F1GP残り6戦、チャンピオン争いはメルセデスの同門同士の争いに絞られた!?(2/2)
- 筆者: 山口 正己
- カメラマン:ダイムラーAG
チャンピオン経験の差がどうなるか
ただし、3番手以下のドライバーがチャンピオンになるには、残りのレースで少なくともメルセデスの前でゴールすることが必須。3位のダニエル・リカルドさえ、優勝を続けても、ロズベルグとハミルトンが2位なら7点しか差が付かないことになり、そう考えると逆転の可能性は限りなくゼロに近いといえる。
つまり、チャンピオンはメルセデスの同僚であるニコ・ロズベルグと、ルイス・ハミルトンに絞られたと言ってほぼ間違いない。
となると、今度はロズベルグとハミルトンの比較になる。残りレースが少なくなればなるほど、得点の差よりも重要になることがある。それは、チャンピオン経験だ。経験のなさが重圧になり、力を出せなくなるのだ。
ワールドチャンピオンの称号は、欧米、特にヨーロッパでは、我々が考えるよりはるかに価値がある。ハミルトンはイギリス籍、ロズベルグはドイツ籍。イギリスもドイツも、自動車じたいが文化的に溶け込み、それを使って戦うモーターレーシングの認知度は、日本では考えられないくらいに高いのだ。
タイトルマッチのドライバーの状況を分かりやすく伝えるケンウッドの話がある。マクラーレンのラジオシステムを担当するケンウッドは、1992年からマクラーレンと契約し、長年のパートナー企業として信頼関係にある。
1998年最終戦日本GPは、マクラーレンのミカ・ハッキネンが、フェラーリのミハエル・シューマッハと初めてワールドチャンピオンをかけたタイトルマッチの舞台にたった。ハッキネンはポイントリーダーだったが、シューマッハとの差は4点。いつひっくり返されてもおかしくない差、相手はターミネーターと呼ばれるミハエル・シューマッハ。ハッキネンを不安にさせる要素が満載だった。
人間模様が如実に現れる残り6戦に注目
その状況を察知したのが、ニキ・ラウダ、アラン・プロスト、アイルトン・セナなど、何人ものワールドチャンピオンを排出しているマクラーレンの総帥ロン・デニスだった。ドライバーの心理を知りつくしていたデニスは、初めてのタイトルマッチで不安な心境のハッキネンに、レース中にエールを送ることを考えていた。そして、ケンウッドのエンジニアに「無線がよく聞こえるようにしてほしい」と注文した。
申し出を受けたケンウッドのエンジニアは、「デジタルに振るか、アナログに振るか」と聞き返した。デジタルにすると言葉はよく聞こえるが、機械的な声になる。アナログにすると人間的な声になるが聞こえにくくなるからだ。
ロン・デニスは「私は気持ちを伝えたい」と答えた。その言葉にケンウッドのエンジニアたちは燃え、気持ちを伝えるアナログの声を、デジタルレベルまで高める性能を達成した。そのおかげで、デニスのエールを聞いて力を発揮できたハッキネンは、シューマッハを倒し、ワールドチャンピオンを獲得した。
さて、ハミルトンはすでに3度のワールドチャンピオンを経験している。ロズベルグにその経験は、ない。ここから先の6レースで、ニコ・ロズベルグは、レースが消化される毎により不安な状況に置かれていく。速さでは一枚上手と思われているハミルトンが相手だ。ロズベルグは、いわば針のムシロの上で残りのレースを戦うことになるということだ。
初めてのタイトルを意識したニコ・ロズベルグがどんなレースをするのか、そしてハミルトンがどう受けてたつのか。人間模様が如実に現れる残り6戦。二人の戦いが楽しみである。
[Text:山口正己]
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