ハイドロではないシトロエンの乗り心地は?
- 筆者: 清水 草一
ハイドロではないシトロエンの乗り心地は?
いつも楽しく拝見させて頂いております。初めて質問をさせて頂きます。
私、この度シトロエンC4ピカソの契約を致しました。元々C4ピカソを買うつもりはなかったのですがディーラーで試乗をした所、私自身がその乗り心地に驚いた事、又、家族がすごく気に入ってくれた事をきっかけに契約に至りました。
そこでお聞きさせて頂きたいのですが、清水さんはシトロエンのハイドロサスを搭載していない車の乗り心地をどのように感じておられますでしょうか?
私はハイドロ系のサスを搭載しているシトロエンに乗った事が無く、比較することは出来ないですが、C4ピカソに初めて乗った時、ディーラー試乗という限られた運転内にもかかわらず、その独特の乗り心地に少し感動をしてしまいました。
私は車に関してはあくまで素人ですので、専門的なことは何も言えないですが、自動車のプロの清水さんがどのように感じておられるかを、もし宜しければお教え頂けませんでしょうか?
何卒、よろしくお願い申し上げます。(mi_nyo74)
其の疑問、MJブロンディがお答えいたします!
mi_nyo74さんはすばらしい感性をお持ちですね。わずかな試乗で、シトロエンのメタルサスペンション(金属バネ)のすばらしさを見抜いたとは!
何を隠そう、シトロエンの乗り心地は、金属バネもハイドロ系サスも、まったく同種のものと言いますか、目隠しをしたら見分けがつかないほどソックリなのです!
それはまさに「空飛ぶ絨毯」そのものです。
シトロエンが、オイルと空気によるハイドロニューマチックサスペンションをデビューさせたのは、1955年発表の名車「DS」から。その後、その乗り心地の解析により、金属バネでも同じ乗り心地を実現できるようになったのでしょうか?
あるいはシトロエンは、あの2CVからして「卵が割れない乗り心地」を実現していたので、金属バネに関しても、独自のノウハウを持ち、熟成を重ねてきたのかもしれませんね。
ところで、金属バネでもハイドラクティブ(ハイドロニューマチックの進化形)と同じ乗り心地を実現できるなら、構造がシンプルで故障もない金属バネに統一すればいいじゃないか、と思うところです。
実際、シトロエンのハイドロニューマチックシステムは、BXあたりまではトラブルがつきもので、日本ではいまだに「シトロエン=絶対壊れるクルマ」という固定観念が抜け切りません。もうまったくそんなことはないんですけど。ならば余計、ハイドロをやめて金属バネに統一した方がいいようにも思えます。
しかしやはり、シトロエンの乗り心地に関する名声は、ハイドロ系サスあってのもの。象徴的存在ではあっても、象徴がなくなったら名声も徐々に陰ってしまう。だからシトロエンは、ハイドロ系サスを残しているのだと私は思っています。
実は現在私が愛車にしているC5の「ハイドラクティブ3プラス」は、以前のモデルに比べると、ヒジョーにフツーになっています。
エグザンティアまでのハイドロニューマチックシステムは、DS以来の伝統を守り、サスペンションだけでなく、パワーステアリングやブレーキまでも、すべて同じ油圧系統を使っていました。
特にブレーキに関しては、ペダルがストロークせず、踏む力の強さのみで減速力を調整するという非常に独特なもので、慣れない人は「なんだこのブレーキは?」「壊れてるんじゃないか!?」と感じたものでした。
しかし、ブレーキやパワステまでも、同じ油圧系統を使うメリットはもはやないという判断により、現在のC5では、そのあたりは通常の独立系統となり、フィーリングも他メーカーのクルマと違和感のないものになって、乗り心地だけが極上の「空飛ぶ絨毯」になっています。
今後もシトロエンは、ハイドロニューマチックシステムを一種の象徴的存在として最低限残しつつ、その名声と遺産をうまく利用したクルマ作りをしていくことと思います。
MJブロンディの「ひとりごと」
シトロエンのハイドロ系サスとメタルサスが、たとえまったく同じ乗り心地であっても、恐らく私は、無理をしてでもハイドロ付きのシトロエンを買うでしょう。
それは一種の自己満足です。自分の脳内だけでも、「四輪のサスペンションが油圧でつながっていて、まるでひとつのサスペンションのように作動する」と思い込みながら、乗っていたいのです。
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