【年末年始】改めて振り返る「フォルクスワーゲン 排ガス不正問題」(1/2)
- 筆者: 清水 和夫
改めて振り返る「フォルクスワーゲン 排ガス不正問題」
フォルクスワーゲン(VW)の排ガス不正問題は、100年超の自動車史の中でもとりわけ大きな出来事と言っていいだろう。
アメリカ政府環境保護局(EPA)がVWのディーゼルエンジンの違法性を指摘したとのニュースが飛び込んできたのは、フランクフルトショー会期中の9月18日(アメリカ時間)のことだった。
今回の最大の問題点は「Defeat Device(ディフィート・デバイス)」の使用だった。ディフィートとは無効化という意味で、このデバイスには排出ガスの室内試験の時だけ浄化装置を有効に作動させ、実際にユーザーが使う時は浄化装置が無効になるという悪質なプログラムが組み込まれていた。いうなればテストに受かるためのカンニングのようなもので、欧米では反社会的行為としてその使用が禁止されている。
VWは2002年からアメリカでディーゼルを販売しているが、2008年に連邦排ガス基準「Tier2Bin5」が施行され、窒素酸化物(NOx)の排出規制が世界一厳しくなっているため、当初は規制を回避するためにディフィート・デバイスを使ったのかと思った。
しかし、現実にはそんな単純な話ではなかった。
そもそもディーゼルでNOxを削減するには高度な技術が必要だ。ディーゼルは空気だけを圧縮して高温になったところで(圧縮すると体積が減り温度が上昇する)燃料を噴射して燃焼する。
ところが空気中には窒素が78%も含まれるので、どうしてもNOxを大量に生成しやすいのだ。ガソリンエンジンもNOxを排出するが、三元触媒という優れた浄化装置で4 NOxを処理できる。だが、ディーゼルはこの三元触媒が使えない。
そこで白金触媒や尿素水を使った触媒を使い、さらにEGR(排気ガス還元装置)を使って排気ガスをシリンダーに戻す装置が必要となる。しかし、NOxの浄化装置をフルに使うと、燃費やエンジンの性能に影響してしまう。ここが問題だった。
「NOxと燃費」、あるいは「NOxと走りの性能」 は二律背反の関係にある。燃費をよくするとNOxが発生しやすく、NOxを減らすと燃費が悪く、さらに走りのパフォーマンスが低下する。燃費や走りはユーザーにとって重要だし実感として分かる。だが、NOxは無味無臭で、排出を理解しづらい。
そこを突いて、VWは排ガス試験のときだけ起動するプログラムを忍ばせたのだ。
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