次期本命の「エコカー」はこれだ!/河村康彦(1/2)

次期本命の「エコカー」はこれだ!/河村康彦
トヨタ RAV4 EV プリウス PHVとトヨタ副社長 内山田竹志氏 プリウスPHV プリウスPHV ロゴ 日産 フーガハイブリッドと志賀COO 日産 リーフ シボレー ボルト アウディ A1 e-tron アウディ A1 e-tron 充電の様子 メルセデス・ベンツ SLS AMG E-CELL ポルシェ カイエンSハイブリッド 画像ギャラリーはこちら

次期本命の「エコカー」はこれだ!/河村康彦

日産 フーガハイブリッドと志賀COO

いまだ「発売前のプロトタイプ」という段階のものも含まれるものの、このところ”パワーユニットの電動化”が図られたモデルに乗る機会が急速に増えている。

ご存知、トヨタとホンダからすでにリリースされている様々なハイブリッドモデルはもちろんの事、ついに日産からも「自社開発」を謳うフーガハイブリッドがローンチされ、話題のピュアEVであるリーフの発売も秒読み段階という状況。

メルセデス・ベンツ SLS AMG E-CELLポルシェ カイエンSハイブリッド

ただし、今や電気モーター駆動を行うモデルは決して日本の”お家芸”などではなく、ガルウイングEVである「SLS AMG E-CELL」に「カイエン ハイブリッド」、「シボレー ボルト」、アウディの初代「e-tron」、「A1 e-tron」に「Q5 hybrid」等々、ちょっと時系列を遡ってみてもここ数ヶ月の間にザッとこれだけの”電動化モデル”のステアリングを握る機会があった。

100%電力のパワーで走行するピュアEVを筆頭に、パラレル式ハイブリッドモデル、シリーズ式ハイブリッドモデル、その両方の構造を兼ね備えたパラレル/シリーズ式ハイブリッドモデルに、駆動力はモーター出力のみによって発生させるものの”電欠”時に備えた発電用エンジンを搭載し、”レンジエクステンダーEV”を謳うモデル等々、駆動用電気モーターを装備する自動車のバリエーションは、今や実に様々だ。

もっとも、こうして幾多の技術が混在するという事は、そのいずれもがまだ「ホンモノ」では無い証しと読み取る事も出来る。いずれ、そうした中の「どれか」の技術こそが優れているという判断が下されたのならば、こうした百花繚乱状態は収束を迎えて行くに違いない。

つまり、今は”過渡期”という段階なのだ。そして、そんなカオスな状態はまだ当分の間続くだろう。

各社EVが氾濫する状況はいつ収束するのか

それでは「こうした混沌とした期間は一体どのくらい続くのか?」と問われても、こればかりは単なる技術的な要件のみならず、世の中の政治的、あるいは経済的な事情なども大きく影響する故に、なかなか一筋縄では表現出来ない、というのが本当のところだろう。

世の中の自動車を取り巻く環境は「電動の助けを借りる」という方向に確かに動いてはいる。しかし、だからと言って今日明日にでも一気にピュアEVの時代がやって来る、などという事はとても考えられないのだ。

何しろ現状のEVにおける性能は、「高速道路を30分進んだら、もう元の場所まで戻って来れるか否か危うい」という状況に過ぎない。

なるほど、最新のリチウムイオン電池の性能向上は著しいが、しかしそれとて搭載が可能なエネルギーの量はといえば「ガソリン10リッター分にすら満たない」というのが現状。

もちろん、搭載バッテリーの量をどんどん増やして行けばそれは増やせる理屈だが、それはコストと重量の点から甚だ現実味に欠けるやり方である事は明らかだ。

むろんこの先、バッテリーの性能はさらに向上の一途を辿る事は間違いないが、それでも「自動車用として満足出来る能力を得るためには、もはやリチウムイオン式のさらなる次世代の新バッテリーに賭けるしかない」という声さえ聞こえて来る。

日産 リーフ

だからこそ、世に提案されるEVの大半は短距離のモビリティを意識したものか、もしくは”電費”やバッテリーの寿命など気にしない!と割り切るスーパースポーツモデルに2極分化している。

ちなみに、そんな状況の中で「Bセグメントど真ん中」というパッケージングを採用する日産リーフは、だからこそ、その存在は「異色中の異色」と言って良い。

果たしてリーフが成功するのかどうか、世界中の自動車開発者は固唾を呑んで注視しているに違いないだろう。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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