トルクコンバーター付のAT車はMT車よりも加速がいいの?

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トルクコンバーター付のAT車はMT車よりも加速がいいの?

AT車のトルクコンバーターについて質問です。

トルコンには「トルクの増幅作用がある」との事ですが、これは仮に同じクルマに乗って、同じギア、同じアクセル量だった場合、MT車と比べてAT車の方が加速する、という事でしょうか。

同じクルマでMTとATを乗り比べた事が無いのでわかりません。自分はMT派なので、もしそうだとしたらなんか悔しいです・・・(イタル)

其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!

MTを駆使して一生懸命クルマを走らせているのに、ATに負けたら悔しい……。その気持ち、痛いほどわかります!

根っからの文系の不肖ワタクシ、厳密に物理の法則に則った説明は非常に困難なので(スイマセン)、ちょっと感覚的な説明になっちゃいますが許してください。

まず、トルコンにはトルクの増幅作用があります。しかしぶっちゃけ、なぜトルクが増幅されるかというと、トルコンが流体継ぎ手(ATフルード)を介して力を伝えていて、その分スリップするからです。

これが最大限発揮されるのが、発進の時です。エンジンが低い回転の状態(たとえばアイドリング)でも、クルマ(ドライブシャフト側)が停止していると、エンジントルクは2倍くらいに増幅されるので、そのままスルスルと発進することができます。これがクリーピングですね。

ただトルコンは、スリップしないとトルクが増幅されず、パワーを伝えることすらできません。

スリップは力のロスですよね?でもスリップするからこそトルクは増幅される。これは結局、おおまかに言ってプラスマイナスゼロ、と思ってください!

昔、ゼロヨン競争(0-400メートル加速タイムの勝負)が華やかなりし頃、同じクルマのAT車とMT車による、全開加速対決テストもずいぶん行われました。すると、うまい人が運転していれば、MT車が若干勝つのが常道でした。

これは、トルクの増幅効果よりも、スリップロスの方が若干多かったから、と考えればよろしいかと思います。その証拠?に、かつてのトルコンAT車は、MT車より燃費が15%ほど劣っていました。

結局、トルコンのトルク増幅効果は、「トルコンがスリップすることで、一段低いギアに入るようなもの」と理解しておけばいいんじゃないでしょうか。あくまで「ようなもの」ですが。ただし、そこにはロスがつきものでした。

その後ATは進化を重ね、変速する時以外は常にトルコンをロックアップ(直結)することで、ロスを減らして行きました。

こうなると、もはやMT車との差はほとんどゼロです。逆にMT車は、クラッチ操作のうまい下手で、AT車に負けてしまいます。ただそれは、トルコンによるトルク増幅に負けるというよりも、変速の素早さに負けるのです。

現在の極度に進化したスポーツAT(あるいはセミAT、ロボタイズドMT、ツインクラッチミッション)が相手だと、通常のMTで勝つのはもはや絶対に不可能です。なにしろ相手は変速に0.1秒くらいしかかからないのですから!

MJブロンディの「ひとりごと」

MT車乗りは、トルコンのトルク増幅効果や、セミATの変速の速さなど気にせず、「俺は自分の力でクルマを操っているんだ!」という誇りを持って運転しようじゃないですか。

今やMT車に乗れるだけで、一種の特殊技能であり、スポーツ選手みたいなものです。それは誇るべきことです!!

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

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