『つながるクルマの未来』ITS白熱討論会レポート/飯田裕子・学生カーソムリエ(AE19)大塩純平(3/3)

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『つながるクルマの未来』ITS白熱討論会レポート/飯田裕子・学生カーソムリエ(AE19)大塩純平
「『つながるクルマの未来』を清水和夫さんと語ろう ITS白熱討論会」にて モータージャーナリストの清水和夫氏 自動車生活ライターの飯田裕子さん ITS Japan 企画グループ 理事の内村 孝彦氏 画像ギャラリーはこちら

AE(アシスタントエディター)大塩純平さん/芝浦工業大学プロフィール:

第1回学生選手権ファイナリスト。軽自動車からレーシングマシンまで、クルマの事ならなんでも好き。11年前にZ33型フェアレディZに 出会って以来、クルマにのめり込む。以来、グランツーリスモを通してクルマの楽しさ、チューニングの奥深さを知る。

学生カーソムリエ(AE19)大塩純平さんの「ITSレポート」

自動車間相互通信や歩行者との通信、交通状況に応じた警告を共有する事によって事故を低減するという技術を未来に向けて搭載したい、というのは、どこぞの入社試験用小論文で書いた事だ。

実はこの技術、ITS:高度道路交通システムと呼ばれ日本が国を上げて普及や研究開発が取り組まれている。だが、実際の所はどの程度導入が進みどこまでが使用できるのか、未だに研究開発段階の部分が多いのではないかという事もあって、“未来に搭載したい技術”として私も小論文の題材にした記憶がある。

第20回 ITS世界会議 東京2013にて

なので、今回ITS世界会議の特別イベントでITSを体験できる、という機会は願っても無いチャンス。現在のITSがどのようなものなのか、そしてITSにはどんな可能性があるのか。

これからを担う若者の一人として、ITSへの理解を深めるべくイベントへと向かった。

ところでITSとはどんな技術であるかを押さえておくと、近年発達した通信技術を使ってより安全快適な移動を実現する技術の事。つまるところ、クルマと何かを通信させて情報を交換し、その情報を利用して安全快適な運転ができるようになる、という事だ。

その“何か”との通信とは、道路上の通信設備と通信する「路車間通信」、車同士で通信する「車々間通信」、そして歩行者と通信する「歩車間通信」の3つを指す。

「ITSスポットサービス体験」体験バスに試乗中の大塩さんカーナビの「路車間通信」イメージ

現在実用化されているのは、道路上の通信設備と通信をする「路車間通信」だ。この路車間通信、ITSスポットとして首都高速道路を初めとする全国の高速道路に導入されている。

通信によって得られる情報には、事故多発箇所での警告のように市販されているGPSレーダー探知機やナビ上でも表示される物もある。しかし、これら二つでは得られない情報がリアルタイムに配信される「交通情報」や災害発生時の「緊急メッセージ」だ。

特に、交通情報については優れ物で、自分の今いる付近の情報だけでなく、目的地に応じた広域の渋滞情報を得ることが可能で、さらにはナビと連動して所要時間が少ないルートの自動選択を行ってくれる。現段階ではITSスポットとの通信は高速道路でしかできない事と、情報を受信する為には専用の受信機と対応のナビが必要となるのが玉に傷ではある。

しかし、ドライブスルーでメニュー等を通信で入手しこちらの注文を車内から送信する、といった実証実験も行われている。こういった道路上との相互通信で、例えば駐車場の空車情報を送信し、駐車スペースを見つけやすいようにするとか、電気自動車であったら充電スポットの待ち時間を表示するといった使い方も考えられるだろう。

では、残りの車々間通信や歩車間通信の方はどうなっているのか。こちらの方は現在各自動車メーカーで実証実験が行われている。これらの通信を行う事でより多くの情報を得て、渋滞しないルートの選択や、見通しの悪い曲がり角での衝突事故や歩行者との接触事故の回避を実現する事が可能になる事だろう。

しかし、従来の方法で画面上に警告表示や情報表示を行うとどうなるか。

基本的に、ナビは画面上に地図を表示するし、現在のITSスポットからの情報も画面上に表示されている。情報が多くなればなるほど、画面に表示される情報も多くなり、結果として運転者が前を見ている時間は短くなってしまうというジレンマが生じてしまう。

安全をもたらす為に作ったはずの物が、かえって安全な運転の邪魔をしてしまう可能性が出てくるのでは本末転倒である。

この点を解消する為には、視覚以外を用いた機械との対話法、つまり視覚以外の最適なインターフェースを考える必要がある。例えば聴覚。勿論ナビゲーションの音声案内はあるし、ITSスポットからの情報も音声で表示される。だが、ナビやITSスポットからの音声案内はどうも長くて丁寧過ぎるというのは今回体験しての感想である。この案内を、より明瞭かつ端的に表す事で運転中に警戒を促す事が可能になるのではないだろうか。

また、メルセデスベンツやBMWに代表されるブラインドスポットアシストのように、死角に物体がある側にステアリングを切るとバイブレーションでドライバーに警告を促すといった触覚で警戒を促すような方法も一つの候補である。

第20回 ITS世界会議 東京2013にて

どうも日本は、ソフトウェアに強みを持つせいか視覚に訴えるインターフェースに偏重した開発が進んでいるというのは問題点だと感じる。勿論、一般に広く普及させるためには車に備え付けられた画面への表示が一番簡素かつ安価な方法であるとは思う。

その次の段階として、標準装備となったITSの情報をいかにして視覚以外で表現するかについての開発を行う事は、より安全な交通の実現の為には必要となってくるだろう。

まだまだ導入が始まったばかりのITS。その活用方法とITSの使い方についてはまだまだ考慮すべき点はいくつもあるとは思うが、周囲の状況をより分かり易くドライバーに伝え、事故を防ぐ安全面や渋滞の回避といった快適面の双方においてよりよい交通を実現する為には必須となってくる技術。

人間から判断を奪わない範囲に限って、今後の技術開発と発展に期待をしたい。

(TEXT:大塩純平)

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監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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