衝撃のエンディングで注目された「ル・マン」と最高峰と言われる「F1」どちらが凄い?(1/2)
- 筆者: 山口 正己
- カメラマン:トヨタ自動車/メルセデス・ベンツ
WECとF1ではレース形態も違い、闘い方も違う
ル・マン衝撃のエンディングから10日間が過ぎた。あの瞬間より幾分温度はさがったが、ル・マン24時間の余韻がまだ脳裏から離れない。残り6分でトヨタを襲った現実は当分尾を引きそうだ。
ところで、ル・マンといえば耐久レース、F1とは状況が違う。そもそも、マシンも違えばレースの形態が違い、当然闘い方も違ってくる。
F1は、フォーミュラ・ワンの略で、フォーミュラカーの一番偉いカテゴリーだ。フォーミュラカーというのは、一人乗りのレース専用車でタイヤが飛び出しているが、実は、タイヤが飛び出していることには大きな意味がある。
タイヤが露出していると、他車と当たったときに非常に危険だ。回転するタイヤはゴム製なので、例えば追突すると、後ろのクルマはカタパルトのように空中にはね飛ばされる。そこで、タイヤにカバーをつけたら安全になる、という考えもあるけれど、それではフォーミュラカーの意味がなくなってしまう。
フォーミュラカーは、雑に扱うと危険だが、その危険をドライバーがコントロールして、ぶつからないように走る最も難しいレース、という捉え方ができる。妖艶な輝きを放つ切れ味鋭い日本刀に通じる存在だ。
危険をいかに回避するかが、そもそもモーターレーシングの根幹にある思想。そして、最も先鋭的なその思想を反映してタイヤが飛び出しているフォーミュラカーが、ドライバーの技術を問うカテゴリーとしてF1GPを最高峰として位置づけているのだが、だからと言って蛮勇で走っているのではなく、凛々の勇気と同居して、細心の注意と決断力が試される、ということだ。
その意味でも最も先鋭的なレースがF1であり、モーターレーシング最高峰と呼ばれ、そこを勝ち抜いたドライバーには、ワールドチャンピオンの称号が与えられる。
WECとF1、同じコースでタイムを比較してみると
耐久レースは、その名の通り走る距離がまったく違う。F1は長くて2時間のレースだが、WEC(World Endurance Championship/世界耐久選手権)は、ル・マンが24時間、他のレースは6時間で闘われ、主にその時間の長さを考慮して車両規則が決められている。
今年、ポルシェ 919 Hybrid、トヨタ TS050 HYBRID、アウディR18 e-tron quattroが闘う耐久用のWECマシンの上級クラスであるLMP1 Hybridクラスは、最低重量が875kgで、エンジンは気筒数や排気量、搭載位置は自由で4輪駆動が許される。燃料タンクは、ガソリンエンジンで68.3リッター、ディーゼルで54.2リッターまでとされている。出力は約1000馬力。
一方、F1は最低重量が722kgとWECマシンより150kgほど軽い。エンジンは15000rpmに規制された1.6リッターV6ターボ+ブレーキと熱回生によるエネルギーでモーターを回すハイブリッド。燃料は100kg(おおむね130リッター)までとされ、パワーはエンジンが580馬力、モーターが160馬力で、合計740馬力ほどである。そして4輪駆動は禁止されている。
これらの値とボディ形状から、まっすぐな道路を走れば、最高速ではタイヤがカバーされて空気抵抗が小さいWECマシンが速いが、コーナーではF1が上。
F1と耐久レースのマシンの性能の違いは、同じコースで行なわれるタイムを比較してみるとよく分かる。
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