スズキ ハスラー(HUSTLER) 新型車解説/渡辺陽一郎(2/3)

  • 筆者: 渡辺 陽一郎
  • カメラマン:スズキ株式会社/茂呂幸正
スズキ ハスラー(HUSTLER) 新型車解説/渡辺陽一郎
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新鮮なインテリアデザインに、多彩なシートアレンジ/収納設備

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内装はどうだろう。インパネは水平基調の機能的なデザインだが、エアコンの吹き出し口の上下はパイプのようにデザインされ、新鮮味を持たせた。

前後のシートサイズや取り付け位置は、基本的にワゴンRと同じだ。居住性も同等と考えて良い。フロントシートはたっぷりとしたサイズで、頭上の空間も余裕がある。フロントウインドーの角度を立てたことも広々感につながっている。

リアシートは、バックレストが少し低めだが、座面のサイズは十分に確保。頭上や足元も広く、大人4名が快適に乗車できる。このあたりの機能もワゴンRと同じだ。シートアレンジは多彩で、リアシートはバックレストを前に倒すと座面も連動して下降。フラットで広い荷室に変更できる。

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注目は、助手席のバックレストを水平になるまで前に倒すと、背面をテーブルとして使えること。この機能はタントに似ている。インパネ上部の収納ボックスのフタも、開いた時には小さなテーブルになる。

このほかの収納設備も多彩で、ワゴンRなどと同様、助手席の下側にバケツ状のボックスを装着した。車外に持ち出すことも可能だ。リア側のドアの内側にも、ペットボトルホルダーなどが備わる。ワゴンRなどに採用された収納設備を、さらに進化させた。

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本格SUVにも採用される「ヒルディセントコントロール」を軽自動車で初採用

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メカニズムも見逃せない。電装品に電力を供給するための発電を減速時に行う「エネチャージ」が、さらに洗練されている。「アイドリングストップ空調設定カスタマイズ機能」がそれだ。蓄冷材を使ってアイドリングストップ時でも冷風を送る従来のエコクールを採用した上で、燃費優先(アイドリングストップ時間を長引かせる)/標準/快適優先(アイドリングストップ時間を短くする)という3つのモードを設けた。エコクールを装着しても、アイドリングストップ時間が長引けば次第に冷気が薄れてくる。この時に燃費優先のモードでは、アイドリングストップを最長まで保つ。逆に快適優先ならエンジンを再始動させ、エアコンの機能を回復させる仕組みだ。

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そしてもうひとつ、4WDの機能も大幅に高められた。注目の機能「ヒルディセントコントロール」だろう。滑りやすい急な下り坂でこの機能を使うと、4輪のブレーキが自動的に制御され、時速約7kmを維持しながら安定して下ることができる。ドライバーはブレーキペダルを操作する必要がない。低速域における横滑り防止装置と考えれば良い。

この機能と併せてグリップコントロールも採用。発進時などに空転が生じると、そのホイールのみにブレーキを働かせてグリップ力を回復する。この2つの機能は軽自動車では初採用になる。

ヒルディセントコントロールは、もともとランドローバーなどの本格オフロードSUVに採用され、今では日産「エクストレイル」なども備わる。本格的な悪路走行用の機能だから、軽自動車であるハスラーへの採用は画期的だ。

だからといって過剰な装備ではない。ハスラーのような全幅が狭くて背の高い軽自動車は、下り坂で横滑りを生じて車両が横方向に大きく傾くと、安定性が低下する欠点も併せ持つからだ。実際に横転はしなくても、背の高い軽自動車のボディが大きく傾けば、乗員は相当な不安(というよりも恐怖)を感じる。ESP(横滑り防止装置)を応用してこの機能を設けたことは良心的だろう。

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グリップコントロールもESPの応用技術。欧州車には古くから設定があり、LSD(リミテッド・スリップ・デフ)に準じた働きをする。デファレンシャルギアの構造上、1輪が空転を生じるとほかのホイールに駆動力が伝わりにくくなるが、空転したホイールをブレーキングすれば、駆動力の伝達効率を維持できる。

このほか前述のように時速5~30kmで走行中、衝突不可避と判断すると、自動的に緊急ブレーキを働かせる赤外線レーザーを使ったレーダーブレーキサポートも装着した。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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