巨大なオラオラグリルが流行るなかで、VWがあえてロゴをシンプルにリニューアルした理由

なぜメーカーはロゴのシンプル化を進めるのか?

2019年9月に開催されたフランクフルトモーターショーで、フォルクスワーゲン(VW)が新しいロゴマークを発表した。円の中にVとWを縦に並べたパターンは従来どおりだが、地色のブルーはなくなり、3D的な処理もなくなって二次元的な見た目になった。細かいことではWの下端が円から離れた。

9月19日に発表されたドイツ本国のプレスリリースによれば、「デジタルファースト」と「フィルターレス」にこだわって、社内のチームにより生み出されたという。全般的にシンプルになったという思う人が多いだろうが、それはVWに限った話ではない。他にもロゴのシンプル化を進めていったブランドはある。

メーカーロゴは大きく分けて6種類のジャンルに

ちなみに現在日本で販売している自動車ブランドのロゴをジャンル別に分けると、次のようになる。

■頭文字=トヨタ、VW、ロールス・ロイスなど

■名称=ジープ、日産、フィアットなど

■図案=ボルボ、メルセデス・ベンツ、ルノーなど

■動物=アバルト、ジャガー、プジョーなど

■翼=ベントレー、ミニ、モーガンなど

■紋章=キャデラック、ポルシェ、三菱など

数的にもっとも多いのは頭文字で、新進ブランドのテスラもここに属する。英国車に翼を使うブランドが多いのも興味深い。

6ジャンルに当てはまらないものとしては、プレアデス星団の六連星を図案化したスバル、ミラノ市章とヴィスコンティ家の紋章を組み合わせたアルファ・ロメオ、自動車参入前に製造していたヘリカルギアを図案化したシトロエンなどがある。

このうち動物や紋章はもともと複雑な形や意匠を持つので、シンプル化を目指すブランドが多い。プジョーのライオンは年代を減るにつれ輪郭が簡潔になり、キャデラックは中の鳥や周囲のリースがなくなっている。正面から見た顔を図案化してグリル内に据えていたジャガーは、近年はマスコットとして装着していたリーピングジャガーも使うようになっている。

この傾向は自動車以外の分野にもあって、読者の中にも愛用者が多いであろうiPhoneを生み出したアップルは、昔はリンゴをレインボーカラーに塗り分けていたが、今は単色になっている。メルカリはローマ字はさほど変わらないものの、箱のイラストがシンプルになっている。

シンプルなロゴに“進化”したのは電動化に向けた動き

ではなぜ簡略化するのか。VWが発表したデジタルファーストという点では、たしかにシンプルなほうが動画などで展開しやすそうだ。また電動車両ではオーナー向けのスマートフォンアプリも登場しているので、小さい画面、低い解像度でもひと目で分かるようにという配慮があるかもしれない。

もっとも他の多くのブランドは、シンプル化の一方でクオリティアップを実現すべく3D化したものが多い。これに対してVWは、背景色のブルーのバリエーションを増やしたり、ロゴを光らせたりして多彩な表現をしていくというけれど、時代の流れに逆行していると感じる人もいるだろう。

もちろんロゴマークの一新は、企業で言えばCI変更に匹敵する大仕事になるわけで、当然ながらお金も掛かる。しかし最近のVWは新規事業については巨大投資をアピールすることが多いのに、今回のニュースリリースではコストの最適化という表現を使っている。電動化へのシフトを推進していく中で、この部分はコストダウンしようという判断かもしれない。

ニュースリリースでは「ブランドの主張の代わりに」という言葉も見られる。同じドイツのプレミアムブランドでさえ、大顏化によって存在を誇示しつつある中、VWは対照的な方向を目指すことになる。これがどのような評価を受けるか興味深い。

[筆者:森口 将之]

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森口 将之
筆者森口 将之

1962年東京都生まれ。モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト。自動車専門誌の編集部を経て1993年フリーに。各種雑誌、インターネット、ラジオなどのメディアで活動。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。記事一覧を見る

監修トクダ トオル (MOTA編集長)

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