日独伊スペシャリティクーペ 徹底比較(2/4)

日独伊スペシャリティクーペ 徹底比較
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高性能エンジンを積むクーペボディ

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基本コンポーネンツはハッチバックの1シリーズより受け継いでいる。ハッチバックの130i Mスポーツよりも、さらに上級モデルとして位置づけられている。

エクステリアデザインの随所にハッチバックとの共通性が見受けられものの、2ドアとなり、独立したトランクを持ったことで、むしろ3シリーズクーペの弟分的な雰囲気となっている。個人的には、もう少しリアピラーがなだらかにトランクにつながっていてもよかった気がする。

動力性能は文句なし。同じエンジンを搭載する335iにもパフォーマンスの高さに感心したが、1シリーズクーペではいくぶん軽量になっていることで、さらに上の動力性能が体感できる。しかも、過給機付きながら高圧縮のエンジンは、レスポンス遅れを微塵も感じさせない。

足まわりは、Mスポーツ仕様のサスペンションを装備し、18インチのランフラットタイヤを履く。とはいえ、一般走行においては初期の当たりの硬さ感が払拭され、快適な乗り心地が確保されている。攻めた走りにもしっかり対応し、フラットライドを実現している。

1シリーズクーペには、1シリーズとして初めてアクティブステアリングが設定された。これは、従来と同じく、中立から切り始めた瞬間や深く切り込んだ時、リニアさには欠けるが、ドライバーにアジリティ(=俊敏性)を楽しませることには長けており、3シリーズよりも制御が洗練されたように思う。さらに、カタログモデルに対向ピストン(フロントは6ピストン!)のブレーキがようやく与えられたこともニュース。一般走行でも、キャパシティの大きさは十分に感じられる。

惜しまれるのは車重である。BMWのエントリーモデルにもかかわらず1530kgにも達しており、それはドライブしていても体感される。もう少し軽くできなかったものだろうか?

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流麗かつ華美なスタイリング

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ただでさえ希少となった国産スペシャリティクーペだが、世界的にもこれほど流麗かつ華美で、存在感のあるスタイリングのクーペは、そう多くは思い当たらない。

走りは、現行のZ33フェアレディZや、先代V35スカイラインクーペや、あるいは現行V36スカイラインセダンに比べても大幅に洗練されている。駆動系の緻密さや、ステアリングフィールのシュアな感覚など、ひとつひとつの要素が洗練された。

エンジンは、今のところクーペ専用となっている333psのVQ37VHRユニットを搭載。従来のVQ35DEに比べて、格段にスムーズでパワフル。セダンのVQ35HRと比べても、プラス200cc分の余裕というよりも、エンジンの素性そのものが改良された印象で、より緻密な回転フィールを示す。それはサウンドのよさにも表れている。

フットワークについては、4WAS(4輪アクティブステアリング)の採用が、このクルマのハンドリングを特徴づけている。それも「初期が早過ぎる」と評されたセダンに比べると、マイルドになり違和感が薄れた。加えて、やや跳ね気味だった乗り心地も改善されている。

ロングホイールベースの恩恵で、高速コーナリングも安定しているし、従来V35にあったような高速コーナリングでサスペンションがストロークした時のライントレース性の悪さも感じられない。一連のFMパッケージ車の中でも、このスカイラインクーペは、あらゆる要素が大きく洗練されているのだ。

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個性的なフロントマスクとリアビュー

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アルファ159とプラットフォームを共用し、4ドアセダンであるアルファ159に対する2ドアクーペ版として、アルファブレラは誕生した。

デザインはジウジアーロとの共同作業による。独特のフォルムは、クーペというよりも、延長したハッチバックスタイルのようにも見える。6連の立体的なヘッドライトを持つフロントマスクは、アルファ159とほぼ共通ながら、微妙に表情が差別化されている。フロント以上に個性的なリアビューは、フロントマスクと共通イメージの「顔」のような表情にデザインされているところも興味深い。また、固定式の大型ガラスルーフである「スカイウインドウ」は、乗員に大きな開放感を与えるとともに、このクルマのエクステリアデザインをも特徴づけている。

ドライブフィール全般は、やはり概ねアルファ159に共通する。その意味するところは、往年のアルファのテイストとは違った、どちらかというとドイツ車的な落ち着いた感覚である。

フルタイム4WDである「Q4」を搭載した同モデルは、どっしりとした印象で、スタビリティは極めて高い。重厚なV6サウンドを乗員に積極的に聞かせる演出も見られる。新世代アルファの上級モデルに搭載されるこの3.2L V6ユニットは、吹け上がりの軽さよりも、太いトルクで押すタイプ。これもアルファの新しい方向性なのだろう。

アルファ159に比べたときの微妙な違いは、ボディ形状の違いにより、やや後方から入ってくるノイズが大きいことと、やや剛性が低めであることが感じ取れる。また、ステアリングフィールにはアルファブレラのほうが微妙に軽快感がある。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

デザイン・スペックの総評

昨今、世界のプレミアムブランドが、より自身の個性を強くアピールする中で、この3台も例外ではなく、伝統や、ブランドへの期待に応える付加価値をちゃんと持っている。

個性の強さでは、アルファロメオがやはりダントツ。デザインは、「変な」と「カッコイイ」の微妙なところをついているように思う。スタイリッシュさでは、スカイラインクーペ。このクルマは、日本よりも北米市場をターゲットとしていることは明らかだが、そのこと自体が、このクルマの魅力を高めている。BMW1シリーズクーペは、デザインもさることながら、スペックを見るにつけ、走りへの期待が非常に高まる。事実、BMW全車の中でも屈指の高性能車に仕上がっている。

3台ともパワートレイン系の性格が異なり、それがドライブフィールに直接的に反映されている。ユーザーの求める乗り味がどこにあるかによるが、走り味の違いは明確である。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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