「公共交通って何だろ?」その定義は時代とともに変わっていた|私たちの生活を深化させる“モビリティ”の世界 Vol.2
- 筆者: 楠田 悦子
時代背景や国によって定義が変わる言葉「公共交通」
会話のひとネタにでもなりそうなことをご紹介します。
私たちが何気なく使っている「公共交通」という言葉、実は時代背景や国によって定義が少しずつ異なったり変化したりするってご存知でしたか?
タクシーは公共交通なのか!?
「公共交通とは何か」と問われると、まず電車やバスがあがるかと思います。
ではタクシーは?
筆者が移動手段の取材をはじめたのは2009年ごろ。ちょうど大阪や名古屋にタクシーが溢れて社会問題になっていました。
日本では規制緩和によって、タクシーサービスの質を向上させようとしたのですが、供給が需要を超えてしまったため、歩合制で働くタクシードライバーの収入が低下。かえってタクシーサービスの質が低下する事態になってしまったのです。
そこで“タクシーは地域の公共交通である”とはじめて定義。
併せて、地域の状況に応じて調整することが必要なのではないかという「タクシー適活法」(正確には「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」、のちに「特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」へ改正)も施行されました。
そのころは、今よりもずっとタクシーのイメージが悪く、生活に寄り添うサービスやICT化もほとんど進んでいない状況。当時、タクシーは公共交通だと定義されていなかったことに驚いたことと、果たして公共交通になれるのだろうかと感じました。
そして、「公共交通って何だろ?」ということが、私の中でなかなか上手く整理できなかったことも鮮明に覚えています。
最近ではタクシー業界を上げて、バスなどが走れない地域では、タクシーが地域の足として機能するするといった意思表示を強く押し出すようになり、これまで非常に低かったタクシーに対する自治体の認識が、大きく変わってきています。タクシーは、まだまだ進化できる高いポテンシャルを持った移動手段として、今後の動向から目が離せません。
日本の特殊性は「民間企業が公共交通を担う」点にあった
地域の公共交通の問題を取材していると、また違う角度から「公共交通って何だろ?」の疑問が湧いてきます。その原因は、どうやら公共交通を利用する人と、運行する会社の間で「公共交通」の認識にギャップにあります。
利用する人にとってみると、公共交通はあたかも自治体が提供する公共サービスのような感覚なのかもしれません。そして、年配の方を中心に、要望すれば津々浦々平等に走らせてもらえるように思っている人も多くいるようです。
一方、実際に運行する電車やバス会社は、利用者とは少し違った感覚を持っており、中でも認識のギャップが大きく出るのはバスです。
日本の場合、自治体(市の交通局等)が運行することも減り、バス路線の民営化が加速しています。また、もとから民間企業が運行する電車やバス会社の路線も多数存在。民間のバス会社は当然営利を目的とした企業なので、利益にならないことはしたくないのが本音です。
したがって、民間企業が運行している場合、公共的なサービスと考えるよりも、バス車両の空間をシェアして、たくさんの人を目的地に連れて行ってくれる民間サービスだと考えた方がよいのかもしれません。
しかし、日本のバス産業の成り立ちは、民間企業の努力で地域の移動が維持されるという独自の進化を遂げています。これは世界的にみても非常に珍しいケースであり、我々が誇るべき点であると、改めて強調しておきたいところなのです。
[Text:楠田悦子]
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