ポルシェ パナメーラ ターボS 海外試乗レポート/河村康彦(2/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:ポルシェ ジャパン
モンスターは、時として優等生にも徹する・・・
ネーミングからも察する事が出来るように、既存の『ターボ』をベースとしたこのモデルの“飛躍”の内容は、「プラス50psと50Nmの出力に、0→100km/h加速タイムを0.2秒の削減」という具合。
さらに、アクティブ・スタビライザー“PDCC”やトルクベクトリング・メカ“PTVプラス”など、『ターボ』ではオプション扱いとされていた“走り”に関わる様々なアイテムが標準化された事も特徴。両者の間には400万円に迫る価格差が存在するが、ポルシェ車に設定される多くのオプションが飛び切り高価である事を考えると、それも納得と受け取るべきだろうか。
ちなみに、そうした両者の見た目上の差は微々たるもの。テールゲート上のエンブレムを除けば、『ターボ』では19インチだった標準シューズが20インチ化され、特徴的な“展開式”のリアスポイラーがボディ同色とされたという程度が、『ターボS』ならではの外観上の特徴という事になる。
標準装備された“スポーツエグゾースト・システム”の、センター・コンソール上にあるスイッチに触れない限り、パナメーラ・ターボSはそのエンジンに火を入れてもハイエンド・サルーンとして納得の静粛性をキープし続ける。いや、満足すべきはその静粛性だけではない。
走り出した瞬間から20インチという自転車並みに巨大なシューズを履く事を意識させない、しなやかなその乗り味に驚かされるのだ。すなわち、最高出力が550psで、0→100km/h加速をわずかに3.8秒でこなすというモンスター級のスペックの持ち主であるにもかかわらず、パナメーラ・ターボSは日常シーンでは決して「荒々しさ」を表に出したりはしない。
構造的にはMTをベースとし、特に微低速域でのスムーズな動きではトルコンAT式に先行を許すとされる“PDK”を名乗る7速DCTのマナーの良さも文句ナシ。さらに、信号待ちではさりげなくアイドリング・ストップも実行と、いわゆる街乗りシーンでのこのモデルの走りは、とことん“優等生”に徹するのである。
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