キャデラック、CTS-Vスポーツワゴンをニューヨークショーで公開
キャデラックは、ハイパフォーマンスなキャデラックVシリーズの最新モデルのプレビューとなるCTS-Vスポーツワゴンを発表した。これは、評価の高いCTS-Vスポーツセダンの性能と高級感をCTSスポーツワゴンの持つ魅力的なデザインと融合したモデルである。
キャデラック・マーケティング担当副社長ドン・バトラーは、「CTS-Vスポーツワゴンは、VシリーズとCTSラインアップ両方の進化形であり、ワゴンの空間の広さを求めるエンスージアストに向けた妥協のないパフォーマンスカーである。Vシリーズ・スポーツワゴンの追加により、キャデラック車の魅力的な存在感とパワーを誇示する代表的なモデルがまた1台増えることになる」と語った。
エクステリアカラーはコンセプトカーの「キャデラック・シックスティーン」で初めて登場したミッドナイト・シルバーで仕上げられ、光沢のあるリキッドシルバー塗装のホイールとグリルのメッシュインサートのブラッククローム仕上げがアクセントとして加えられている。リアエンドには、専用のアッパースポイラーとセンター・ハイマウント・ストップランプも装備される。
インテリアには、アルカンターラ潤・g用した専用ブラックレザーが与えられた。インストルメント・パネルの上部とドアパネル上部は、ミッドナイト・サペリ・ウッドのアクセントが加えられた同じプレミアムレザーで覆われ、ドアパネル下部、ピラー、コンソール・リッド、ヘッド・ライニング、ステアリング・ホイール中央部には、マイクロファイバー素材とステッチが使用されている。また、きめの細かいブラックレザー表皮にアルカンターラ・シート・インサートを加えたレカロ潤・熨葡・ウれている。このシートインサートは中央で分割され、ダークグレーのステッチがアクセントに加えられるとともに、シートバックにはVシリーズのロゴがレーザーエッチングで加工されている。センタースタック、コンソール、ステアリング・ホイール、ドアパネルには、オブシディアン・ブラックのアクセントが与えられている。
このショーカー専用のカラーとトリム素材は、将来のキャデラックモデルに使用される予定のカラーとトリムの1つの方向性を示すものである。現時点ではこうした素材が量産型に採用される予定はないが、キャデラックでは新しいカラーとトリムを選択する際の顧客の反応を見たいと考えている。
CTS-Vスポーツワゴンの生産
CTS-Vスポーツワゴンは、2010年後半にまず北米での生産が開始され、その後、欧州と中東に輸出される予定。これで、セダン、クーペ、スポーツワゴンとCTSシリーズのすべてのボディスタイルにVシリーズが揃うことになる。
CTS-VスポーツワゴンはCTS-Vセダン/クーペ同様に、556HP(415kW)を発揮する6.2L V8スーパーチャージャー・エンジンを搭載。それに6速マニュアル/オートマチック・トランスミッションが組み合わされる。マグネティック・ライド・コントロールやブレンボ製ブレーキ、ミシュラン・パイロット・スポーツPS2パフォーマンスタイヤ/19インチ鍛造アルミホイールなど、技術面や性能面におけるさまざまな機能がパワートレインを支えている。
他のCTS Vシリーズと同様に、スポーツワゴンにもフロントエンドのエアフローを増大させ、高性能を引き出すための専用グリルが装着されている。また、スタイリング面ではアグレッシブなフロントフェースとスーパーチャージャーに対するクリアランスを確保するために中央が盛り上がったアルミエンジンフードが特徴的である。装着されるホイールは19インチ鍛造アルミホイールで、塗装仕上げとポリッシュ仕上げが選択できる。
それ以外のエクステリアデザインについては、以下のように新型CTSスポーツワゴンの魅力的なデザインをそのまま継承している。
• キャデラックを象徴するV字型のリアデッキとテールゲートデザイン
• ライトパイプ技術による大型の縦型テールランプ
• パワーリフトゲート(キースイッチまたは車内のボタンによる操作)
• ハイマウントストップランプ内蔵ルーフスポイラー
• オプションでのクロスバー装着が可能で、スタイリングに違和感のない一体型ルーフキャリアシステム
