ベントレー 新型 フライングスパー[2014年モデル] 試乗レポート/金子浩久(2/3)
- 筆者: 金子 浩久
- カメラマン:島村栄二
その走り、まるで電気自動車のよう
走り出してさらに驚かされた。まるで電気自動車を運転している時のように、排気音が聞こえてこない。タイヤノイズとトランスミッションからの微かな唸り音しか車内に入ってこないのだ。高速道路でスピードを上げていっても“無音ぶり”は変わらない。エンジン回転が上がっているから排気音も高まっているはずなのだが、それ以上にタイヤノイズと風切り音が大きくなっているから、排気音は完全にマスキングされてしまって全く聞こえない。
スロットルペダルを深く踏み込んでギアをキックダウンさせたり、ハンドル裏のパドルでシフトダウンさせてエンジン回転を急激に高めない限り、排気音が自らを主張することは全くない。これは大きな変化だ。まったく別物と呼んで構わない静粛性の高さだ。
先代も静粛性は高かったのだ。しかし、“エンジン排気音を聴かせる”という演出が施されていたために、アイドリングからずっと排気音は重奏低音として耳に入っていた。その演出を止めたので、静かになったわけである。明らかな方針変更だ。
何よりも重視された快適性の追求
快適性を最優先させるために、ベントレーは19インチの専用タイヤやサスペンションスプリング、ショックアブソーバーなどを開発した。タイヤは上下方向によくたわんでショックを吸収し、スプリングとダンパーもそれに併せて乗り心地を向上させるようにレートがソフトに改められた。
実際の快適性も非常に優れたもので、クルマの使われ方やキャラクターに合っていると思った。ベントレー各車はスイッチひとつでサスペンションの硬さをコンフォートからスポーツまで4段階に変えることができて、フライングスパーでも変わらない。タイヤとサスペンションがソフトになったことで、スポーツから2番目の設定が好ましいように感じた。一般道ならば3番目でもいいだろう。
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