欧州プレミアムワゴン 徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:山口敏尚
プレミアムワゴンの王道を極めたか?
新型V70は、おしなべて、価格の上昇に対してクルマの内容的には大幅に向上したと思っている。それは、従来モデルのネガ潰しに終わらず、プレミアムワゴンとして、どのようであるべきかを本気で追求した結果、このようなクルマに仕上がったのだろう。それは、視覚的にもそうだし、運転した感覚においても、強く感じられる。
ステーションワゴンというカテゴリーにおいては、すでにボルボは世界が認める存在である。そこには今やドイツ勢を中心とするプレミアムブランド各車も存在する。そしてボルボは、ハンドリングや高速走行時のスタビリティなど、ドイツ車が得意としている部分には、さすがに及んでいない部分も多々あることは否めない。
それでも新型V70は、ドイツ車よりも積極的に選びたくなるような魅力をいくつも備えていると思えるのだ。
アウディの崇高な世界をリーズナブルに
アウディのラインアップの中で、もっともまとまりがよいと思うのがA6である。そのワゴン版がこちらであり、高級感と、アウディのクワトロ車らしい走行性能。ボルボほどではないが、積極的にワゴンモデルを選ぶイメージもある。追加された2.8FSIエンジンは、優れた動力性能を示しつつ、燃費にも優れるという、スグレモノである。
また、アウディといえば、やはりクワトロだろう。この2.8FSIも、実はエンジンこそ最大のトピックのモデルであるが、「廉価版のクワトロが追加された」というイメージのほうが強いように思えるのは少し残念ではある。
繰り返すが、A6というモデルは、個人的にはアウディの中でもっともまとまりのよいクルマではないかと思っている。A8よりも高級感を感じるところもあるし、A6は高級感と、実際の快適性、操縦性、運動性能、動力性能どれをとってもすごくいいところに落ち着いていると思えるのだ。
本質はあくまでもBMWであること
セダンのイメージのほうがはるかに強いBMWだが、このとおり本格的なワゴンであるツーリングも設定され、プレミアムワゴンの人気上昇とともに、徐々にその存在感を高めているイメージがある。室内の仕立てや装備の充実ぶりを見るにつけ、3シリーズのツーリングに比べても、はるかに高級なワゴンとして仕立てられている。BMWらしいデザインと、走りを楽しめる。
本気でワゴンとして使おうというよりも、あくまでBMWが好きで、BMWのワゴンに乗るライフスタイルを楽しむとか、プラスアルファのラゲッジスペースを確保しておくといった感覚で、選ぶ価値のあるモデルだと思う。
ただし、どのようなつもりで買うとしても、BMWならではのエンジンフィールや、良くも悪くもアクティブステアがもたらすハンドリングの楽しさなど、このクルマが本質的に持つ魅力は、いずれにしても堪能することができる。
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