フォルクスワーゲン ジェッタ 試乗レポート

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”ゴルフよりひとクラス上の上級セダン” 新型ジェッタ試乗レポート

フォルクスワーゲンが2ボックスカー、ゴルフをベースにリアに独立したトランクを取り付ける3ボックスセダン化したモデルを発表したのは1980年のことだった。

これが初代ジェッタのスタートだ。その後、ジェッタはヴェント、ボーラと車名を変えながらフルチェンジを続け、フォルクスワーゲンの実用セダンとして人気を集めてきた。しかし、車名に関してはイマひとつ定着しなかった。そこで5代目の投入を機に、車名を再びジェッタに戻したのだ。初代、2代目と続いたオリジナルのネーミングがもっとも世界各国で浸透していたことが判明したからだ。

新型ジェッタはこれまでの3ボックスセダンよりもゴルフ離れしている。ホイールベースは共通だが、ボディのパネルは80%以上がジェッタ専用になる。特徴はなんといっても広いトランクとリアシートだろう。

エンジンは2Lと2Lターボ。6速AT+DSGミッションが組み合わされている。

Sクラスにも匹敵するほどの広いトランクの持ち主

ボディサイズはゴルフよりも全長で360mm、全幅は25mm大きく、全高は15mm低い。ホイールベースは2575mmで、これはゴルフと同じ。ボディを他のセダンと比較してみると、なんとメルセデス・ベンツ Cクラスよりも大きいのだ。これにはちょっとビックリ。新型ジェッタは、上級志向のセダンとして、ゴルフよりも1クラス上のモデルになっているのだ。

スタイリングもフロントのバンパー下まで拡大されたグリルは、クロームメッキの部分を多くしてゴルフとは異なるイメージ。

2Lと2Lターボでは最低地上高をはじめ、タイヤ/ホイールサイズ、ヘッドライトの種類、マフラー形状などが違う。

インテリアでも2Lターボはレザーのスポーツシートやオーディオコントロール、パドルシフトスイッチなどが専用装備になっている。もちろん、広いトランクは奥行、左右幅ともにたっぷりとしている。その広さは、メルセデスのSクラスにも匹敵するほどだ。

DSGを搭載するターボモデルはライバルをしのぐ加速力

試乗したのは上級グレードの2.0T。4気筒ガソリン直噴エンジンにターボを装着したモデルになる。2L、200馬力の数値はゴルフGTIと同じ。6速のマニュアルシフトモード付DSGのギア比も同じセッティングだ。

まずDレンジで走り出す。スタートからトルクがあり、アクセルレスポンスは軽快。0→100km/h加速は7秒台。これは同クラスのライバルたちよりも確実に速いタイム。加速中はとくに3000回転からの伸びが鋭い。さらに独自のDSGミッションはシフトラグもショックもなく、効率的に作動する。とくに高回転域からのシフトダウンは異次元体験だ。

ポテンザRE050 255/45R17サイズを履く乗り心地はややかため。低くセッティングされたスポーツサスは、とくに低速域でのかたさが目についた。16インチタイヤの2L車のほうが、乗り心地はよいだろう。

室内はフロント、リアともにシートサイズがたっぷりとしており、快適度は高かった。

”シンプルなデザインの速いセダンに乗りたい”ユーザーにお勧め

2L車は289万円、2Lターボでも359万円という価格は、この性能と装備の充実度を考慮すれば、決して高くはない。今回の試乗は2Lターボだったが、これは大人しい外観に似ず、動力性能はスポーツセダンレベル。2Lセダンとしては最速の1台といえる。

さらに、ジェッタのセールスポイントのひとつにトランクの広さがある。初代ジェッタは、トランクを買ったらクルマがついてきた、といわれたほどにトランクが大きかった。その伝統はいまも受け継がれていた。奥行、左右幅ともに1.1m以上もある。本当に広い。おそらく、ゴルフワゴンよりも荷物が積めるのではないだろうか。

新型ジェッタは、実用セダンとしては2.0はお買い得。とくに物をクルマに載せる人には使い勝手がよい。2.0Tはスポーツセダンとして使える。目立ちたくないが、速いセダンに乗りたい、という人は一度試乗してみる価値はある。

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石川 真禧照
筆者石川 真禧照

1947年東京都生まれ。1970年日刊自動車新聞社入社。翌年同社退社後、フリーの自動車評論家となる。1982年「I.W.OFFICE」を設立し、自動車を中心としたメディア活動を開始。「自動車生活探検家」として、『GORO』『DIME』(小学館)、『HOT DOG PRESS』(講談社)、『カーセンサー』(リクルート)など多数のメディアで活躍、現在に至る。日本モータースポーツ記者会会員。日本自動車ジャーナリスト協会副会長。記事一覧を見る

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