高速ツアーバス(エグゼクティブ/プリマ)
- 筆者:
外国では「市街地型の路線バス」として活躍するダブルデッカー
今回登場するクルマは三菱ふそう社製のエアロキングをベースとした高速ツアーバス。一見したところ、前回と似た可愛らしいピンクのラッピングをしたバスなので、「何だ、同じクルマかよ!?」とツッコミが入りそうですが……(汗)。今回はダブルデッカーという2階建てバスなので、前回のシングルデッキタイプのセレガとはまったくの別モノです。
私たち日本人にとってはあまり馴染みのないダブルデッカー(2階建て)バスですが、ロンドンや香港などでは、「市街地型の路線バス」として活躍する(した)非常にポピュラーなクルマです。日本の市街地でも2階建てバス(はとバスやスカイバスなどのオープンバス)の運行をしばしば見かけますが、あれは大都市や観光地を巡るための「定期観光バス」と呼ばれるモノ、いわゆるスペシャルなクルマで、一般的な市街地型の路線バスとしての日本での運行は残念ながらありません。従来のバスにより多くの乗客を乗せることができる2階建てバスが積極的に採用されていない主な理由として、日本では法規上「全高は最大3.8mまで」という車両制限があるためで、それでは乗客の乗り降りが頻繁に行なわれる市街地型の路線バスにおいて、乗客が車内を移動する際に頭上スペースが十分に確保できないという問題があるようです。
「2階建て」は高速ツアーバスにうってつけ!?
しかし、それが「高速ツアーバス」となれば話は違います。前述した通り市街地型の路線バスが乗客の頻繁な乗り降りを伴うのに対し、高速ツアーバスの場合は出発時に乗客を乗せてしまえば、SAでの休憩などを除いては、到着時まで乗客の乗り降りを強く意識する必要がありません。さらには、頭上スペースに多少の犠牲を払っても、2階建てを採用することに、実はメリットすらあるのです。
ここで紹介するWILLER EXPRESSのダブルデッカーは2階建てという構造を利用して、上下階で異なるキャビンレイアウトを設計。1階に「ホテルラウンジ」をイメージしたというエグゼクティブな客室空間を、2階には明るく華やかなデザインが印象的な「女性専用車両」を用意するなど、まったくコンセプトの異なるサービスを展開することで、より多くの乗客のニーズに対応しています。
こうした巧みなアイデアなどが加わることで、ダブルデッカー(2階建て)の高速ツアーバスは「全高最大3.8m」という日本の交通法規の中でも大いに活躍ができるワケです。
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