【シート】長時間座っても疲れないシートってあるの?
- 筆者: 清水 草一
- カメラマン:茂呂幸正
【シート】長時間座っても疲れないシートってあるの?
クルマの専門家は、クルマのシートの重要性を力説している人が多いようです。
たとえばドイツ車のシートは硬くて長時間運転しても疲れないとか。シート選びのポイントってあるのでしょうか。
その謎、私がおもしろ可笑しくお答えいたします。
正直言うと、シートの良し悪しについては、判断基準にかなりの個人差があり、専門家が絶賛するシートがそれほどいいと思えなかったり、逆に軽自動車の薄いシートがピッタリ合ったりすることもある。
確かに昔はひどいシートがあった。10年ほど前のアメリカ車のシートや、20年前の国産高級セダンのシートは昔の応接セットのようで、ただフワフワしていて腰がなく、だらしなく座るならなんとかなるが、きちんとしたドライビングポジションを取るのは耐えられなかったりした。
でもいまはもう、特にフロントシートに関しては、そんなひどいシートのクルマはほとんど絶滅している。
アメ車のシートも非常に良くなったし、国産高級セダンだって同様だ。
問題があるとすれば、2列目以降だろう。特にフルフラット化できる機能のついたミニバンの2列目・3列目シートは、今でもかなりひどいものがある。
第一に背もたれの高さが低すぎて、肩が丸出しになるもの。ヘッドレストの高さも足らず、追突を食らった時に頭を守れないものもある。そういうシートは、往々にしてクッションも平板で安っぽく、長時間乗る時はだらしなく姿勢を崩さないと耐えられないものが多い。
今やシート選びでチェックすべきは、主に2列目以降だということを覚えておいてほしい。
清水草一の「ひとりごと」
最近私が最も腰が痛くなったシートは、2年前まで愛車にしていたフェラーリ360モデナのスポーツシートだ。
フルバケットタイプだったが、極端に固くしかもランバーサポート(腰部の押さえ)が皆無で、猛烈に腰が痛くなって長時間の運転は耐えられなかった。
仕方なくお風呂マットを切ってパッドを自作し、さらには低反発マットを入れて、オッサンの自家用車ように座布団だらけで乗っていた。
そんなシートが1脚80万円(?)もするんだからね。私は中古で買ったので文句は言えないが。アルファ8Cのシートも同じ傾向があり、かなり腰が痛くなった。全般にイタリアン スーパーカーのシートは、値段ばかり高くて、私の腰にはまるで良くない。
ただこれは、ランバーサポートが強く出っ張っていないと腰が痛くなるという私の腰の特性によるので、一概には言えません。
逆にチープながらスバラシイと感動したのは、2CVとスバル360のもの。ともにハンモックのような超簡素な構造ながら、体にソフトにフィットして座り心地抜群だった。シートは値段に非ず!