禁じ手の自社届出、薄利多売、増税、そして「燃費不正」・・・もはやユーザー“度外視”の「軽自動車」(3/5)

禁じ手の自社届出、薄利多売、増税、そして「燃費不正」・・・もはやユーザー“度外視”の「軽自動車」
日産 DAYZ/三菱 ekワゴン オフライン式(2013年5月) スズキ スペーシア 発表会にて ダイハツ タント スズキ株式会社 代表取締役会長 鈴木 修氏 スズキ ハスラー 発表会にて(2013年12月) スズキ ハスラー 発表会にて(2013年12月) スズキ ハスラー 発表会にて(2013年12月) (左)ダイハツ タント/(右)スズキ スペーシア ムーヴカスタム・ワゴンRスティングレー・N-WGNカスタム ホンダ Nシリーズ スズキ イグニス 画像ギャラリーはこちら

軽自動車メーカーが「届け出台数」に固執する理由

軽自動車メーカーが、届け出台数に固執する理由は3つ挙げられる。

まずは前述の「販売首位争い」だ。軽自動車は日常生活のツールとして使われ、クルマの商品知識が乏しいユーザーも多い。加えて軽自動車はサイズが共通で、今は背の高い車種が増えたから機能の違いが分かりにくい。

ユーザーが選択に迷うことも多く、この時に「軽自動車販売ナンバーワンメーカー」の称号が選択の決め手になる。

ホンダ Nシリーズ

2つ目の理由は、ホンダや日産の参入による「競争のさらなる激化」だ。販売促進を緩やかにすると、スズキやダイハツがホンダに抜かれる可能性も皆無ではない。そこで届け出台数とシェアに固執する。

3つ目は組立工場などの「稼働率を保つ」ことだ。軽自動車は薄利多売の商品だから、数多く製造することが必要。ねらいどおりに売れなくても生産ペースを維持しようとするから、余剰な在庫が生じて未使用中古車として卸す結果を招く。

スズキ、ダイハツともに軽からの脱却を図ろうとしている

スズキ イグニス(左)ダイハツ ブーン シルク/(右)トヨタ パッソ

こういった悪循環を断ち切ることも視野に入れ、スズキは国内で小型&普通車を1年間に10万台を売るという目標を掲げた。直近ではイグニスの発売に続いてバレーノの輸入も開始している。

小型&普通車は軽自動車に比べて1台当たりの粗利が多く、泥試合的な販売合戦もしていない。軽自動車への依存度は現状を保ち、小型&普通車で売れ行きを伸ばすのは合理的な判断だ。

ダイハツも小型車の新型「ブーン」に力を入れ、1ヶ月の販売目標を1000台に設定した。「トヨタ パッソ」の5000台に比べると少ないが、先代ブーンは月販800台が目標だったから、現行型は25%ほど多く売ることを考えている。

以上のように、最近の軽自動車を巡る販売合戦は過熱して中古車市場にも悪影響をおよぼしていたから、スズキとダイハツが小型車に力を入れてクールダウンするのは好ましいと思う・・・と、ここまでは納得できるシナリオ通りの展開であったのだが、今後の流れを大きく変えてしまうであろう出来事が起こった。

三菱の「燃費不正問題」だ。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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