ホンダジェットのCMで思い出すクライスラーとホンダの意外な関係性

2017年のデリバリー数43機は小型ジェット機カテゴリー第1位

ホンダ創業者本田宗一郎氏の「開発宣言」から50年を経て完成したホンダ ジェットがついに販売台数世界一になった。

2015年12月に米国を皮切りに欧州やブラジル、中国でも型式証明を取得したホンダ ジェットのデリバリー数がついに小型ジェット機カテゴリーにて世界一を達成したのである。日本の自動車メーカーが手掛けた航空機が世界一になるというニュースは実に誇らしい気持ちになる。

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ホンダジェットってどんな飛行機?

ホンダ ジェットはHondaの航空機事業子会社であるホンダ エアクラフト カンパニー(Honda Aircraft Company 以下、HACI)が製造した7-8座席を持つビジネス向けの小型ジェット機である。本田宗一郎氏の開発宣言から50年を経て完成に至った。2015年12月に米国で型式証明を取得して一号機を納入したのを皮切りに、欧州、カナダ、ブラジルでも型式を取得し2018年1月には中国のディーラーも稼働している。

ホンダ ジェットのすごい所は、まず、自動車メーカーが作った航空機であることだ。富士重工業やロールスロイス、SAABなどもともと航空機メーカーだった会社が自動車を作ったケースはあるが、その逆はホンダが最初だ。そして航空機メーカーであってもエンジンと機体は異なる会社が製造するのが一般的だ、がホンダ ジェットは機体もエンジンも一つの会社で開発、製造されている。

そのおかげもあってか、常識を覆す独自の開発技術にも成功している。最たるものがエンジンレイアウトで、一般的にジェット機のエンジンは左右の翼の下か機体後部の両側に配置されるが、ホンダジェットでは左右の翼の上に配置する形態(Over-The-Wing Engine Mount)を採用している。これにより同クラスのジェット機に比べてキャビン内も格段に広い。

さらに、空力の向上に貢献する自然層流翼型、一体成型の複合材胴体などの独自開発技術にも成功。クラス最高水準の最高速度、最大運用高度、上昇性能、燃費性能、静粛性および室内サイズを実現し、これまで13区間において、最短飛行時間記録を更新する歴史的な偉業を成し遂げてしまったのである。

1ヶ月で約2000万再生!ホンダのCMが爆発的人気!

スゴイことだらけのホンダ ジェットだが、2018年1月31日よりテレビCMに登場しているのをご存じだろうか?

ホンダジェット=「空を自由に走るスポーツカー」と表現したキャッチコピーも、流れる曲も映像もすべてが超カッコいい!と話題のCMなのだが、頻繁に流れているわけでもなく、ホンダがスポンサーの番組でも必ず流れるとも限らない…。ホンダの公式サイトとYOUTUBEで見ることができるのだが、こちらでの動画再生回数がまた、前代未聞の数字になっている。公開されて2週間で約1400万回、1カ月経過した現在は2,000万回突破目前という状況だ。

同CMはホンダ ジェットのCMというより企業広告に近いもので、Go, VantagePointシリーズの第2弾となる。第1弾は2017年7月に公開された新型シビックをフィーチャーしたCMで、ONE OK ROCK×庵野秀明監督のコラボレーションでも話題を集めた。第2弾でもワンオクTakaが超絶美しい英語発音と圧倒的な歌唱力で「Change」を歌っている。

クルマ好きとして気になるのは、CMに出てくる車たち…なぜ?

気づいた人がどれくらい居るかわからないが、筆者周囲の車好きの間でひそかに話題になっていることがある。それはこのCMに登場する車たちだ。

ホンダ車以外にも様々な車が映っているわけだが、その車たちがどうも「偏っている」ように思える。結論から言うと、ホンダ車以外で視認できる範囲ではフォードとクライスラーの車のみ。まず目を引くのが、NYらしさをアピールするイエローキャブでこちらはフォード クラウン ビクトリアだ。

次に画面を横切るトラックはフォード F150ラプターで、その他もジープ ラングラー、ジープ レネゲード、ジープ グランドチェロキー、クライスラー 300Cなどなど、クライスラー車が目立つ。確認できる範囲では「働く車」以外はホンダ車とクライスラー車のみ?

ホンダとクライスラーの関係を思い出した人も多い?

ホンダのCMにクライスラー車と言えば、90年代前半の「ホンダ×クライスラー」の関係を思い出す人も少なくないだろう。

当時、RV(現在のSUV)を持たないホンダが車種ラインナップを揃えるために、ジープ チェロキーをホンダのディーラーで販売していたのだ。そのおかげで、チェロキーはアメリカ車としては異例の年間1万台超の販売を記録した。

またその頃ホンダでは同時に「初代クロスロード」(ランドローバーディスカバリー)や「ジャズ」(いすゞミュー)もホンダのバッジをつけて販売されていた。いずれもCR-Vの誕生後には提携を解消している。

しかし、20年前の両社の関係は今回のCMには全く影響がないようだ。ホンダの広報部、宣伝部、CMを制作した電通の担当者、FCA広報の皆様にも聞いてみたのだが…明確な理由は得られなかった。

「ニューヨークの市街地を再現する上で、不自然にならないように車両を手配する会社に依頼した」結果なのだそう。ホンダ以外の日本車が排除されたのはまあわかるとして、NYの市街地には多種多様なブランドの車が走っている。CMに唯一登場していないアメリカ車であるGM車も、ドイツ、韓国の車も実際には多数走っている。なんだか釈然としないが…。

そういえば、Go, VantagePoint第1弾の際には、CM公開後3か月程度経過した頃に、CMのメイキング映像が公開されている。今回の第2弾で公開されるかどうかは全く不明だが、もしそれが公開されたら何かがわかる…かもしれない。

読者の皆様、いかが思われますか?

[Text:加藤久美子 Photo:本田技研工業]

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ONE OK ROCK (ワンオクロック)

2005年にバンド結成。エモ、ロックを軸にしたサウンドとアグレッシブなライブパフォーマンスが若い世代に支持されてきた。

2007年にデビューして以来、全国ライブハウスツアーや各地夏フェスを中心に積極的にライブを行う。これまでに、日本武道館、野外スタジアム公演、大規模な全国アリーナツアーなどを成功させる。

また、日本のみならず海外レーベルとの契約をし、アルバム発売を経てアメリカ、ヨーロッパ、アジアでのワールドツアーを成功させるなど世界基準のバンドになってきている。

2016年9月には、静岡・渚園にて2日間にわたり11万人規模を動員する野外ライブを開催。2017年1月にはアルバム「Ambitions」を全世界で同時リリースし、キャリア史上最大規模となる日本全国32公演を回るツアーを開催した。現在はAmbitions World Tourを開催中。

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加藤 久美子
筆者加藤 久美子

山口県下関市生まれ 自動車生活ジャーナリスト 大学時代は神奈川トヨタのディーラーで納車引き取りのバイトに明け暮れ、卒業後は日刊自動車新聞社に入社。出版局にて自動車年鑑、輸入車ガイドブック、整備戦略などの編集に携わる。95年よりフリー。2000年に第一子出産後、チャイルドシート指導員資格を取得し、チャイルドシートに関わる正しい情報を発信し続けている。 得意なテーマはオリジナリティのある自動車生活系全般で海外(とくにアメリカと中国)ネタも取材経験豊富。愛車は22年間&26万km超の916アルファスパイダー。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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