コロナ禍の日本、そして世界へ! 豊田章男 自工会会長が熱い決意で伝えたかったこと(1/2)

  • 筆者: 国沢 光宏
  • カメラマン:トヨタ自動車・MOTA編集部
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2020年4月10日、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本のものづくりを支える自動車工業4団体によるメッセージが発信された。スピーチをしたのは、トヨタ自動車社長にして自工会会長の豊田 章男氏。

約550万人、日本の就業人口の約1割を支える自動車産業が今“出来ること”とは? 章男氏が日本、そして世界中のひとたちに伝えたかったメッセージを、自動車評論家の国沢光宏氏が解説する!

>>これぞ“ニッポンのものづくり! 日本が世界に誇る自動車産業の姿を画像で振り返る”

目次[開く][閉じる]
  1. 日本のものづくりを支える自動車4団体が緊急メッセージ発信
  2. オールジャパン総出で医療現場をサポートすると宣言
  3. 自動車産業の経営危機対策にファンド(基金)を立ち上げ
  4. 豊田章男会長の最も強い意思を感じさせるメッセージとは
  5. 我々の産業には、生き残るための粘り強いDNAがある!
  6. 「自動車工業4団体によるメッセージ」全文紹介

日本のものづくりを支える自動車4団体が緊急メッセージ発信

2020年4月10日の午後、自動車産業4団体が新型コロナ禍に対する緊急記者会見を行った。こんなタイミングのため記者を集め壇上で、という形式は取らずネット配信である。

最初に概要の紹介を行ったのが豊田章男自動車工業会会長。全て書き出すと長くなるため、以下に骨子をまとめてみた。

大きなポイントは3つある。順に紹介したい。

オールジャパン総出で医療現場をサポートすると宣言

1つ目は、新型コロナ禍で疲弊し、物資不足となっている医療現場のサポート。

4月7日にトヨタグループが枯渇している医療用シールド&マスク作り、人工呼吸器の生産サポートなど支援策を発表したのに続き、自動車産業4団体もバックアップする旨を打ち出した。ただ専門分野以外のモノ作りとあって、手探り状態らしい。

豊田会長曰く

「自動車産業の手でマスクを作ってみました。自動車の部品から作ったマスクの最初の試作は、ゴワゴワでした。改良も進んでおりますが、これらは自分達の身を守るために使ってまいります。その分、外からの購入を減らし、少しでも需給緩和に寄与できればと考えております」

とはいえ遠からず良いマスクが作れるだろう。

その他、隔離(無症状感染者)のため使える宿泊施設をトヨタグループで1500室。自工会全体であれば3000室くらい用意出来るそうな。自工会の会員企業は全国に存在するため大いに心強い。

合わせて感染した方の移送に使える車両(運転者への感染対策が必要。ここにきて大きな問題となりつつある)の改造や提供も準備しているという。

自動車産業の経営危機対策にファンド(基金)を立ち上げ

2つ目は自動車産業の経営危機対策としてファンド(基金)を立ち上げること。

新型コロナに起因する経済的な影響は大きく、自動車産業全体を揺るがせている。改めて説明するまでもなく”自動車”という製品は部品が一つでも揃わなければ作れない。自動車産業を救うためのファンドを作っておけば、結果として自動車産業のメリットになる。

参考までに書いておくと、日本に於ける自動車産業の雇用は550万人(全雇用者の10%に相当)。影響力まで考慮するとその2.5倍になる。

実際、この業界をしっかり守ることで、新型コロナ禍が収束した時の「経済を立ち上げるパワー」を残せると思う。トヨタは強固ながら、瀬戸際になりそうな業界企業もあることだろう。

豊田章男会長の最も強い意思を感じさせるメッセージとは

3つ目が「日本の優れた人材や技術を失わないようしたい」という内容。

これは豊田会長の強い意思だと考える。今回の記者会見で最も熱く語った点だった。

確かに日本の自動車産業が弱体化したら、大黒柱を失うことを意味する。新型コロナ禍により技術を持っている企業が無くなってしまうと、日本の将来も明るくない。

とはいえ、破綻する企業も出てくる可能性を考えているのだろう。驚いたことに「高い技術・技能を持っている人が不幸にも働く場を失おうとしていたら、自動車産業内でそれを必要としている企業とマッチングしていく」という。

逆に考えると技術や技能を持っている人や企業は守るという宣言のようなもの。日本のモノ作り技術の継続という点で心強い。

我々の産業には、生き残るための粘り強いDNAがある!

今回の記者会見で、豊田 章男会長の意気込みが一番強く伝わってきたのは、まとめの部分。

私の文章力だと伝えきれないかもしれないので、この部分だけ豊田会長の文言をそのまま引用させて頂く。

「私が生まれる前、終戦時の話ですが、戦争で人も減り工場も失ったトヨタは、それでもなんとか生き延びていくために、作れるものはなんでも作ったそうです。鍋やフライパンをつくり、更には工場周辺の荒地を開墾して芋や麦までつくっていました。

スバルでも、農機具や乳母車、ミシン、バリカン等、あらゆる生活品を作っていたとも聞きました。売るクルマがない販売店も、食器などなにかしら生活に必要なものを仕入れ人々に売っていたそうです。我々の産業には、生き残るための粘り強いDNAがあるはずです。なんとしても踏ん張って、生き残っていきましょう!」

自動車産業をしっかり守りつつ、直近は医療を中心に日本のバックアップをしていくという意思表明、大いに心強い。

自動車産業以外も名乗りを上げ、オールジャパンで新型コロナ禍を乗り切っていきたい!

[筆者:国沢 光宏]

>>「自動車工業4団体によるメッセージ」豊田章男氏スピーチの全文紹介はこちら

豊田 章男 日本自動車工業会会長 スピーチ【動画】

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国沢 光宏
筆者国沢 光宏

1958年生まれ。ベストカーガイド編集部員を経て自動車評論家に。空気を全く読まず言いたいことを言い、書きたいことを書くので自動車メーカーから嫌われている。現在所有しているクルマは日産 リーフやトヨタ MIRAIなど多数。趣味はラリーに出場すること。人気のない(本人談)Webサイトを運営中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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