F1GP最年少記録樹立のマックス・フェルスタッペンの走行に物議(2/2)
- 筆者: 山口 正己
- カメラマン:Red Bull Racing
マシンが強固になった分、ドライバーの危険意識が減退
その昔、1960年代のF1レースでは、年に何度も死亡事故が起きた。安全が叫ばれて、ジャッキー・スチュワートというレジェンドレーサーが中心になって安全装備や救急システムが充実した。たとえば、救急ヘリコプターが飛べない悪天候ではレースができなくなった。
今からすると信じられないことだが、1968年までF1に装着されていなかったシートベルトが、当然のこととして必須になり、今では、首の骨の損傷を防ぐHANS(Head and Neck Support=頭部と頚部のサポート)が義務づけられ、死亡事故はF1に限ればほぼゼロになった。
別の確度からシャシーは、鉄パイプのフレームからアルミ板のモノコックに進化し、今では強固で軽いカーボンファイバー製になった。かるくて宙を舞ってクラッシュしても、F1での死亡事故はほぼ皆無といえるようになった。
ただし、安全装備やシステムはいいのだが、マシンが進化すると、安全性は高まる反面、別のことが起きてくる。ドライバーが、多少のことでは大丈夫という感覚になって、乱暴な運転をするようになる。2014年の鈴鹿で、作業中のクレーン車にクラッシュした。酷い雨の中でスピードダウンの黄旗信号が出されている中を高速で走ったドライバーがクラッシュして翌年夏に亡くなった。
1990年頃、アイルトン・セナがアラン・プロストにぶつけるアクシデントが何度か起きたが、マシンが貧弱だった1960年には考えられない蛮行だった。つまり、マシンが強固になった分、ドライバーの危険意識が減退したということだ。
安全性を高めたインディカーはクラッシュの数が増加
超高速で走るインディカーではリスクを避けるために、リアタイヤをカバーして安全性を高める処理をしているが、そうしてみたら、クラッシュの数は圧倒的に多くなった。ドライバーの意識が“へっちゃら”になって、無意識のうちに“多少ぶつかっても大丈夫”と思うようになるからではないだろうか。
問題はここだ。自動車は、人間が高速移動できる媒体として誕生した。あくまで、人間主体。そこを忘れちゃいけないのだ。
話は飛躍するが、自動運転のキモがそこにある。テクノロジーの進化は素晴しい。しかし、総ての自動車が移動するだけの媒体になってしまっては、味もそっけもなくなるだけでなく“人の感覚が鈍化する”ということだ。ただし、人の命は大切。このバランスをどこで取るかが自動運転のキモになるのだが、極限的なハイスピードで移動するF1では、その難易度はさらに高くなる。
さてこの理屈、新人類を超越して、もはや宇宙人と呼べそうなマックス・フェルスタッペンに伝わるのだろうか。
[Text:山口正己]
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。