• 調整式フロア内蔵固定レール付きカーゴ・マネジメント・システム • パノラミック・ウルトラビュー電動サンルーフ(オプション)
リアには、従来のステンレスと比較して表面腐食のない状態を長期間維持できる高品質ステンレス製の高性能デュアル・エキゾースト・システムを装備。左右2本出しのマフラーの先端部には76mm径のクローム・エキゾースト・アウトレットが装着される。
もちろん、ワゴンの特徴である荷室の広さもそのまま。Vシリーズ・スポーツワゴンの荷室容量はリアシートを起こした状態で720リットル。シートを倒せば実にセダンのほぼ倍の容量にあたる1,644リットルの空間が生まれる。
スーパーチャージャーがもたらす高性能
CTS-Vスポーツワゴンには、高い評価を受けているセダン/クーペVと同一のエンジンが搭載される。最高出力556HP(415kW)、最大トルク551lb-ft(747Nm)を発揮するこのエンジンは、キャデラック史上最もパワフルなエンジンである。
搭載されるスーパーチャージャーは、EATON社製インタークーラー付きツイン・ボーティシス・シリーズ潤增iTVS潤增j。この独自設計のスーパーチャージャーには、ねじり角度160度の螺旋構造を持つ4ローブローターが2個使用されている。通常のスーパーチャージャーに使用されているのは、ねじり角度60度の螺旋構造を持つ3ローブローターである。ローブの数を1つ増やしてねじり角度を加え、それに独自のエアインレット/アウトレットポートを組み合わせることで、エンジンへのエアフローがよりスムーズに、より効率的になった。通常の設計方式のスーパーチャージャーと比較して、このスーパーチャージャーは全体的な効率の改善に加え、ノイズ/振動の点でも極めて優れた特性を持っている。
CTS-Vスポーツワゴンには、2種類のトランスミッションが用意される。デュアルディスク・クラッチ付きトレメック製TR6060 6速マニュアル、および、ステアリング・ホイール・マウントのシフトボタン付きハイドラマチック6L90 6速オートマチックである。ステアリング・ホイール・マウントのシフトボタンにより、シフトレバーを操作することなく、ボタン操作のみで、すばやくギアシフトを行うことが可能になっている。パフォーマンス・アルゴリズム・シフティングを使用することで、オートマチック・トランスミッションによる連続ハイパフォーマンス走行時のパフォーマンス指向のシフトパターンが可能になる。他の多くのキャデラックモデルと同様に、シフトレバーを「マニュアルゲート」に入れるだけで、パフォーマンスモードを選択することができる。
スーパーチャージャー・エンジンによる強大なトルクは、6速トランスミッションを介し、熱管理に優れた鋳鉄ハウジングに収められたLSD付きのハイパフォーマンス・リア・アクスルおよび非対称のハーフシャフトに伝達され、スムーズに制御される。この独自技術の特徴は、シャフトを左右に伝わるトルクの振動を力学的にバランスさせ、「パワーホップ状態」を効果的に低減することにも役立つ左右異なるサイズのハーフシャフトの採用である。
マグネティック・ライド・コントロール
Vシリーズは、卓越したレベルのロードホールディング性能と通常の走行条件下での高級車のような落ち着きのある安定感を兼ね備えている。この2種類の走行特性を技術的に可能にしたのがキャデラックの定評あるマグネティック・ライド・コントロール。CTS-Vスポーツワゴンに標準装備されるこのシステムは、世界で最も反応速度の優れたサスペンション技術である。このシステムでは、機械的なバルブを廃止して先進の磁性流体技術で制御されるショックアブソーバーを使用することで、反応速度と正確性を大幅に改善している。
4輪に装着された電子センサがミリ秒単位で路面の状況を検出し、ほぼ瞬間的に極めて高い精度でボディの動きを制御することで、減衰力が常時調整される。これにより、ハードなコーナリングや加速、ブレーキング、その他の車両挙動において、車両の安定感を大幅に高めることができることから、ハイパフォーマンスカーにとっては大きなメリットとなる。
