軽自動車のEV化はあり得ない? スズキとトヨタがインドでEV協業(1/2)
- 筆者: 桃田 健史
まさかのEV量産化発表に驚いた
まさか、このタイミングでスズキがインドでのEV量産を発表するとは!! しかも、トヨタからEVコンポーネンツを調達するとは!
11月17日、スズキが「インド向けEVでトヨタと協業する」という発表に、筆者を含めて自動車業界関係者の多くがかなり驚いた。
ただし、一部報道にあるような、インド向けEV開発が日本国内でのスズキのEV化を加速させ、軽自動車でもEVモデルがどんどん市場導入されるといった見方は”勘違い”だ。この協業は、あくまでもインド市場に限定したものだ。
インド政府の一部で今年7月「2030年までに国内で発売する全てのクルマをEV化する」という野心的な考えを表明していた。その背景には、モディ首相が目指す次世代技術分野での経済成長を目指す施策「デジタル・インディア」があることは確かだ。
さらには、各種報道でご承知の方も多いはずだが、最近のインドの大気汚染はあまりにも酷く、都市部では大気中の有害物質が空気中の水分と混じり合って、まるで濃霧のような光景になることが増えている。子どもたちの健康被害を防ぐため、学校が休校になることも珍しくない。
インドでは、欧米や中国と比べると排気ガス規制に対する基準が甘いまま、近年の経済成長によって自動車の販売台数が増えているのだ。
そうした中、インドにとってEVが環境対策への即効薬であり、さらに次世代の技術革新のための重要なリソースとして注目が集まるのは当然だと言える。
Aセグメントと軽自動車の関係から日本でのEV化が進む?
今後注目されるのは、スズキがインドで販売するEVは、どの程度の大きさなのかという点だ。インド政府は公用車など向けにEVを早期導入するとして、自動車メーカー各社に対する公募を行い競争入札させた。その結果、インド地場大手のタタがインド政府向けの納入権を獲得した。
同社は2010年代に入って、ノルウェーのEV関連企業を買収するなどして、Cセグメント級のEVを開発している。今回導入されるモデルも、Cセグメント級の乗用車をベースとすると考えされる。
スズキとしては、インド市場のシェア5割強を握る最大手自動車メーカーとしては、スズキがインドの主力としているAセグメントのEV化を狙うのではないだろうか。
日本でのAセグメントとしては、スズキのアルトがある。そうなると、スズキの現行Aセグメント車には軽自動車と構造や部品での共通性があるため、インドでのEV市場拡大は結果的に、スズキが日本で主力モデルとしている軽自動車のEV化が進むのではないか、という発想が生まれる。
この記事にコメントする