ラージクラスミニバン 徹底比較(4/4)
- 筆者: 松下 宏
- カメラマン:島村栄二
マイナーチェンジでさらなる進化を遂げた
アルファードはラージクラスのミニバンの中で最も良く売れてきたクルマで、それにふさわしい実力を持っている。人気の理由としては迫力ある外観デザインが第一にくるのだろうが、室内の広さについてもクラスで最も優位に立つし、FF方式を採用したことで走りのバランスにも優れている。
2005年4月にマイナーチェンジを受けたばかりで、3リッター車のATが5速になり、足回りも改良されてロールを抑えた走りが実現されている。総合的に見て、引き続きこのクラスで優位に立つクルマだと思う。
今回のモデルからカーナビがG-BOOKアルファに対応する最新仕様になったほか、上級グレードにインテリジェントAFSを装備して安全性を向上させるなど、いろいろな面で進化したのが魅力である。売れ筋となる2.4リッター車では装備が貧弱になる部分があり、カーナビや安全装備をオプション装着すると車両価格に加えて100万円を超える予算が必要になったりするが、それでもこのクラスをリードするクルマであるのは変わらない。
今後もラージクラスの上級ミニバンを買うユーザーにとって、アルファードは2.4リッター車が中心的な存在となるだろう。
FRならではの動力性能
V型6気筒の2.5リッターエンジンを搭載したことで、新しい魅力の要素が加わったのがエルグランド。相対的に安めの価格帯で買えるようになったことで、競合車との販売合戦でも優位に立てる部分が出てくる。
走りに関しても、V型6気筒らしい静かでスムーズな吹き上がりや、あるいは100ccの余裕を含めた動力性能の違いなどから、全体に良く走りるクルマになっている。FR車であるために重量がやや重いとはいえ、それをカバーする動力性能を備えているからだ。3.5リッターエンジンの搭載車なら、2.5リッター車とは次元の異なる豪快な走りが楽しめる。
堂々たる感じの外観デザインや、それに加えてエアロパーツを装着したスポーティなイメージの強いハイウェースターをラインナップするのもエルグランドの魅力となる部分。アルファードとの違いは好みによって分かれることになるのだろう。
3.5リッターエンジンの搭載車はさすがに価格も高くなるので、一般のユーザーには2.5リッターエンジンの搭載車がお勧め。ハイウェースターを選んでも良いが、ベースグレードのVを選んでも満足できるはず。Vをベースにカーナビなどのオプションを考えよう。
リーズナブルなクルマとして評価されるべき
アルファードやエルグランドが威風堂々といった感じの外観デザインで争っているのに対し、エリシオンはそれを冷静に見ているような感じのデザインとなる。全高を抑えたすっきりしたデザインが何となく知性を感じさせるのは、全高の高いミニバンが主張の強さばかりを感じさせるからだろう。
インテリア回りの雰囲気も落ち着きや品質感、装備の充実度などの面で十分に満足できるものであり、低めの全高のミニバンでも居住空間に関しては不満を感じるわけではない。むしろリーズナブルなクルマとして評価されるべきだと思う。メーカー純正のカーナビを装着するとインターナビプレミアムクラブに加入でき、さまざまなサービスを受けられるのも魅力である。
走りに関しても、ボディの重量が軽くなる分だけ有利になるのがエリシオンの特徴で、2.4リッターエンジンの搭載車でも不満のない走りが味わえる。2.4Gを選べばラージミニバンにふさわしい充実した装備が手に入るので、これが一番のお勧めグレードとなる。3リッター車を選ぶ場合も、ベースグレードの3.0VGを選べばいい。ただし、両方ともいろいろなオプションの装着が必要だ。
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