アウディ S6 海外試乗レポート(1/3)
- 筆者: 河村 康彦
- カメラマン:アウディ・ジャパン
新型A6シリーズベースのハイパフォーマンスモデル
圧倒的なパワーを誇るエンジンにフルタイム4WDシステムを組み合わせたアウディならではのハイパフォーマンス・モデル――生みの親であるアウディ自らがそう紹介をするのが、『S』の記号を与えられたスペシャル・モデル=アウディの“Sシリーズ”だ。
プレミアム性の高さを謳う世界のセダン/ワゴンの中にあってはもはや「コンパクト」とさえも表現出来そうなサイズの持ち主であるA4。そのボディに、4Lを超えるV8エンジンを詰め込んだのがシリーズの末っ子モデルである『S4』だ。そうは言っても、その走りのパフォーマンスは6速ATとの組み合わせでも0→100km/h加速タイムが5.8秒、最高速は250km/hと一級のスポーツカー・レベル。まさに「山椒は小粒で…」を地で行く存在がこのS4というモデルと言っても良いだろう。
一方、Sシリーズの頂点に立つのがオールアルミ・ボディの大型サルーンA8のボディに新開発の5.2L V10エンジンを搭載する『S8』。2005年の東京モーターショーで世界初公開されたこのモデルは残念ながらまだ日本では発売されていないものの、最高出力450psという心臓は全長5mを超える巨体を5.2秒で100km/hまで加速させ、最高速はやはりリミッターの作動する250km/hというデータが発表されている。名実共にまさにスーパー・セダン中のスーパー・セダンがこのS8の狙うキャラクターだ。
そして、そんな両者の狭間を埋めるモデルが2006年初頭のデトロイト・モーターショーのアウディ・ブースを飾った、新型A6シリーズ・ベースのハイパフォーマンス・モデル『S6』。従来型に対して“2気筒と1リッター増し”というこのモデルが搭載する心臓は、基本的には前出のS8が積むユニットと同じもの。が、それでいながらこちらの最高出力が435psとS8用の15psマイナスに「抑えられた」のは、やはりアウディ・ラインナップ内におけるヒエラルキーが重視されたゆえ、と推測するのが自然だろう。
というわけで、そんな新しいS6に乗るために向かった先は、長かった冬がようやく終わりの気配を見せ美しい新緑の季節も間近というドイツはシュツットガルトの街。シュツットガルトと来れば「それはアウディではなくてメルセデス・ベンツとポルシェの“企業城下町”でしょ」と突っ込みを入れたくなる人も居るかも知れないが、実はアウディはここから100kmと離れていないネーカースウルムという地に組立工場を構え、現在でもこのS6を含むA6シリーズやA8シリーズの生産を行っている。
どうやら今回の国際試乗会では、そことシュツットガルトとの間の往復をベースとした試乗ルートを組み立てたかった模様。新型S6のテストドライブ・イベントは、こうして“敵陣”(?)に乗り込んでの開催となったわけである。
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