースは確保されている。ヘッドスペースも十分だった。3列目は左右にハネ上げて、ラゲッジスペースをかせぐ方式だ。

トランクスペースは3列目を通常モードにするとスポーツバッグぐらいしか置くことはできない。

今年はデリカD:5に次いでトヨタのノア/ヴォクシー、さらにマツダもボンゴの後継車と、次々にワンボックスのニューモデルがでる予定だ。そのなかでD:5は、もっとスポーツ性の強いモデルであること期待したい。例えばサスをかためたパリ・ダカ仕様のバージョンRなんてどうだろう。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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