アルファロメオ アルファ156 GTA 試乗レポート
- 筆者: 西沢 ひろみ
- カメラマン:森山俊一
37年の時を超え、ジュリア スプリントGTAのコンセプトを受け継ぐスポーツカーの誕生だ。
発売以来5年間で50万台を全世界で販売したアルファ156は、アルファロメオのシェアを約4倍に躍進させた人気モデル。国内へは98年5月に導入され、 4年間で9602台のセダンと1631台のワゴンを販売した。この秋には新型モデルが投入されることとなるが、ひと足先に姿を見せたのが、スポーティセダンの156 GTAだ。
アルファブランドの価値の真髄である「スポーツの精神」を表現したという156 GTAだが、単なるスポーティモデルではない。GTAの名を蘇らせたことからもわかるように、レーシングカーの血統と最新テクノロジーを兼ね備えたエキサイティングなスポーツカーなのだ。
スタイルは156セダンのボディラインを継承し、わずかなモデファイにとどめているが、ワイドタイヤを装着するためフェンダーパネルはGTA専用となっている。
一般路で見せる実力は、このクルマのほんの片鱗でしかない。
新設計の3.2LV624バルブエンジンこそ、156 GTAの最たる特徴だ。最大出力186kw、最大トルク300N・mが生み出すパワーは、まさにレーシングカー級。アクセルを踏み込んだ瞬間、シートに背中が押し付けられるエキサイティングな加速が訪れる。レスポンスも官能的という言葉がピッタリだ。セッティングを一新した足回りは、見事に引き締められた硬い乗り味。ハンドリングもシビアな操舵が強いられるクイックぶりで、225/45R17サイズのタイヤが路面の荒れをしっかり拾う。コーナリングを満喫するというよりは、攻めるためのフットワークという印象だった。とはいえ、このフィーリングは156 GTAの実力のほんの片鱗。サーキットシーンでなければ156 GTAの本来の持ち味は体感できないだろう。
驚かされたのは高いギアで低速走行が可能なこと。日常の足として使うことを前提に開発されていることがよくわかる。残念なのはシフトストロークが長めなこと。もう少しコクコクと小気味いいシフトフィーリングが欲しかった。
走行性能を極めるだけでなく、快適装備も充実した最上級スポーツカーの位置付けだ。
硬い座り心地のバケットタイプの専用シートに身体を沈めて、グリップの太いレザーステアリングを握る。ドットラバー付アルミ削りだしのペダルに足をのせて、右手を6速MTのシフトノブに伸ばせば、まさにツーリングカーのコックピットに座った気分。156 GTAの運転ポジションは、スポーツカーならではの雰囲気にあふれているのだ。
けれども最上級スポーツカーとしての快適装備も忘れてはいない。フロントシートは電動リクライニング式でランバーサポートとシートヒーター内蔵。デュアルゾーン式フルオートエアコンや、10連装CDチェンジャー付専用設計のBOSEサウンドシステムも奢られている。視界をやや妨げてはいるが、ダッシュパネル中央上部にはデジタル表示式マルチファンクションディスプレイも標準装備される。
ただし包まれ感を優先した居住スペースは、前後席ともに心地よい広さを確保しているとはいえない。特にリアシートは、フロントシートの大きな背もたれにより閉鎖感が残る。
国内モデルは左ハンドルの6速MT。年内は全生産の12.5%にあたる250台を販売予定だ。
156 GTAは、本国イタリアで02年中に2000台を生産する予定。このうち国内へは250台が導入されることとなる。この限定販売的な台数が、左ハンドル仕様のゆえんだろう。イタリア仕様車はスポーツワゴンGTAが用意され、ミッションも6速MTと6速セレスピードを選べるが、これらは国内には投入されない。おそらく、これまでの販売実績でワゴン比率が低いことと、まずは恍惚的な満足感を求めるマニアックなアルファファンをターゲットとしているためだろう。
販売は7月20日から開始されるが、544万円の価格は156 GTAのパフォーマンスを考えると高い印象は受けない。けれども個性派の仕上がりを考えると、アルファの血統や伝統に魅せられ、細部にわたるデザインや仕上がりに心を打たれる、アルファファンのハイパフォーマンスモデルといえそうだ。
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