「空のF1」で日本人が初の優勝!室屋選手の快挙で日本人の次の目標はル・マン!?インディ!?(2/2)
- 筆者: 山口 正己
日本人初優勝の瞬間、幕張海岸は割れんばかりの歓声に包まれた
室屋は、強風と高波で中止となった土曜日の予選ラウンド後の会見で、「安全面を考慮しても勇気ある判断。すべてのパイロットはこの判断に感謝しています。チームの状態も非常によく、100%の力を出して、メディアやファンの方々から力をいただければ明日はいい結果を出せると思っている。今日は風を気にせず、お風呂につかって、ゆっくり眠ります」と明るくコメントし、不安の中にも万全な状態で決戦に臨んだ。
エアレースは、参加選手全員のラウンドof14に始まり、2人の対戦方式のトーナメント方式で闘いが展開される。
そこから8人が残るラウンドof8を経て、優勝を決めるファイナル4に進んでいく。2週間前に、日本の拠点となる故郷の福島に飛行機を入れて準備を進めた。トレーニングもいい形で行われ、新しいホイールパンツを導入するなど、機体も進化させていた。
パンツとは、脚のカバーのことだ。厳しい規制の中で、改造が許される数少ないパーツである。時速370km/hの世界では、この形が性能を左右する。室屋はそれを好きな赤にペイントした。
決戦の5日。しかし、実戦の前に、二度行なわれるフリープラクティス1回目、室屋はそこで、機体の軌跡を示すために噴出する規定の白煙が出ないトラブルに見舞れ、1秒のペナルティを受けた。
3番手のタイムを記録していた室屋だが、1分05秒を境に極めて僅差の闘いの中での1秒は、取り返しの付かない大差となる。そのトラブルを解消して臨んだはずのラウンドof14で、再び煙が出なかった。万事窮す!
だがこの日の室屋は、“持っていた”。対戦相手が、オーバーGで失格になったのだ。室屋は命拾いしてラウンドof8に進出した。ラウンドof8をトップタイムで通過した室屋は、のしかかるプレッシャーをコントロールして、最後のフライトであるファイナル4を飛んだ。
フライト順は2番手。前に飛んだ超ベテラン、1分04秒099は、2014チャンピオンのナイジェル・ラムのタイムを上回った。
今年で引退を決めている最年長60歳の大ベテランのラムは、母国でのこの日の室屋を、「今日のヨシは心から尊敬できる。母国で飛ぶのは、周囲からのプレッシャーが並大抵ではないからね。本当に素晴しい」と絶賛した。
残るは二人。チェコの空軍パイロットとして最前線で活躍するマルティン・ソンカと、カビー・チャンブルスが室屋のタイムを上回れるか。
太陽が厚い雲間から降り注ぐ幕張海岸を、二人が渾身のフライトを披露する。
チャンブルスは1分05秒618、室屋の2位が決まった。場内のカメラが最後に飛ぶソンカを追った。場内にしつらえられたモニターには、ソンカ機の映像に室屋機の姿が残像のように合成されて流されている。前半、僅かだかソンカが前だった。
祈るような観客の視線が室屋機とモニターを行き来した。後半、少しだけ室屋が先行したように見えた。ソンカのタイムが発表された時、会場の幕張海岸は、割れんばかりの歓声に包まれた。
ソンカのタイムは1分05秒094。室屋との差は、僅かに0.105秒。室屋義秀の、日本人初制覇が達成された。
「ラウンドof14の時は、風が強かったですが、だんだん風が止んでコンディションが変化していきました。難しい状況でしたが、レースが荒れた方が技術の差が出ますから」室屋は気丈にそう語ったが、ハンガーに戻った最初のインタビューに、言葉を詰まらせ、目を赤くした。
「決まった瞬間に、今までのことを思い出して、極めていい瞬間でした。一人では飛べません。チームのおかげです」
チームとは、機体をメンテナンスするクルーだけでなく、福島でフローしてくれるメンバーや、「そして観客のみなさんや、こうして取材してくれるメディアを含めて、その総ての方々の後押しでいいフライトができました」そうコメントして、今度は外野を泣かせた。
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