今では"都市伝説"!? 「青系のボディカラーは事故率が高い」って本当?
- 筆者: 近藤 暁史
- カメラマン:茂呂幸正/トヨタ自動車/ダイハツ工業/ホンダ/JAF/MOTA編集 部
ボディカラーと事故の関係は話題にのぼることがよくある。簡単に言ってしまうと、明るい色と暗い色を比較した場合、暗いほうが事故に遭う確率が高いというもので、当然と言えば当然。
また「青の事故率が一番高い」という説も聞いたことがあるのではないだろうか。しかし、クルマはさまざまな環境の中を走るため、"ボディカラーは問わない"というのが答えだ。では、どのように対策すべきなのだろうか。詳しく解説しよう。
暗い色の方が目立ちにくいため、事故につながりやすい
そもそも、ボディカラーと事故率についてのデータを探してみても、なかなかこれだ、というのはなくて、あっても海外のもの。青の事故率が高いというのに至っては約50年前、1968年に出版された書籍が起源だったりする。
最近のデータとしてはニュージーランドのオークランド大学が行った調査がよく引き合いに出されるが、茶と黒が多くて、青はそれほどの率でなかったりするから、「青が一番事故に遭いやすい」は今や都市伝説並みの話なのかもしれない。
普通に考えれば、黒や濃紺といった、濃かったり、暗い色は目立たない、白やシルバーのような明るい色は目立つというのは当たり前で、それが事故率の高い低いにつながるのも当然だ。
ちなみに青が事故に遭いやすい理由として昔からあげられるのは、青色はいやし効果があって油断するからだったりするので、結局は確証的ものではないような気はする。
濃い色は小さく見えやすく、寒色系はより後ろに見えやすい
色で言うと、もうひとつの要素として関係してくるのが膨張色と収縮色というもの。これは同じ大きさのものでも大きく見える色と小さく見える色で、前者ははっきりとした色味で、後者は濃い色味となる。なぜそう見えるかというのは周囲とボディの境界線がくっきりとしているか否かで、事故との関係で言えば、膨張色のほうが当然発見されやすい。
また、進出色と後退色というのもあって、暖色系は前にせり出して見えて、寒色系はより後ろに見えるのがそれぞれの特徴だ。色の波長の違いでそう見えるのだが、クルマの場合、実際よりも近かったり、遠かったりするので、こちらもまた事故と関係すると言っていいだろう。
ただ、クルマの場合は、刻々と変化するさまざまな環境の中を走るため、今まで紹介した色による見え方の違いなどがすべてきっちりと当てはまるとは限らない。たとえば本来、目立つということで事故遭遇率が低いとされる白やシルバーでも、雨や霧の中、トンネルの中では溶け込んでしまうことがある。
とくに最近のトンネルで使用されるライトは白色のLEDだったりするのでなおさらだ。もっと言ってしまえば、晴れていても背景にある風景によっては本来は目立つ色も目立たないこともある。
他車が見えにくい環境ではライトを点灯することを心がけたい
対策としては、雨や雪、霧、トンネルの中ではなにはなくともライトを点灯することに尽きる。目立たないところで目立たせる方法はこれだけと言っても過言ではない。少しでも視界が悪い中を走る際、目立つという点ではライトの効果はかなり大きい。
これぐらいなら大丈夫と思って油断しているからなのか、視界が悪いなかでも点けていないクルマが結構いるのは気になる。薄暮も見えにくい状態のひとつだが、こちらは目が慣れていないこともあるし、刻々と暗くなっていくから惑わされやすいので注意が必要だ。
いずれにしても大丈夫と思う前に、試しにミラーでライトを点けていない後続のクルマを見てみてほしい。ボディカラーうんぬん以前に、予想以上に目立たないはずだ。ミラーの中の他車は自分の姿と心得て、ライトを点けて存在をアピールすることは大切なことだと肝に命じてほしい。
【筆者:近藤 暁史】
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