「リッター30km時代」を走り抜ける!「超低燃費でお買い得な軽」徹底比較(2/4)

「リッター30km時代」を走り抜ける!「超低燃費でお買い得な軽」徹底比較
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エコカーらしいシンプルな外観と優れた燃費が決め手

ダイハツ ミライースダイハツ ミライース

ミライースの外観写真を見て「う~ん」と唸った読者諸兄も多いのではなかろうか。

ボディパネルの張り出しが分かりにくく、ノッペリした印象を受ける。実際にクルマを見るとさほど平板ではないが、アルトエコに比べるとボリューム感は乏しい。

特にボディサイド。張り出した部分と引き締まった部分のメリハリを、もう少し強めると見栄えが良くなるだろう。

もっとも、ミライースのニーズを考えると、納得できる面もある。営業車の需要も多く、集中ドアロックやホイールキャップまで省いた79.5万円のDを用意する。「燃費の優れた実用車」という性格を明確に打ち出し、生産工程におけるコスト軽減を図る目的もあって、外観をシンプルに仕上げた。

デザインの機能性は優れている。サイドウィンドの下端は、軽自動車の中でも低い部類。サイドウィンドから顔を出して後方を振り返ると、アルトエコでは見えない後輪が視野に入る。駐車場の枠内に収める時の操作が容易で、側方視界も良いから障害物を発見しやすい。

リヤ側はウインドーの下端を高めたので少々見にくいが、取りまわし性はおおむね優れる。

動力性能はどうか。直列3気筒の660ccエンジンという形式はほかの2車と同じで、最高出力は52馬力(6800回転)、最大トルクは6.1kg-m(5200回転)になる。性格的には少し高回転指向。

車両重量が730kgと軽いために力不足は感じにくいが、実用回転域を超えた領域で加速が活発になる。最大トルクが3500~4000回転付近で発生すると、さらに扱いやすくなるだろう。

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欧州車風のボディスタイルと扱いやすい性格のエンジンが魅力

スズキ アルトエコスズキ アルトエコ

アルトエコのボディは、基本的には2009年12月に登場した既存のアルトと同じ。それでも古さは感じない。

水滴を想わせる丸みを持ったヘッドランプ、適度に張り出したフェンダーなどにより、外観にはボリューム感が伴う。低価格車ではあるが、視覚的な質感が高い。

細部の形状はベース車のアルトと異なり、フロントバンパーは空力特性を向上させるため、少し角の立った形状だ。

スプリングとショックアブソーバーの変更で、全高も15mm下げて1520mmとした。さらにホイールキャップまで軽量化され、ベースになるアルトとはデザインを変えている。

サイドウインドーの下端の位置は、日本車全体で見れば低めだが、歴代アルトに比べると少し高い。外観の塊感を演出するためだ。従って小柄なドライバーが従来型のアルトから代替えする時は、車庫入れや縦列駐車を行い、側面や後方の視界を確認したい。

最小回転半径は4.2mに収まり、視界に不満がなければ、軽自動車のサイズと相まって取りまわし性は優れている。

エンジンは直列3気筒の660cc。最高出力は52馬力(6000回転)、最大トルクは6.4kg-m(4000回転)だ。ミライースやムーヴが搭載するタイプに比べると、最高出力は同じでも発生回転数は800回転低い。最大トルクは0.3kg-m上まわり、なおかつ発生回転数は1200回転下がる。

ミライースに比べてカタログに記載される車両重量は10kg重いが、実用回転域の駆動力が高まり、日常的な加速では余裕を感じる。

各部の摩擦を低減させたので、エンジンノイズは静か。軽量化のために遮音が十分とはいえないが、アイドリングストップの再始動時も含め、ノイズが耳障りに感じることはない。

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卵型の外観は細部まで上質で、背の高いボディながら燃費も優れる

ダイハツ ムーヴダイハツ ムーヴ

ムーヴは全高が1635mmに達する背の高い軽自動車。ホイールベースはミライースと同じ2455mmだが、マーチやパッソよりも少し長く、高いルーフと相まって広い室内を備える。

一番の特徴は、外観を卵型に仕上げたこと。ライバル車のワゴンRは、車内を広く見せるために外観を直線基調とするが、ムーヴは広さを強調していない。

ダイハツでは空間効率の高い軽自動車としてタントの人気が高く、ムーヴは持ち味の重複を避けるために卵型のデザインを採用した。外観を見た印象は「ミニ・エスティマ」という雰囲気。上級指向のカスタムはボンネットの角度を水平に近づけて存在感を際立たせるが、標準タイプは傾斜を付け、ボディ全体がひとつの塊のように見える。ラジエターグリルなど、フロントマスクは細部までていねいに仕上げた。

試乗したXの価格は122万円。ミライースXよりも22.5万円高く、外観の見栄えも向上させている。

機能的には、後方の視界は平均的だが、前方や側面は見やすい。14インチタイヤを装着し、最小回転半径はミライースと同じ4.4m。街中での取りまわし性は優れている。

エンジンはミライースと同じ。52馬力の最高出力、6.1kg-mの最大トルクも等しい。ただしムーヴはミライースよりもボディが80kg重いため、最終減速比は約20%ローギヤード化された。

エンジンの回転数を高めに設定し、加速力を強めることが狙いだ。やや高回転指向のエンジンとあって、発進直後の加速、特に時速25km付近までは少し緩慢に感じる。速度が上昇すると、平坦路であれば力不足を感じることなく走れる。

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デザイン・スペックの総評

外観のデザインは、ミライースはベーシックな軽自動車に徹した印象。視覚的なボリューム感はほかの2車に比べて乏しいが、逆にいえば、生活のツールとしては馴染みやすい。情緒に訴えず、クルマの存在がユーザーの意識に過度に介入しないからだ。その点でアルトは、低価格の軽自動車でありながら、現行型になってデザイン性を強めた。

軽自動車だから全長と全幅は全車共通だが、ボディパネルの張り出しを適度に強め、存在感のある外観に仕上げている。スッキリしたミライースに対し、アルトは少し情緒を重視する。

一方、ムーヴは優れた空間効率を特徴とする背の高い軽自動車。価格もコンパクトカー並みだから、外観の存在感を強めた。Xにはアルミホイールも標準装着され、「高そうに見える」軽自動車となる。

エンジンは3車ともノーマルタイプ。アイドリングストップも採用され、JC08モード燃費はアルトエコが30.2km/L、ミライースが30km/L、ムーヴが27km/Lだ。動力性能は実用回転域の駆動力を高めたアルトが最も優れ、次いでミライース、ボディの重いムーヴの順番になる。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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