スズキ ワゴンR 試乗レポート(3/4)
- 筆者: 竹岡 圭
- カメラマン:原田淳
スティングレーTurboには7速パドルシフトを装着
今度のワゴンRはオールニューと言ってもいいほどの大変身なので、パワートレーンも変わっている。
まずNAは基本的には同じだが、ヘッド周りを効率よく冷やす手法を取り入れ、数値には表れないもののトルクが向上している。続いてターボは、先代にラインアップされていた60psのMターボ(マイルドプレッシャーターボ)に64psのDI(直噴)ターボに同じ手法を取り入れることで、64psにパワーアップが図られたのだ。
性格的にもMターボは低速域からジワリと出るトルクが特徴で、街中では運転しやすかったものの、高速域の伸びがDIに比べるといまひとつだったが、それを全域で気持ちよくパワーが出るように改良したというワケだ。なので、DIターボは取り合えず今回のラインアップには組み込まれず、ターボの1本化が図られた。
そこに組み合わされるのは、5MTと4ATとCVT。先代では後に追加されほぼ1グレードのみで展開されていたCVTを拡大し、特にターボはCVTのみとの組み合わせとなり、スティングレーのターボにはナント7速パドルシフトまで装着されてしまうという大進化を遂げたのである。そのパワーを受け止める足回りもプラットフォームから変わっている。
スズキは前後シャシーを時間差でアップデートするのが伝統となっているので、リアのシャシーはパレットの流用だが、フロントはまるっきりの新開発。つまりオールニューと言っていいものなのだが、これによりクルマのハンドリング及び質感がガラリと変わったのだ。
文字量的にもう書ききれないので簡単に言ってしまうと、もうコレで十分イイジャン!と思わされるほどの出来栄えなのである。パッと乗って、これは本当にひとクラス上のクルマになった!と感じられるほどに進化幅が大きいのだ。
まずたったの10m走っただけで、ドッシリした重心感が感じられ、軽自動車にありがちな微振動の少なさに感動し、その後スピードを上げていってボディの剛性感の高さに驚き、ステアリングを切ってみれば背の高いクルマに乗っている感じがしなく、スラロームを繰り返しても揺り返しもないのである。
ハンドリングも至極ナチュラルで、メチャクチャ完成度が高いのだ。その上4.2mという小回り性の高さはきちんと確保しているのが、さすがスズキの軽。すえ切りシチュエーションでは、パワーステアリングの操舵力はもう少し軽くてもいいかもしれないとは思ったが、安定したブレーキ性能、サスペンションのストロークの短い軽自動車にあって、かなりのいなし力を持つ乗り心地、高速でも前後でラクに会話ができる静粛性の高さ・・・。
挙げればキリがないほど、完成度の高い1台が誕生したと言っていいだろう。
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