スバル BRZ 試乗レポート/マリオ高野(1/3)
- 筆者: マリオ 高野
- カメラマン:茂呂幸正
スバリストには衝撃となった「FR車」の登場!
弱冠ハタチでインプレッサWRX(初代モデル)を新車で購入し、以来18年にわたって20万キロを共に過ごしたマリオ高野にとって、BRZの誕生は「スバリスト人生最大級の衝撃」でありました。
なにしろこの18年間、「AWD(四輪駆動)が理想の駆動方式である!」と信じて疑わずに生きてきたワケで、スバルによる「まさかのFR車の製造・販売」は、「麺は手打ち蕎麦に限る!」としていた名門の老舗蕎麦屋が「スパゲッティはじめました」と言い出したようなものだからです。
長年にわたり「AWDが最強です」と言い続けてきた販売の前線で戦うスバルセールスマンたちも、「実はFRも面白いんです」と説明することには、どこかで違和感を覚えているはず。
しかし、実際にBRZのステアリングを握って運転をしてみると、その後ろ向きで保守的な発想のすべては「愚考」の極みであり、了見違いも甚だしかったことがわかったのでありました!
コレは実に“良いスバル車”だ!
スバリストならば、まず運転席に座った瞬間から「コレは“良いスバル車”だ!」とニンマリするでしょう。視界とシートへの身体の収まり感が完璧な上、ステアリングやシフト、ペダル類の位置関係がドンピシャ!
シートの前後位置とミラーの角度など、ほんのわずかな調整を済ませるだけで即座に戦闘体制が整います。
インテリアのデザインはやや素っ気ないですが、そんなことよりも何よりも、「人間工学に基づいた感」がビシバシ感じられれば大合格!これぞ、紛れもないスバル車!
発進してタイヤが転がり出すと、またしても「コレは“良いスバル車”だぁ!」とヨダレを垂らしそうになります。
サスペンションは硬く引き締まっているのに路面からのアタリは尖っておらず、路面のアンジュレーションを手のひらに感じながら、ただゆっくりと真っ直ぐ走ってるだけなのに「キモチイイ!」「楽しい!」と感じられるこの感覚。最近だと「tSシリーズ」などでも味わえた、なんともプレミアムな手応えです。
交差点をゆっくり旋回しているさなかに、ちょっとアクセルを乱暴に扱うと「キュキュ」とリアタイヤの鳴く声が聴こえるなど、FRであることは市街地でも即座に実感でき、気分が高揚します。
この記事にコメントする