フォード 新型クーガ試乗レポート/日下部保雄(2/2)

フォード 新型クーガ試乗レポート/日下部保雄
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通常のSUVと一線を画すモデル

フォード 新型クーガ
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新型クーガの第一印象はなかなか洗練された力強さを感じる。フォードではクーガをスマート・ユーティリティ・ビークルと呼称しており 通常のSUVと一線を画しているが確かに北米で売られている他モデルとは違った印象だ。

当然ながら着座位置はセダンよりも高く、前方視界もよい。ドライバー周りは余裕があり、ハイトコントロールの幅も大きく取られているのでステアリングのチルト&テレスコも使うと、様々な体型のドライバーにも適合できる。ブレーキペダルはやや高めとなっている。

ちなみにリアのパワーゲートはキーを持っていればバンパー下に足を蹴りこむ要領で自動開閉できるのはなかなか便利だ。

フォード 新型クーガ

スタート時は滑らかなクリープ走行が可能で、坂道や段差乗り越えなどの発進も神経を使うことなく行える。変速もスムースで比較的ショックは少ない。

ATはDレンジに加えてSレンジがあり、ギヤのキープが異なるが、他車で設定されているほどの違いは感じられない。燃費を考えるとDレンジでイージーにドライブするのがよさそうだ。さらにシフトレバーの腹にあるセレクトシフトを親指で操作するとシフトアップ・ダウンが瞬時に行える。フォーカスではセレクトシフトはSレンジのみで使え、かなりスポーティな味つけになっていたが、新型クーガではDでもSでも使えるほか、シフトパターンもキャラクターに合わせてフォーカスほどシャープな設定にはしていない。

乗り心地のしなやかさと髙いライントレース性を両立

フォード 新型クーガ

そして驚くのはボディ剛性が高くしっかりしていること、それに起因する乗り心地の良さとSUVとは思えないシュアなハンドリングだ。

サスペンションはフォーカス譲りのフロント:ストラット、リア:マルチリンクのサスペンションだが、これがしなやかに動き、突き上げ感が少ないだけでなく、ゆったりとストロークした時も足が良く動き、このクラスのSUVにあって抜群の乗り心地を示す。比較的乗り心地として苦手な対角線上に入る入力に対してもアシが対応できているのは感心した。

フォード 新型クーガ
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ハンドリングもロールが良く抑えられているだけでなく、グリップ力が高く、ライントレース性に優れている、前後のトルク配分をモニタリングしてみると、頻繁に後輪にトルクを掛けているのが分かる。さらに左右前輪のトルク配分、トルクベクタリングについて、タイトコーナーでアクセルを開けた時でも、しっかりと旋回していくことからも有効に働いていることが分かる。クイックというのではないが、まさにスマートにコーナーを旋回していく様はSUVの領域ではない。

乗り心地のしなやかさと髙いライントレース性を両立させたところは素晴らしい。

パワーステアリングは電動アシストで最初の切り初めから滑らかで(操舵初期にやや反発力のある個体もあるようだが)、素直な操舵フィールを持つ。ロック・トウ・ロックは2.5回転だ。小回り性はこのサイズのSUVとしては妥当なところだ。

エンジン特性は低速からトルクが出ているために日常域の使い勝手に優れる。 どのギヤに入っていても粘り強く加速して、それほど高い回転にならない。またターンパイクのような勾配のきつい連続した登坂になっても、1.6リッターターボでこのクラスではかなり軽量とはいえ1720㎏の重量があるクルマ(9.45㎏/PS)としては十分な登坂力だと思う。

フォード 新型クーガ
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安全面ではレーザーレーダーのアクティブ・シティ・ストップを装備しており、低速での衝突事故を軽減する。こちらは15km/hで停止し、30㎞/hで事故を軽減する。またブラインドスポットモニターもあり、走行中の斜め後方の死角になったクルマをモニタリングして、ドライバーに注意を喚起する。

燃費は現行型に対して約20%の向上を謳っている。JC08モードでは9.5キロなので、実燃費としては登坂の多いところなどでは5~7㎞/Lというところではないだろうか。

居住空間ではリアシートのヘッドクリアランス、レッグルーム共に十分なスペースがあり、余裕がある。トランクルームも360リットルから406リットルと拡大され、隠しトランクを設けるなどユーティリティ性は高い。

新型クーガはフォードらしい骨太さとしなやかさを持ったSUVで、このクラスでは実にユニークな存在になるだろう。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

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