スズキの小型車/日下部保雄のコラム

スズキの小型車/日下部保雄のコラム
スズキ スプラッシュ スズキ キザシ 画像ギャラリーはこちら

スズキの小型車/日下部保雄のコラム

スズキの小型車のボトムレンジとアッパーレンジに乗ってみた。そう、つまり「スプラッシュ」と「キザシ」である。

スプラッシュは大分前にチョイノリしただけなので、この際もう一度乗ってみようと思ったわけだ。キザシは昨年の東京モーターショーでデビューしたスズキのフラッグシップだが「乗りませんか?」と声をかけてくれたのでお言葉に甘えてといった感じだ。

スズキは、アルトを今年の1月に出した。最近の軽のインテリア/エクステリアの出来の良さは、徹底した消費者目線、細かいカテゴリー分けをするなど、日本の自動車文化の粋な部分だ。きっと海外のメーカーがこの実相を知ったら仰天すると思う。ただ走りに関してはあまり感心しない部分がある。

ところが、スズキの小型車の気合の入れ方は結構ビックリする。もう大分前だが、最初にスイフトに乗った時にはエッ!!と思ったし、スイフト・スポーツなどはFFスポーツハッチバックのドライビングの面白さをしっかり熟知していることに驚いた。

その後のSX4も結構やるもんだな、と感心した。

スズキ キザシ

前置きが長くなったが、キザシのハンドルを握った時、「あれ、これスズキ?」と目を疑った。フォルクスワーゲンかと思ったほどだ(最近話題になったスズキとVWの提携話とは関係ないし、もちろんパサートとも無関係だ)。

でも似ている!って言うかまるでデジャヴュ。それは、走り出してからさらに驚かされた。日本車とは思えない重厚感のある直進性とハンドリング、硬いがしっかりした腰のある乗り心地など日本車離れしている。

しかも安い!このクラスの大型車を持っていないスズキだからこそ、心置きなく作れたのかもしれない。でもインテリアの仕上げやナビゲーションを筆頭とする作り込みは、フラッグシップとしてはちょっと寂しい。そして思ったよりもでかい。

スズキ スプラッシュ

次はスプラッシュ。スズキは女性に向けてと言っているが、これが結構硬派。シートは固めで長時間のドライビングでも疲れないような設定だが、チョイノリでは固いと感じるだろうし、体重の軽い女性ではシートが沈み込まないのでハネてしまうのではないか?

重めのステアリングは安心感があるが、よくあるフレーズ「硬い・・・」で片付けられてしまいかねない。それほどスプラッシュも日本車離れしていた。きっとマニュアルで乗ったら楽しいだろう(日本にはないけど)。

このクルマ、ハンガリーで生産して日本に逆輸入しているので台数が限られてしまうが、価格とのバランスを考えると結構お値打ち品だった。

スズキの小型車ラインアップは軽とはまったく趣向を変えており、走りは日本車の中で異色の存在だ。残念ながらスズキは小型車を売るのには慣れていないので、それはあんまり知られていない。それでもスイフトがあれだけ台数を売ったのは、バリュー・フォー・マネーを消費者が理解したからだろう。

軽ラインと小型車ライン、なかなか筋は通っているんだけどな。ちょっと惜しまれる。

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日下部 保雄
筆者日下部 保雄

大学卒業後、モータージャーナリズムの世界へ入り、自動車専門誌をはじめ各媒体に新車の試乗レポートやコラムを寄稿。最近では、雑誌媒体のほかにFMラジオやインターネット自動車情報サイトでも活躍。記事一覧を見る

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監修者MOTA編集部

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