マグネティック・ライド・ショックアブソーバーを採用したことで、減衰力制御の範囲が拡大し、あらゆる走行条件下での乗心地とハンドリングを最大限に確保することも可能になった。CTS-Vスポーツワゴン専用装備として2種類のモード(ツーリングおよびスポーツ)が用意され、グランドツーリングまたはスポーツ志向のパフォーマンス走行に合わせたサスペンションセッティングをドライバーが選択することができる。
長年の磁性流体技術の研究から誕生したマグネティック・ライド・コントロールは、キャデラックが2002年に初めて量産化に成功した技術である。現在この技術は、キャデラックVシリーズ、高級SUVのエスカレード、高級セダンのSTSおよびDTSなど、世界でも数少ない上級モデルにのみ採用されている。
ブレンボ製ブレーキ、ミシュラン製パイロット・スポーツPS2タイヤ
CTS-Vスポーツワゴンには、ハイパフォーマンス技術で知られるブレンボおよびミシュラン両社との共同開発による最新鋭のブレーキ/タイヤシステムが採用されている。制動力を高めるフロント6ピストンキャリパー、リア4ピストンキャリパーを装備するブレンボ製ブレーキが4輪に装着されている。
大径のベンチレーテッドローターにより、強力な初期制動力と同時に熱耐性とフェード耐性が最大限に確保されている。ブレンボ製のブレーキローターは鋳鉄と鋳造アルミを複合した「デュアルキャスト」技術で製造され、卓越したパフォーマンスと重量低減を両立する。
また、電動パーキングブレーキも採用され、ハイパフォーマンス走行に重要な最適なフットレストの配置が可能になっている。
CTS-Vには、ミシュランとキャデラックが共同開発した専用パイロット・スポーツPS2タイヤが与えられた。このタイヤはサーキット走行時に高いレベルのグリップを確保すると同時に、公道走行時にも卓越した性能を発揮する。
快適性、スタイル、テクノロジー
CTS-Vスポーツワゴンの最新鋭の計器類、LED照明、ハンドカット/手縫い仕上げのアクセントなどはセダンとの共通装備である。
CTS-V スポーツワゴンの生産モデルには、コーナリング中のドライバーおよび助手席乗員のホールド感を高める穴あき加工によるスエード製のマイクロファイバー・インサートが特徴のパフォーマンス・シートが標準装備される。スポーツ走行に最適なサポートをもたらすレカロ・パフォーマンス・ドライビング・シートはオプションで装着可能。この14ウェイ・アジャスタブル・パフォーマンス・シートは、シートクッションとバックレストに空気圧式シート調整システムを内蔵している。
パフォーマンス・シートの他にも、厚みの少ないステアリング・ホイールとパフォーマンス走行時の視認性の高い計器パッケージにより、完成度がさらに高められている。大型のメーターには、エンジンがレブリミットに近づくと点滅するタコメーター内のLED照明による「トレーサー」機能を内蔵した力強いデザインの文字盤が与えられている。また、ブーストメーターと横G表示を行うメーターも装備される。
センタースタック、コンソール、ステアリング・ホイール、ドアパネルには、オブシディアン・ブラックのアクセントが与えられている。生産モデルのステアリング・ホイールとシフトレバーには、オプションでアルカンターラも用意され、スエード風の高級感あふれる感触が味わえる。こうしたアクセントはエレガントなタッチを演出するとともに、パフォーマンス走行中のドライバーをサポートする装備でもある。他のCTSモデルと同様にVシリーズにも手縫いのステッチがインストルメント・パネル、ドアトリム、センターメールに施されている。
また、最新のインフォテインメント・システムも装備される。ポップアップ式ディスプレイ付きの先進のナビゲーション・システム、ボーズ5.1デジタルサラウンド・オーディオ、メーカー装着のBluetooth電話接続機能、ユーザーが多数の音楽ファイルを保存することのできる40GB HDDなども標準装備される。このシステムでは、USBポートまたはインダッシュDVD/CDドライブを経由して曲を保存し、オーディオコントロールボタンで検索/選択が可能である。
なお、日本への導入は未定となっており、本文記載の仕様はすべて本国のものとなっている。