欧州プレミアムワゴン 徹底比較(2/4)

欧州プレミアムワゴン 徹底比較
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プレミアム・エステートに相応しい堂々たる容姿と走り

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「プレミアム・エステート」を標榜するV70は、ずいぶん大きなクルマになったというのが第一印象である。数値的にもほぼS80と同等であり、今回の3台の中で、もっとも大柄なクルマとなる。

かつてはボルボというとスクエアなボディが個性的であったが、「V70」と名乗るようになったころから様相は変わった。スクエアな中に有機的な抑揚のあるスタイルとなってきた。そして新型V70は、先代V70の延長上にありつつ、誰の目にも高級に、かつ新しいクルマに見え、さらにはスポーティなイメージをアピールするクルマとなった。

また、リアウインドウが直立に近い状態で設定されていながらも、フロントウインドウは大きく傾斜しており、それでいてバランスが悪く見えることはないという、上手い具合にデザインされている。

走りは、先代V70に比べると、別物といえるほど進化を遂げた。まず、1.9トンに達しようかという重量級ボディながら、運転感覚としては、それを感じさせないほど軽快である点に驚く。

動力性能については、フロントに横置きされる直6エンジンは、いわゆるライトプレッシャーターボ仕様であり、6速ATとの組み合わせで、非常にスムーズでリニアな加速を示す。フットワークも軽快そのものだ。ステアリングの操舵力も軽く、以下のドイツ車2台にあるドッシリ感とは対照的な身軽さがある。「FOUR-C」と呼ぶダンパーの機構により、3段階に減衰力を調整できるのだが、最弱の「コンフォート」でも、腰砕けになることはない。

高速巡航時にはフラットライド感があるし、静粛性も高い。ちなみに、約1年前のS80のデビュー直後に試乗した際には、転舵時のストローク時のジオメトリー変化によるライントレース性の悪さが少し気になったのだが、V70ではそれが払拭されている。惜しむらくは、従来よりも改善されたものの、ステアリングの切れ角はもう少し欲しいところではある。

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質実剛健かつ上質な実力派ステーションワゴン

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セダンのA6をベースに、ルーフを延長してステーションワゴン化したA6アバントは、スポーティでスタイリッシュなプレミアムワゴンである。セダンと共通となる、アウディのアイデンティティであるシングルフレームに始まるボディは、全体を柔らかなラインで包む。ワンモーションのような円弧を描くルーフが印象的なセダンに対し、アバントはいくらかオーソドックスなワゴンスタイルとなる。

今回取り上げた他の2台も含め、市場でライバルとなる各車が、個性をより強くアピールすることに邁進する中で、アウディはあくまで控えめといえる。とはいいつつも、従来よりもいくぶん強めにアイデンティティを打ち出すようになったのが、最近のアウディのキャラクターでもある。

LEDのテールランプや、ヘッドランプのデザインにも統一モチーフを使っているが、これは、暗い場所で見ても、ひと目でアウディとわかる。また、セダンではそれほど感じないのだが、アバントとなると、キャビンに対してウエストライン以下が大きく張り出している様が、特にリアから眺めると印象的に見える。

2007年夏に新開発の2.8L FSIエンジンが追加された。この2.8Lエンジンは、「アウディ・バルブリフトシステム」と呼ぶ2段階可変のバルブリフト機構を搭載し、自然吸気エンジンにもかかわらず、3000~5000回転という範囲で最大トルクを発生する特性となっている。

また、積極的なシフトダウンなど緻密なシフトスケジュールの制御を行なうATとの組み合わせで、パワートレインの印象はいたってスムーズ。低-中回転域での再踏み込み時にもパンチのある加速を示すなど、3.2Lに比べても遜色ない動力性能と、2.4L直4なみの燃費を実現していることが確認できた。

ハンドリングは、さすがのものがある。ボディ剛性が高く、ステアリングフィールにも剛性感があり、切り始めから大転舵時までずっと一体感がある。さらに、クワトロの恩恵で、常に高いスタビリティに守られつつ、優れたライントレース性をもたらす。この操縦感覚は、アウディのクワトロならではのものがある。

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エキゾチックな佇まいとスポーティな乗り味

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それまで比較的オーソドックスだった5シリーズのスタイリングは、現行型でこのように変貌を遂げた。ずいぶんと思い切ったモデルチェンジは大いに物議を醸したものだが、現時点では、この路線を進んだのは英断だったといえるだろう。

先に発売されたセダンに通ずるモチーフを採り入れたボディは、エキゾチックな雰囲気。ワゴンの中でも、スペシャルな存在と思える。M-Sportパッケージを装着するとエアロパーツやホイールなど、ご覧の通りのルックスとなる。

足まわりにも強化サスペンションが与えられるが、これは引き締まったスポーティな乗り味を提供する反面、乗り心地としては、やや固さが感じられるのは否めない。ただし、従来のM-Sportサスペンションに比べると、かなりカドの取れた印象となり、これなら個人的にも、もし選ぶとしてもM-Sportを選びたいと思う。

バルブトロニックを採用したストレート6は、3Lエンジンの中で世界最高といえる絶品のフィーリングを持っている。低回転域から力強く、トップエンドまでスムーズかつ痛快に吹け切る。その過程の盛り上がり感や、奏でるサウンドも素晴らしい。ペダル操作に対するレスポンスも素晴らしく、力感もある。いったいどうチューニングしたらこのように仕上がるのだろうと思うほど、リニアに仕上がっている。

日本仕様の5シリーズには全車標準装備されるアクティブステアリングは、このクルマのデビュー当初のものは、かなり違和感を伴ったものだが、ずいぶんと洗練された。操舵力は重めの設定で、ドッシリとした直進安定性があり、それでいて低速時には従来どおりクイックな操縦性を味わえるのである。いまだ、どのくらい切ったらどのように曲がるかという動きの読みにくさはあるものの、違和感はかなり薄れた。

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デザイン・スペックの総評

いずれもプレミアムなワゴンであることを感じさせる点は共通だが、そこにある味はそれぞれ。ルックスにも走りにも、各車の個性がいかんなく発揮されている。価格はほぼ同等ながら、個性の強さでいうとBMWが強く、クラス上のプラットフォームを手に入れたV70は、やはりこの中ではクラス上の印象のクルマとなった。ドイツ車とボルボは、やはり違う。アウディは、クルマとしての基本的な素性を磨き上げたところ自体が強み。もっとも万人向けであり、それでいて手にした誰しもが大きな満足感を得られるであろう。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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