補償範囲を誰にするかによって保険料は変わる?
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任意保険で補償される人とは?
自動車保険には家族限定、夫婦限定、本人限定といった運転できる人を限定する特約があります。これは運転手に制限を持たせることで、全体の保険料を安くする狙いがあります。
運転者の限定はその保険の機能を運転者で制限する内容ですが、一方で被害者に対して補償される人とされない人を区別することはできるのでしょうか? 自動車保険には自賠責保険と任意保険がありますが、そのいずれも最優先で補償されるのは被害を受けた他人となります。被害を受ける人を事前に想定することはできないので、「○○区と△△市内の人だけ」とか「10人以上100人未満まで」といった具合に補償範囲を設けることはできません。よって、保険金額も増減はできないことになります。
では被害者ではなく、契約者側の立場にある自分や家族、自分の車の搭乗者に対する補償について事前に範囲を設けることはできるのでしょうか? それぞれ保険種目別に確認してみましょう。
「搭乗者傷害保険」…契約している車に乗っている全ての人が補償されます。ただし定員オーバー、車両の窓から身を乗り出す、荷台に乗車する、などの場合は補償されません。
また車から降りた後の事故も補償されません。補償範囲には家族や他人などの区別はできず、正しく搭乗している人全てになります。
「自損事故保険」…ドライバーの過失による事故によって搭乗者が身体に損害を負った場合に補償されます。これも正しく搭乗している人が全て補償範囲となり家族や他人などの区別はありません。
「無保険車傷害保険」…契約車両に搭乗中の事故で相手方が当て逃げした、相手が保険に入っていなかったといった場合に保険金が支払われます。補償範囲は正しく搭乗している人全てとなり、家族や他人などの区別はありません。ただし、「記名被保険者」「記名被保険者の配偶者」「記名被保険者の同居親族」「別居の未婚の子供」は歩行中や他の車に乗車中も補償OKとする会社もあります。この区分を他人にまで拡大することはできません。
唯一補償範囲を決定できる人身傷害補償保険
以上の3つは契約者側が受けられる基本的な補償となります。この補償をさらに充実させたのが人身傷害補償保険です。
「人身傷害補償保険」…過失割合に関係なく、迅速な保険金支払いが受けられ、単独事故、当て逃げなども補償を受けることができます。
この保険の補償範囲は事故時の条件に対して設定できる内容があります。
【契約車両に乗車中のみ限定】…保険に契約している車両のみに限定した場合、その車に乗っている時だけ補償を受けることができます。家族や友人等の区別はなく車に乗っている人全てが補償を受けられます。
【契約車両以外も補償】…歩行中や他の車に乗車中も補償する契約です。補償される人は「記名被保険者」「記名被保険者の配偶者」「記名被保険者の同居親族」「別居の未婚の子供」となり、他人を補償することはできません(他の車両を契約者が運転中、同乗していいた人は含まれるとする会社もあります)。 これら2つの補償範囲については後者のほうが割高となりますが、安心度は大きく違います。家族が多い場合などは後者を選択してもコストに十分見合うのではないでしょうか。
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