運転が楽しくて街中でも使いやすく価格はお手頃、今では貴重な趣味性の強い3車を比較チェック(4/4)

運転が楽しくて街中でも使いやすく価格はお手頃、今では貴重な趣味性の強い3車を比較チェック
トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) トヨタ 86(ハチロク) 画像ギャラリーはこちら

2リッターエンジンは高回転域の吹き上がりが優れ、スポーツカーとしての走りを満喫できる

トヨタ 86(ハチロク)トヨタ 86(ハチロク)

86は水平対向エンジンを車両の中央寄りに低く搭載して、運動性能の向上を図った。

走行安定性の確保に有利な設計だが、86は基本部分を共通化したスバルBRZに対し、曲がりやすさに重点を置く。操舵感の切れが良く、峠道を楽しく走れる。ただし、VSC(横滑り防止装置)の作動をキャンセルして行う、大きな修正操舵を伴った「ドリフト走行」は特殊な使い方だ。

86は低重心と相まって操舵に対する挙動が正確だから、後輪を横滑りさせなくても十分に楽しい。

試乗車は6速AT仕様だが、86の持ち味を堪能できた。2リッターエンジンの動力性能も高い。2000回転以下では駆動力が少し落ち込むが、2400回転付近からは十分な力が発揮され、4000~7000回転付近の吹き上がりは鋭い。スポーツカーの魅力を凝縮させている。

「86」の車名は1983年に登場したAE86型レビン&トレノに由来する。30年前と今ではクルマの技術も大きく変わり、直接比較はできないが、現行型の86がAE86型の面影を残していることは事実だ。

50歳を超えたオジサンの筆者は、86を運転するたびに若い頃のいろいろな思い出が蘇る。同世代の読者諸兄は、86を手に入れて、感慨に浸りながら改めてクルマを楽しむのも良いだろう。長年にわたって一生懸命に働いてきたのだから、そのくらいの贅沢はあって良いと思う。

若い人達が運転すれば、道具ではなく趣味の対象になり得るクルマの本質が分かる。2名以内の乗車で使うなら、実用的にも不都合はない。

価格は少々高いが、選択肢に含めたらどうか。試乗すると、意外にも自分のセンスに合うかも知れない。

運転する楽しさにオープンボディの開放感も加わり日常的な移動もスポーティなドライブに変わる

マツダ ロードスターマツダ ロードスター

街中から峠道まで、あらゆるシーンを「ヒャッホー!」と楽しく走れるのがロードスター。特にオープンドライブの爽快感は、日本車では貴重な魅力だ。

コペンが2012年8月に生産を終えると、オープンモデルはフェアレディZとロードスターとレクサスIS250C/350Cのみ。手頃な価格で爽快感を楽しめるのはマツダのロードスターだけになる。

RHTでは、ハードトップを閉じた時と開いた時で、走行感覚が変わることも楽しさのひとつだ。閉じた時はボディ剛性が高まり、操舵に対する反応が鋭くなる。逆に開いた時は剛性が下がるが、操舵に対する車両の反応が適度に緩くなり、リラックスした走りを味わえる。それでも小さな舵角から車両が向きを変えようとする動きは、ロードスターの特徴だ。

運転して楽しい代わりに、危険を回避する時などは、後輪の接地性が少し削がれやすい。今日のマツダ車の特徴を考えると、アテンザやプレマシーと同様、次期型ではボディ剛性を高めると同時に、操舵に対する反応を少しマイルドに抑えるだろう。

走行安定性や乗り心地が高まり、無理のない走り方を促すことで燃費も向上できるからだ。この流れは日本車、輸入車を問わず、今や世界的なトレンドになった。

ロードスターも例外ではなく、次期型が登場した後で現行型を振り返れば、独自の魅力を持っていることも確かだろう。とりわけ歴代ロードスターの運転感覚が好きなユーザーは、現行型を選ぶのが良いと思う。

各世代が独特の魅力を持つことは、実用性ではなく、趣味性が重視されるスポーツカーの特徴。歴代モデルを乗り継げば、運転感覚の変遷も楽しめる。

優れた実用性と併せてスポーティカーの運転感覚や個性的なデザインなどクルマの楽しさを満喫できる

日産 ジューク日産 ジューク

ジュークの特徴は、5ドアハッチバックボディによる優れた居住性、使い勝手の良い荷室などを備えながら、運転やデザインの楽しさを満喫できることにある。

特に16GT(FOUR)の運転感覚はスポーティだ。ターボを装着した1.6リッターエンジンは2000~5200回転の領域で24.5kg-mの最大トルクを発揮するため、発進直後から加速力に余裕がある。峠道の登坂路も積極的に走れる。

4WDに後輪左右の駆動力配分を可変させる機能を組み込んだこともメリット。コーナーに入ってアクセルを踏み込んでも旋回軌跡が拡大しにくく、ハンドルの舵角に対して忠実に回り込む。全高が1570mmに達するSUVなのに、挙動が緩慢な印象は受けない。

サスペンションの設定も1.5リッターモデルとは異なり、17インチタイヤとの相性が良い。86やロードスターといった生粋のスポーツカーではない代わりに、ユーザーに向けた間口が広い。

リヤシートや荷室に余裕を持たせ、デザインも新鮮とあって、さまざまな価値観を持つユーザーが魅力を感じやすい。スポーツカーほど「クルマ好きに向けた商品」というイメージが強くないから、若年層も受け入れやすいだろう。若い頃にクーペを愛用した中高年齢層にとっては、思い出が蘇る86やロードスターか、あるいは新しい趣味性を味わえるジュークか、という選択になる。

日本車が実用指向に傾いているのは事実だが、探せば楽しくて面白いクルマも見い出せる。今回の3車試乗を通じて、「趣味性の強いクルマを諦めるのはまだ早い」と思った。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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