仏ルノー排ガス調査で見えてきた、欧州「不正ソフト無し」で一段落させようという狙い
- 筆者: 国沢 光宏
日産の兄弟社会である(仏)ルノーは、ディーゼルエンジンから出る排気ガスの量が規制値より多かったということで、フランスの競争不正抑止総局の立ち入り調査を受けた。
VWのディーゼル不正を受け、ヨーロッパの各国は販売されているディーゼル車の実車テストを開始しているのだけれど、ルノーも規制値を超える濃度のNOxなどを排出していたという疑いである。
この立ち入り調査、株価が大幅に下がるなど「ルノーもダメか」というマイナス方向に取られているようだけれど、その反対だと考えるべきだ。むしろ当局の合格マークをもらったようなもの。
実際、驚くほど早い段階で「不正無し」という発表が当局から出ている。なぜか?規制値以上のNOxを出しているのはルノーだけではないからだ。
市販車を普通の走行モードでテストしたら、規制値をクリアしているメーカーなど無いと考えてよい。学校の試験問題は「授業で教えて貰った範囲内」から出される。
排気ガス規制の合否を問うテストも同じで、当局が決めた走行パターン通りクルマをテスト機の上で走らせ、その時の排気ガスを検査する。教えて貰っていない内容が試験問題に出たら、誰だって正解出来ない。
それと同じで、一般道路を普通に走らせた時も、想定出来ないようなアクセルの開け方や速度になってしまう。その状態で規制値をクリア出来るかと言えば「難しい」。
中でもディーゼルエンジンに於けるNOxの排出量は最も難しい問題と言って良いだろう。一番解りやすいのが日本の排気ガス規制だ。
日本はJC08というモードで排気ガス試験とカタログに記載されている燃費計測を同時に行う。したがってカタログでリッター30km走るというクルマが実際の走行テストでリッター15kmしか走らなければ、排気ガスの量は2倍になる。
もっと言えばリッター30kmでNOx排出量ギリギリ合格のクルマだとした場合、リッター15kmしか走らないとするとNOx排出量2倍だ。ディーゼルで言えば、低速走行が続いた時や、アクセル開度の変化が大きいような時に規制値を大きく超えるNOxを出してしまいがち。
VWが問題になったのは、計測時だけ稼働する不正ソフトを組み込んだことであり、NOxの排出量が規制値を超えたからではない。だからこそフランス当局も今回はルノーについてNOxの排出量に触れず「不正ソフトは無い」とのみ公表してる。
今後、欧州ではいくつかの自動車メーカーに立ち入り調査が入り「不正ソフトはなかった」という流れになっていくと思う。ディーゼルエンジンを作っている自動車メーカー全ての「不正ソフト無し」発表で、一段落させようという狙いだ。
その次の段階で始まるのは、実際の走行モードでもNOxを出さないようにする規制作りである。
[Text:国沢光宏]
愛車の売却を、もっと楽に!もっと高く!
-
一括査定はたくさんの買取店からの電話が面倒?
これまでの一括査定は、たくさんの買取店からの電話が面倒でした。MOTA車買取なら、最大20社の査定額をwebで簡単比較。やり取りするのは査定額上位の3社だけ。車の査定が楽に完結する仕組みです。
-
一括査定は本当に高く売れるの?
これまでは、買取店に会わないと査定額がわからず、比較がしづらい仕組みでした。MOTA車買取は最短3時間後、最大20社を簡単比較。加えて、買取店は査定額上位3社に選ばれるために競い合うから、どうしても高く売れてしまいます。