アイドリングストップ車のエンジンは常にシビアコンディション?

アイドリングストップ車のエンジンは常にシビアコンディション?
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アイドリングストップ車のエンジンは常にシビアコンディション?

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いつも楽しく閲覧させていただいています。私の質問は以前にも取り上げられた、アイドリングストップについてです。環境を考え、ハイブリッド、アイドリングストップ付モデルが増えていくのは時代の要請かもしれません。

一方、車の取り扱い説明書には、シビアコンディションという言葉があります。一回の走行距離が短く、エンジンオイルの温度が低いままでは、エンジンにとっては過酷であり、エンジンオイル交換のサイクルを早める必要があるとの事でした。アイドリングストップ機構付の車のエンジンは、常にシビアコンディションという事になるのでしょうか?またプリウスに試乗した事がありますが、頻繁にエンジン停止、再始動を繰り返していました。

MJブロンディさんは初代プリウスを所有されているようですが、何かエンジンの負担が軽くなる工夫は備わっているのでしょうか?最近よく目にする充電制御も、バッテリーにとっては優しくないという話も聞きます。燃費を向上させるには、何かと引き換えにしなければならのかと心配になります。よろしくお願いします。(とっちゃん坊やさん)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

とっちゃん坊やさんは、とっても優しい方なんですね。クルマのことが心配でならないのでしょう。きっと家族に対しても、同じように優しい方だと推察します。

しかし、時には「かわいい子には旅をさせろ」と申します。多少突き放して、シビアコンディションを経験させるのもプラスです。あ、これはお子さんの話でした、スイマセン。

さて、ご指摘のシビアコンディションですが、ハイブリッドカーを含むアイドリングストップが、エンジンにとってどれくらいシビアコンディションかと言いますと、「通常より若干シビア」というレベルです。なぜなら、エンジン冷間時(完全に冷えている状態)の始動は、明らかにシビアコンディションですが、暖気時の始動は、ほとんど負担にならないからです。

エンジンは、温まった状態で各部のクリアランスが適正になるように設計されているので、冷えている時は、基本的に摩擦が増えると思った方がいいです。オイルも冷えているのでなおさらです。

また、長期間エンジンをかけていなかった場合は、オイルそのものが摩擦面(ピストンとシリンダーの間など)から下に落ち、いわゆる「カサカサ状態」で動かすことになり、さらに負担は増えます。しかし、温まっている状態なら、エンジンを一旦切って再始動しても、エンジン本体の負担はごく軽いのです。

アイドリングストップ装置が作動しても、エンジンが冷えている時間はさして変化はないので、シビアさは「若干増える程度」なんです。それより、バッテリーやスターターモーターへの負担の方がはるかにシビアになります。なので、アイドリングストップ車は、そのあたりを大幅に強化しています。

充電制御についても、バッテリー側でそれに対応できるように、充放電性能を強化してあります。つまり、メカ的には、シビアコンディションに対応するように強化されているので、基本的に心配はありません。逆に言うと、そういった対策を取る必要がある分、コストは上昇するわけで、アイドリングストップ車の最大の問題は、そのコストをガソリンの節約効果できっちり回収できるのか?ということです。私は常々、非常に微妙だと考えています。

初期コストと維持コスト(主にバッテリー交換代。バッテリーが通常よりはるかに高価になる)を全額回収するのは、かなり難しいです。もちろん、騒音の減少や大気汚染の緩和(これについては実に微力ですが)には役立ちますが、トータルでどの程度エネルギーの節約になるかというと、単なるアイドリングストップ装置の場合、「ほとんどない」と言っていいでしょう。

MJブロンディの「ひとりごと」

ではなぜ、自動車メーカーはアイドリングストップ装置を取り付けるのでしょう。 それは、「宣伝効果を高める」「エコカー減税対象車に含まれるようにする」などの効果があるからです。

欧州の場合、カタログ燃費をアップさせないと、来年から始まるメーカーごとの二酸化炭素排出量規制に引っ掛かり、莫大な制裁金を取られてしまうという事情もあります。つまり、環境的にも経済的にも割に合うか微妙でも、メーカー側としては、なんでもいいからカタログ燃費を上げないとどうにもならない!という側面があるのです。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

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