なぜレクサスは日本で成功できたのか!? 「日本で高級車ブランドは定着しない」という常識を覆した凄まじい功績とは!?

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トヨタ、日産、ホンダの国産3メーカーは海外で高級車ブランドをそれぞれ持っている。しかし日本展開しているのはトヨタのレクサスのみだ。

それだけ高級車市場は厳しいとみられており、かつては「いくらレクサスでもドイツ御三家には敵わない」と言われたこともあったが、いまや富裕層は積極的にレクサスを選んでいる。はたして、その成功に至った背景には何があるのだろうか。

目次[開く][閉じる]
  1. 北米で生まれた日系プレミアムブランドのひとつがレクサスだ
  2. レクサスは2005年に日本から展開! 3モデルがラインアップされた
  3. レクサス大成功の要因はRXの功績が大きい!

北米で生まれた日系プレミアムブランドのひとつがレクサスだ

トヨタの高級ブランド「レクサス」が絶好調だ。2021年1月~7月までのグローバル販売は48万8937台で前年比132.5%、国内販売は3万5051台でこちらも前年比127.8%と、いまだコロナ禍というムードの中で、見事な復活を遂げている。これはプレミアムブランドの中でもトップといえる数字だ。

事実、輸入車の雄メルセデス・ベンツの1月~7月の国内販売台数は3万1782台となっている。

さて、あらためてレクサス(LEXUS)の誕生に遡って、そのブランドが誕生した背景を整理しておこう。はじめてレクサス・ブランドが立ち上がったのは1989年で、ご存知のように北米市場を舞台に展開していた。

1980年代には日本メーカーが勢いづいていた

1980年代には、ホンダがアキュラ、日産がインフィニティというプレミアムブランドを立ち上げている。いかにも日本車とわかるブランド名ではない、ブランドを確立することが次代のブランディング、マーケティングに必須という経営判断を3社が同時期に行なったというのは、けっして偶然ではない。必然として生まれたといえる。

もちろん、ブランドの企画をした1980年代は日本がバブル経済で「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われていた時代。それだけ日本のメーカーに勢いがあった。

3社がまず用意したのはフラッグシップサルーン

その象徴となったのが、フラッグシップサルーンだ。ホンダはアキュラのためにレジェンドを誕生させた(当時は北米でもレジェンドの名前で売られていた)。日産はインフィニティのためにQ45というV8エンジンを積んだサルーンを用意した。これは、日産インフィニティ Q45として日本でも販売された。

そしてトヨタはレクサス LS、言わずもがな日本名セルシオを生み出した。世界の高級車基準を変えたといわれるほどの静粛性とスムースネスを持つセルシオは、日本においてもトヨタの新しいフラッグシップとしてあっという間に浸透していったのは、バブルという時代だからだったかもしれない。

レクサスは2005年に日本から展開! 3モデルがラインアップされた

そうした日系3社のプレミアムブランドは、なかなか日本で展開することはなかった。プレミアム性を維持するためには従来商品と併売というわけにはいかず、バブル崩壊によって高級車マーケットが縮小したかに見えた日本市場でアキュラやインフィニティを展開するのは冒険に思えたのだ。しかしレクサスは、満を持して2005年秋に日本での展開を始める。

当初のラインアップは、小型セダンのIS(旧型の日本名:アルテッツァ)と中型セダンのGS(同:アリスト)、そしてオープンクーペのソアラを小変更でSCとしてレクサスの仲間に加えた。こうした3モデルでの船出となったのだ。

日本ではセルシオをLSにシフトさせたことでレクサスのイメージが高まった

とはいえ、あくまでもこの時代は助走期間。2005年の東京モーターショーでお披露目されたレクサスLSは、日本でもセルシオからLSにシフトして販売されることは明らかであり、日本での販売が始まった2006年秋からレクサス・ディーラーにイメージはグッと上がっていった印象がある。

正直いって、それまで国内におけるセルシオのブランド力は絶大だった。その名前を冠したマンションさえあったほどで、ブランディングの専門家がセルシオの名前を捨ててしまうことはもったいないと指摘したこともあった。

しかし、トヨタはセルシオをレクサス LSとして生まれ変わらせた。これがレクサス・ブランドの確立には大きな力となった。

結果的に、ブランドの助走期間とLSのティザーとの見事な連携によって、セルシオの持つブランド力をレクサスに重ね合わせることができたのだ。

レクサス大成功の要因はRXの功績が大きい!

とはいえ、販売台数でいえばレクサスの日本における成功につなげたのはセルシオではない。それはレクサス RXだ。

もともと日本版はハリアーとして売られていたRX。あまりにもハリアーの名前が強すぎたため、2007年に三代目RXがフルモデルチェンジしてレクサス・ディーラーで売られていたときにも、二代目がハリアーの名前のまま継続生産されたほどだ。

これについては、当初はブランディングとしてブレているという印象もあったが、今となっては結果的にはレクサス RXとハリアーはそれぞれが強いブランド力を持つモデルとして並び立っている。

セルシオをLSに変えるようなドラスティックな変革だけではなく、ユーザーの感情に寄り添って徐々にレクサス・ブランドを浸透させるという手法も効果的だった。

そしてレクサス RXは、レクサスの屋台骨として販売の中心となっていく。そもそも世界的なプレミアムSUVブームを作ったのはRXである。

プレミアムSUVのメインストリームにあるモデルが、高級ブランドとして確立したレクサスの中で売れないわけがない。さらに、その弟分としてNX、UXというモデルも誕生。ランドクルーザーと基本メカニズムを共通とするLXも加えて、レクサスのSUVラインアップは拡充した。

これらのモデルが売れるのはプレミアムブランドのSUVだからというだけではない。なにより見逃せないのは、そのリセールバリューの高さだ。それはすなわちオーナーの満足度につながり、リセールバリューがいいので新車が売れるという好循環を生み出した。その結果が、冒頭で記したようなレクサスの好調につながっているのだ。

【筆者:山本晋也】

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山本 晋也
筆者山本 晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ1969年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、雑誌編集長などを経て、2010年代からWEBを舞台に自動車コラムニストとして活動している。タイヤの数や有無にかかわらずパーソナルモビリティの未来に興味津々。「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることもポリシーのひとつ。個人ブログ「クルマのミライ」やYouTubeチャンネルでも情報発信中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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