アルファードとヴェルファイアで明暗! かつては上位だった販売シェアが見る影もないヴェルファイア、敗因は「やり過ぎたデザイン」!?

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トヨタの高級ミニバン「アルファード」が売れまくっている! 2021年上半期の販売ランキングではコンパクトカーに続く3位。半年で5万6778台(月平均約9400台)というから凄い。いっぽうで兄弟車のヴェルファイアはすっかり影を潜めてしまい46位。半年で4845台(月平均約800台)という実績である。

しかしこの2台、少し前まではヴェルファイアのほうが売れていた時代もあったのだ。今回はそんなアルファードとヴェルファイアに起きた明暗の歴史について、モータージャーナリストの鈴木 ケンイチ氏が辿ってみる。

目次[開く][閉じる]
  1. 2代目アルファード登場の2008年に誕生した初代ヴェルファイア
  2. 2009年から2017年まではヴェルファイアのほうがアルファードよりも売れていた事実!
  3. 2017年末のマイナーチェンジで状況は一転! アルファードとのシェアが大逆転!
  4. 2017年のマイナーチェンジ、ヴェルファイアが『ちょっとやり過ぎた』ことで明暗を分けた!?

2代目アルファード登場の2008年に誕生した初代ヴェルファイア

トヨタの高級ミニバン「ヴェルファイア」。「アルファード」の兄弟車として生まれ、一時は、兄弟よりも多くの数を販売してきた人気モデルだ。ところが、近年は大きく販売台数を落とし、2021年の夏現在では、なんとたった1つのグレードしか販売されてないという悲しい状況になっている。また、将来的にはトヨタの車種編成リストラで、消え失せてしまうのではという憶測も飛んでいる。

今回は、そんなヴェルファイアのこれまでの歩みを振り返ってみたいと思う。

まずヴェルファイアの誕生は、2008年5月のこと。トヨタの最上級ミニバンであるアルファードが第2世代に進化するタイミングで、兄弟車として追加される格好で、最初のヴェルファイアが登場した。

ちなみにアルファードの初代の誕生は2002年のこと。来年が生誕20周年となるが、昭和から続くような古いモデルではないのだ。

2009年から2017年まではヴェルファイアのほうがアルファードよりも売れていた事実!

その2代目「アルファード」と初代「ヴェルファイア」の開発コンセプトは『威風堂々、ミニバンの頂点』というものだった。

2.4リッターと3.5リッターV6エンジンを擁し、価格は300~450万円。2モデルの中身は同じものの、デザインはアルファードが『上品』『洗練』、ヴェルファイアが『力強さ』『先進性』をうたった。

大きなヘッドライトを使うトラディショナルな顔つきのアルファードに対して、ヴェルファイアは上下2連の4灯の個性的な顔つきだ(そして、同様のデザイン傾向にあるライバルの「日産 エルグランド」も強く意識していた!)。

そしてこの新生モデルであるヴェルファイアが人気となったのだ。

発売年の2008年こそ、年間販売順位(軽自動車を除く)はアルファード19位、ヴェルファイア23位であったが、翌2009年から順位はヴェルファイアが常に上位となったのだ。

それは2015年1月の第3世代へのフルモデルチェンジ後となる2017年まで続いたのだった。

トヨタ ヴェルファイア/アルファード 販売ランキング推移[2009年~2017年]

2009年 「ヴェルファイア」17位/「アルファード」25位

2010年 「ヴェルファイア」12位/「アルファード」25位

2011年 「ヴェルファイア」23位/「アルファード」圏外(30位以下)

2012年 「ヴェルファイア」10位/「アルファード」17位

2013年 「ヴェルファイア」12位/「アルファード」21位

2014年 「ヴェルファイア」22位/「アルファード」29位

2015年 「ヴェルファイア」15位/「アルファード」19位

2016年 「ヴェルファイア」17位/「アルファード」24位

2017年 「ヴェルファイア」22位/「アルファード」25位

※自販連(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会)調べ

2017年末のマイナーチェンジで状況は一転! アルファードとのシェアが大逆転!

ところが、驚くことに2018年から2台の順位が入れ替わる。

この2017年と2018年の間に何があったかといえば、それがデザイン変更を含むマイナーチェンジだ。

トヨタ ヴェルファイア/アルファード 販売ランキング推移[2018年~2020年]

2018年 「ヴェルファイア」25位・「アルファード」15位

2019年 「ヴェルファイア」23位・「アルファード」13位

2020年 「ヴェルファイア」37位・「アルファード」5位

2017年末に実施されたマイナーチェンジに伴うデザイン変更で、「アルファード」は、ヘッドライトが薄型になり、フロントグリルのメッキ加飾部分が拡大。「ヴェルファイア」もメッキ加飾がより広範囲になっている。

第3世代のデザインは「アルファード」が『豪華・勇壮』、「ヴェルファイア」が『大胆・不敵』であったが、それがより強調されることになったのだ。

2017年のマイナーチェンジ、ヴェルファイアが『ちょっとやり過ぎた』ことで明暗を分けた!?

個人的な感想を言えば、アルファードは、ギラギラと強烈な押し出しとなり、ヴェルファイアは、まるでロボットのような顔つきとなった。そして、ここから売れゆきがはっきりとアルファードが上となったのだ。言ってしまえば、デザインの違いが勝負の行方を決めた。

市場は、誰が見ても『これが一番偉い』とわかる押し出しの強いアルファードを求めたのだ。

ちなみに、1クラス下のトヨタミニバンでは『堂々感』の「ノア」と『毒っ気のある格好良さ』の「ヴォクシー」で、ヴォクシーの方が売れ行きは良い。こちらはゴージャスさよりも、外連味(けれんみ)の方が求められているのだろう。

同じトヨタのミニバンでも、クラスによって求められるテイストが異なるのだ。

[筆者:鈴木 ケンイチ/撮影:島村 栄二・TOYOTA]

トヨタ/ヴェルファイア
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新車価格:
655万円892万円
中古価格:
39.8万円2,017.3万円

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鈴木 ケンイチ
筆者鈴木 ケンイチ

1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。最近は新技術や環境関係に注目。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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