軽の勢力図に異変! チョイ高な軽スライドドア車「ムーヴキャンバス」と「ワゴンRスマイル」のちょうど良いサイズ感が評判に
- 筆者: トクダ トオル(MOTA)
- カメラマン:和田 清志・茂呂 幸正・雪岡 直樹・ダイハツ工業・スズキ・MOTA編集部
軽自動車の勢力図に新たな兆しが見えてきた。現在、軽自動車人気の中心はホンダ N-BOXに代表される「背高ボディ+スライドドア」を持つスーパーハイトワゴン系だが、そこまで背の高くないチョイ高なハイトワゴンにスライドドアを備えたモデルにも注目が集まっているのだ。新勢力の2台、「ダイハツ ムーヴキャンバス」と「スズキ ワゴンRスマイル」の2台の人気ぶりについて分析してみよう。
同じく後席スライドドアを備えるタントより、車高がおよそ100mmも低いムーヴキャンバス
ダイハツ ムーヴキャンバスは、軽ハイトワゴン「ムーヴ」のプラットフォームをベースに、後席左右にスライドドアを備えた独自のボディデザインを組み合わせたモデルである。デビューしたのは2016年9月。丸みを帯びたスタイルやレトロな2トーンカラーなど、全体にかわいらしい仕上がりを特徴とした。
ファミリー向けに特化しヒットしたタント
ダイハツではもともとスライドドアを備える背の高い軽スーパーハイトワゴン「タント」がある。こちらは主にファミリー層がターゲット。背高&ロングホイールベース(前後車軸間の距離を拡大)としたことで、室内長や室内高を最大化し、広々した空間を誇る。
ゆとりある後席空間は、子育て世代に向けた装備や収納など随所にも工夫が凝らされている。
独身女性の使用も想定したムーヴキャンバスは後席を荷物置き場としても有効活用出来る設計に
これに対しムーヴキャンバスは、独身女性とその母親世代をターゲットに設定。後席下にスライド式の収納を備え、手荷物を気軽に置ける「置きラクボックス」を用意するなど、1~2名乗車が多いユーザーの用途にマッチした使い勝手を提供する。
タントの全高(約1750mm)に対しおよそ100mm低い1655mmの全高だが、後席もけっして狭くはない。タントほど広大ではないが、大人2名が乗るのに十分な空間は確保されている。
デビューから5年が経過したが、ムーヴキャンバスの販売が相変わらず好調だ
デビューから既に5年が経過したダイハツ ムーヴキャンバスだが、売れ行きはいまだに好調だ。全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)調べによる2021年度上期(2021年4月~2021年9月)までの車名別販売ランキングでは、軽スーパーハイトワゴンの「ホンダ N-BOX」「スズキ スペーシア」「ダイハツ タント」に次いで「ダイハツ ムーヴ」シリーズが4位の位置につけている。
ランキングは、通常のムーヴ(後席はヒンジドアのタイプ)とムーヴキャンバスが合算されたもので、その内訳は非公表だが、複数の販売店へ取材したところでは、ここ最近は6割から7割近くがムーヴキャンバスで占めている状態だというから凄い。
スライドドアの使い勝手は欲しいが、N-BOXやタントほどの広大な空間は不要と考えるユーザーの需要を、チョイ高でほど良いサイズ感を持つムーヴキャンバスが一手に引き受けているものとみられる。
ムーヴキャンバスの成功にライバルのスズキが対抗モデル「ワゴンRスマイル」を投入
そんな新たな需要の拡がりを、ライバルのスズキも見逃していなかった。ハイトワゴンの定番モデル「ワゴンR」をベースにしたチョイ高なスライドドアモデル「ワゴンRスマイル」を2021年9月10日より発売したのだ。
スズキでも後席にスライドドアを備えた背高系スーパーハイトワゴン「スペーシア」をラインナップしている。全高は1785mm。これに対し新型ワゴンRスマイルの全高は1695mmと、ムーヴキャンバスよりも40mmほど高めに設定した。ベースのワゴンR(全高は1650mm)に対し、後席の広さや乗降性にも配慮した結果だという。
主に前席を多用するユーザー層に狙いを定めたムーヴキャンバスに対し、ワゴンRスマイルはもう少し幅広い需要も見越しているようだ。
デビュー早々に販売記録を樹立したワゴンRスマイル
その狙いはさっそく大ヒット。2021年10月の全軽自協 販売ランキングでは、なんとスズキ ワゴンRシリーズが8月の6位、9月の3位から大躍進を遂げ、王者N-BOXを上回る1位となったのだ!
ムーヴ同様、通常のワゴンRとワゴンRスマイル合算のランキングだが、ムーヴ同様にスマイルの割合は早くも6割強を占めている模様。スズキ内でスペーシアの客層も奪っている可能性も否定出来ないが、狙いとしては全体の純増だと、スズキ関係者は話している。
チョイ高な軽スライドドア車「ムーヴキャンバス」と「ワゴンRスマイル」
チョイ高でちょうど良いサイズ感が支持を集めた軽スライドドア車「ムーヴキャンバス」と「ワゴンRスマイル」。2台を比較してみると、ムーヴキャンバスをじっくり研究したうえで登場したであろう、最新設計のワゴンRスマイルのアドバンテージが光る。
まずは燃費から。ワゴンRスマイルは、主力グレードにマイルドハイブリッドを搭載し、カタログ燃費25.1km/L(FF・WLTCモード燃費)をマーク。通常エンジンのベースグレードでも23.9km/Lだから、ムーヴキャンバスの20.6km/L(FF・WLTCモード燃費)に大きく差をつけた。
先進運転支援機能では、ムーヴキャンバスも衝突回避支援システム「スマートアシストIII(スマアシ)」を標準装備する。ただしワゴンRスマイルでは同等の機能に加え、パッケージオプションで全車速追従機能付ACC(アダプティブクルーズコントロール)を設定。ロングドライブでの快適性や疲労軽減に大きく寄与する。
また衝突安全性の面では、デュアルSRSエアバックとSRSサイドエアバッグを備えるムーヴキャンバスに対し、ワゴンRスマイルではさらにSRSカーテンエアバッグも標準装備。側方からの衝突に対しダブルの安心を備えた。
デビューから5年! ムーヴキャンバスもいよいよフルモデルチェンジ間近か
おそらくダイハツでも、次期型ムーヴキャンバスの開発が佳境に入っているところだろう。タントなどで定評の新世代プラットフォームDNGAをベースにしたニューモデルの登場が待たれる。
直近ではベースのムーヴ(現行型は2014年12月デビュー)が2021年中にもフルモデルチェンジすると噂されているが、現在の販売勢力やライバル車の動向などを考えると、新型ムーヴキャンバスの早期導入化にも期待がかかるところだ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル/撮影:和田 清志・茂呂 幸正・雪岡 直樹・ダイハツ工業・スズキ・MOTA編集部]
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