ダイハツ ミライース 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:オートックワン編集部
気になるのは「安くて低燃費」を追求した結果、「安っぽくて低機能」に陥っていないか、ということ。
そこを確かめるべく試乗を開始した。
まずは動力性能だが、ノーマルエンジンを積んだ軽自動車としては、活発に加速する。2WDモデルの車両重量が730kgだから、同じ型式のエンジンを搭載するムーヴよりも80kgほど軽い。最大トルクの発生回転数が5200回転(ムーヴは4000回転)で、もう少し実用域の駆動力を高めて欲しいが、この不利を軽量なボディが効果的に補う。
エンジン音は、エンジンルームから伝わる透過音が大きい。それでも音質が耳障りではないから、不快ではない。
アイドリングストップが装着されるため、当然ながら信号待ちの時などはノイズが発生しない。これは意外に快適。走行中は運転に集中するから、停車時にエンジンが止まると、ノイズに対する不満が大幅に解消される。
アイドリングストップで注目すべきは、時速7km以下になると停車しなくともエンジンが止まること。アイドリングストップの時間を増やし、燃料消費量を節約するためだ。通常の節約は8%程度だが、ミライースは約10%。停車後にエンジンが止まると違和感を抱くが、停車寸前だと滑らかな印象になる。
機能的にも感心した。信号の手前で時速7km以下になってエンジンが停止。その直後に信号が青に変わり、徐行しながら再始動しても、不快なショックや異音が発生しない。アイドリングストップ中に電動パワーステアリングが作動することも、MRワゴンやワゴンRに対するメリットになる。
逆に気になったのは、ムーヴやヴィッツと同様、アイドリングストップ中にブレーキペダルを踏み増しても(戻すのではなく)再始動してしまうこと。スターターモーターの音も若干大きめだ。
乗り心地は、街中では少し硬い。空気圧が2.6kgfと高くなることが影響した(一般的には2~2.4kgf)。それでも時速60km前後に達すると、硬い印象は次第に薄れる。現行ミラと比べてもボディ剛性は高く、硬めでも粗っぽい乗り心地ではない。
走行安定性は満足できる。低価格車とあってボディの傾きを抑えるスタビライザーは装着されないが、危険を回避するために素早いハンドル操作を強いられても、ボディが左右に揺すられにくい。後輪の接地性を確保した上で、旋回軌跡の拡大も抑えている。
操舵した時の反応は、ほかのダイハツ車に比べて少し機敏。もっと穏やかでも良いが、違和感を抱くほどではない。開発者は、「お客様からもう少しキビキビ感が欲しいという意見が聞かれ、ミライースは少し曲がりやすくした」と言う。ミライースの全高は、ムーヴを135mm下まわる1500mm。低重心化と相まって、走行安定性を損なわずに操舵感を機敏にできた。
この記事にコメントする